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騒がしい嵐が去ったあと。
休憩スペースに、少しだけ静けさが戻る。
「……」
「……」
テーブルにはまだフライドチキンの名残。
でも、さっきまでの空気とは違う。
「……食べる」
ジェーンがぽつり。
「はい」
ジョンも自分の弁当を開く。
少しだけ沈黙。
でも——
前より近い。
椅子の距離も、ほんの少しだけ。
「……さっきの」
ジェーンが小さく言う。
「はい」
「……かっこいい、ってやつ」
「……っ」
(まだ引きずってた……!!)
「すみません……」
反射で謝る。
「……なんで謝るの」
「いやその……」
「……別に」
いつもの言葉。
でも。
少しだけ間がある。
「……ただ」
ぽつり。
「他の人のこと」
少しだけ視線を逸らして、
「……あんまり言わないで」
小さい声。
「……はい」
今度は迷わない。
「気をつけます」
少しだけ沈黙。
「……」
ジェーンは何も言わない。
でも。
ほんの少しだけ、距離が近づく。
「……ジョン」
「はい」
「……こっち」
「え」
手招き。
少し戸惑いながら近づく。
すると——
「……」
ジェーンが、少しだけ肩を寄せる。
軽く触れるくらい。
「……」
ジョン、固まる。
(近い……)
「……これくらいなら」
ぽつり。
「……いい」
小さく。
(これ……)
(甘い方では……?)
「……ありがとうございます」
思わず丁寧になる。
「なんで敬語」
「すみません」
少しだけ、ふっと空気が緩む。
そのまま。
弁当を食べる。
肩が触れたまま。
自然に。
「……」
ジェーンがちらっと横を見る。
「……」
ジョンも気づく。
目が合う。
一瞬だけ。
どっちも逸らさない。
「……昨日の」
ジェーンが小さく言う。
「……はい」
「……忘れないで」
「……はい」
それは、キスのこと。
「……あと」
少しだけ間。
「……あれ」
「え」
「……悪くなかった」
ほんの少しだけ。
照れている。
「……っ」
ジョンの心臓が一気に跳ねる。
(これ……)
(かなりやばい……)
「……顔」
ジェーンが言う。
「はい?」
「……緩んでる」
「すみません!!」
でも。
ジェーンは少しだけ目を細める。
「……別にいい」
そのまま。
静かなランチ。
でも。
さっきまでより、ずっと近い距離。
少し離れた席。
「見た?」
ひそひそ声の
シェドレツキー。
「見た」
頷く
デュセッカー。
「距離バグってない?」
「バグってるな」
「いいなあ」
「やめろ」
「……聞こえてる」
ジェーンがぼそっと言う。
「すみませんでした!!」
即謝罪。
その横で。
ジョンは静かに思っていた。
(……これ、すごくいいな)