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夕方。
仕事が一段落して、社内も少し落ち着いてきた時間。
廊下の端。
窓の近くで、ひとり立っている
ブライト・アイズ。
「……」
缶コーヒーを片手に、ぼんやり外を見ている。
——はずなのに。
「……」
ふと、思い出す。
昼の光景。
フライドチキンをドンと置いて、
真っ直ぐこっちを見てきたあの男。
シェドレツキー。
「……変なやつ」
ぽつり。
自然に出た言葉。
「普通、あの状況で来る?」
誰もいないのに、少しだけ呟く。
「逃げるでしょ」
でも。
思い返す。
“気になってるからです”
あの迷いのない顔。
「……」
少しだけ眉をひそめる。
「……バカなのか」
間。
「……それとも」
ほんの少しだけ、口元が動く。
「……面白いのか」
「……」
缶を軽く傾ける。
「……まあいいか」
そう言って、視線を戻す。
でも。
完全には忘れてない。
その頃。
社内のデスク。
「……」
ジェーンが作業をしている。
でも。
ふと、顔を上げる。
(……)
違和感。
「……姉さん」
小さく呟く。
「……何かあった?」
誰に聞くわけでもない。
でも、分かる。
長い付き合いだから。
(……さっきから)
(少しだけ、考えてる顔してる)
ほんのわずかな変化。
普通なら気づかないくらいの。
「……」
ジェーンは少しだけ視線を細める。
(珍しい)
そこへ。
「お疲れ〜」
軽い声。
振り向くと、
ブライト・アイズが戻ってくる。
「……」
ジェーンはじっと見る。
「なに」
ブライトが気づく。
「……別に」
ジェーンは一瞬考えて、
「……なんかあった?」
直球。
「は?」
少しだけ眉を上げるブライト。
「別に何も」
即答。
「……嘘」
「なんで」
「分かる」
短く。
数秒。
視線がぶつかる。
「……」
ブライトが先に逸らす。
「……変なやつ思い出してただけ」
ぽつり。
「……誰」
ジェーンが聞く。
分かってるけど、あえて。
「……あのチキンのやつ」
「……」
一瞬の沈黙。
「……ああ」
完全に理解。
「なんかさ」
ブライトが少しだけ肩をすくめる。
「怖がらないんだよね」
「……」
ジェーンは黙って聞く。
「普通、引くでしょ」
「……引かない人もいる」
「それ」
「……変な人」
「でしょ?」
ブライトが少し笑う。
「変なやつ」
もう一回。
「……」
ジェーンは少しだけ目を細める。
(気にしてる)
確信する。
「……興味あるの」
ぽつり。
「ない」
即答。
でも——
ほんの一瞬、間があった。
「……そう」
ジェーンはそれ以上言わない。
でも。
(珍しい)
もう一度思う。
「……」
ブライトはそのまま去ろうとして、
「……あんたは」
少しだけ振り向く。
「うまくやってる?」
「……問題ない」
即答。
「そ」
軽く頷く。
「ならいい」
去っていく。
「……」
ジェーンはしばらくその背中を見る。
(……やっぱり)
「……変化してる」
小さく呟く。
その横で。
ジョン・ドウは遠くから様子を見ていて、
(なんか……また新しい流れが……)
ちょっとだけ不安と興味が混ざっていた。