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王華が悲しそうに、寂しそうに、申し訳無さそうに、そう言うのに、俺はムカついた。
ガタッと音を立てて俺は立ち上がって、黒の革靴をコツコツと鳴らして、王華に近づいた。
そうして俺は、王華に平手打ちをかました。
「なんね?」
唖然としている伊華と王華を置いて俺は話し始めた。
「お前は馬鹿か。どんだけ伊華がお前のこと思ってか知んねぇんだろ!いくら酷いこと言われてもな、妹ってもんは、兄とか、姉とかの事を大事に思っちまうもんなんだよ!居なくなって楽になる筈ってなんだよ!その先の事位まで考えろよ!伊華の事思ってんなら、優しくしてやれよ」
何で俺はこんな事言ってんだろ。でも、伊華の悲しそうな顔見てたらどうしようもなく、怒りが湧き上がってきた。
俺だって、兄貴と別れる時、もっと優しくしてくれてもよかったんじゃ?なんて考える時もある。でも、あの不器用な兄貴なりの精一杯の優しさだった。俺はああだったのに、伊華はまだずっと辛いなんて、なんか許せねぇ。
そう思って、話してる俺の目には涙が浮かんで来て、視界が霞んでた。
「独華、落ち着くんね」
伊華が心配そうに、でも、「ありがとうなんね」って付け加えてそう言った。
「そうだぜ。ちょっと落ち着け」
「クソリカは黙ってろ」
真後ろから聞こえる声にそう怒鳴り返した。
「え?クソリカ?」
俺は本気で驚いた。