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「相羅と同じクラスだよ!見て見て見て!」
奏茉に手を引っ張られて私は玄関前へくる。それを空茉が追いかけてきた。
「奏茉、同じクラスに決まってるでしょ?一つしかないんだから」
田舎は本当に、1クラスしかないらしい。
前世での私は都会に、というか海外の人だったからすごく新鮮だ。
「クラスメイトはほとんどが保育園の時と同じ人たちだね」
空茉がクラス名簿を見ながら言う。奏茉もほんとだーと言いながら空茉に抱きついている。
相変わらずスキンシップが多いなと思いながら私もクラス名簿を見る。
「へぇ、この人たち保育園一緒だったんだ」
ぼそっとそんなことを言うと、空茉と奏茉はびっくりした顔で私を見た。
なんでそんな顔をされたのかわからず、私は首をかしげる。
「相羅ってほんと人に興味ないよね」
空茉にジトーと見られながら言われる。これは空茉の口癖、と言うかよく私に言ってくる言葉だ。
私が唯一できないこと。それは人に興味を持つこと、関心を持つことだ。自分にも他人にも無関心。頭の中はほとんど無である。
でも、最近は海斗のことをよく考えているから人に無関心とは言えないのではないだろうか。
そんなことを考えていたのがバレたのか、空茉からため息が聞こえた。
「小学校は6年間あるんだし、中学校もほとんどの人が同じなんだよ?流石に僕ら以外にも話す人見つけてよね」
「善処するよ」
「ゼンショって何?」
奏茉が首を傾げながら聞いてくる。流石に小学一年生には難しい言葉だったらしく、空茉もわからないと言うような顔をしていた。
「なるべく頑張りまーすっていう意味」
「すごいね、相羅は」
奏茉が急にそんなことを言い出したから思わず目を見開いてしまう。
奏茉は基本的に知識的なことは聞いてくるくせに流すタイプだ。それを急に受け止め、さらには私のことを羨ましがった。あの奏茉が。
「どうしたの奏茉…風邪でも引いてるの?」
引いてないよ?と言いながら靴を上履きに履き直す奏茉。それに続いて空茉も上履きに履き直す。
こうやってみると、私たちは本当に小学生になったんだと実感する。2人より私の方が知識も経験も豊富だ。でも、だからこそ私より2人の方が成長がしっかりわかる。それを今実感した。
「相羅何してるの?早く教室入ろ」
奏茉と空茉が私を見つめる。
これから、2人の成長を1番近くで見届けたい。
人に興味も関心もない私は、いつの間にかそう思っていた。