僕の脳裏にはもう彩寧さんの存在はなかった。ほかの誰でもなく、どうしても彼女を僕だけのものにしたかった。彼女を抱きたくて頭がおかしくなりそうだった。いや、もうおかしくなっているのかもしれない。
理性で考えれば、彩寧さんを選ぶべきだ。彼女を選ぶ理由など何もない。彼女と別れて彩寧さんと交際すれば、こんな妄想に苦しむこともいつかなくなるはずだ。
でも彼女でなきゃダメなんだ! 彼女を失えば僕は僕でなくなるだろう。今までずっとひどい目に遭わされてきて、今日トドメのように涙が止まらないくらいの衝撃を心に受けた。それでも彼女から離れることができない。僕は今何より僕自身のことが理解できなかった。
涙がとめどなく流れ続けた。その間も脳内のスクリーンは彼女の痴態を再生し続ける。目の前で陸の巨大な性器を見せられ欲情して、おいしそうにそれを頬張る場面。彼女が三人の男たちを同時に相手して、後ろから犯されながら手や口で別の男たちに奉仕する場面。撮影されているのを知りながら陸の巨大な性器で貫かれ、絶頂に達してはしたない声を上げ続ける場面――
知っていたけど、現実は残酷なもの。想像したくないのに、妄想が次から次へと僕に襲いかかる。聞いた話をもとに想像しているだけで、実際に見たわけじゃないから、その妄想が事実かどうかも分からないけど。
そう。それは僕の実体験じゃない。だからただの妄想、フラッシュバックとは違う。でも、僕の脳内で再生されているような光景を、きっと彼女は今までずっとフラッシュバックとして強制的に見せられてきたのだ。おそらく毎日、特に一人でいるときを狙われて――
気づいたら僕は彼女にSNSでメッセージを送っていた。
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