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直接的な会話はないですが、少しそういった表現があります。ご了承ください。













2年生の秋。夕方の空は少し早く暗くなり始めて、肌寒さが日に日に増していた。


寮の部屋。並んだふたつのベッドの間には、相変わらず見えない境界線のようなものがあった。 けれど、それを越えることに、ふたりとももう臆病ではなくなっていた。




週末の夜。寮の中は静かで、外泊や部活の遠征で生徒の姿もまばらだった。


「……なぁ、じんちゃん」


「ん?」


ベッドに座る仁人の隣に腰を下ろした太智は、どこか思いつめたように声を落とす。


「今日さ、食堂で……仁人に話しかけとった奴、誰?」


「え? あぁ、外部の子。去年の文化祭の時に写真撮ってくれてたらしくて」


「あいつ、めっちゃ仁人のことジロジロ見とった……」


仁人は少し驚いたように目を丸くした後、ふっと笑った。


「……やきもち?」


太智は顔を赤くしながら、しかし真剣な眼差しで仁人の手を取る。


「俺、ホンマに仁人のこと好きなんや。……誰にも渡したない」


言葉と一緒に、太智の視線が熱を帯びていく。

仁人の表情が少し揺れて、肩を震わせるように笑った。


「……そういうところも、好きだよ」


ベッドの上、太智はそっと仁人の手を引き寄せて背中を抱きしめる。


「じんちゃん。今夜……一緒に寝てもいい?」


「……うん」


その返事を聞いた瞬間、太智の腕にぎゅっと力がこもった。


ベッドの明かりが落とされ、カーテンの隙間から差し込む月明かりだけがふたりを照らしていた。


静かに、だけど確かに──

その夜、太智は仁人を自分のすべてで包み込んだ。


「……じんちゃん、俺、ずっと一緒にいたいって、心から思ってる」


「……だいちゃん」


重ねた唇のあいだからこぼれる吐息と、愛しさの言葉。

互いの心と身体が確かにつながる夜。


誰にも見せたことのない顔を、お互いにだけ見せ合う。


それは、1年前の文化祭では想像できなかったほどの深さだった。





翌朝。

淡い朝日がカーテン越しに部屋を照らし始める。


並んだベッドの片側に、ぴったりとくっつくように寄り添ったふたりの姿がある。


先に目を覚ました仁人が、そっと太智の髪を撫でると、 寝顔の中に浮かぶ安堵の表情。


「……おはよう、だいちゃん」


「ん……おはよう、じんちゃん」


まだ夢の中のような声で、太智は仁人の頬にキスを落とした。


「昨日のこと……後悔してへん?」


「……するわけないでしょ」


微笑む仁人の表情に、太智も優しく笑って応える。


「よかった……これからも、よろしくな」


「……うん。こっちこそ」


交わされたキスは、昨夜のぬくもりを再確認するような、静かであたたかなものだった。


新しい一日が始まる。

そしてふたりの関係も、確実に“次の段階”へと進んでいた。


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