※この小説は二次創作であり、戦争的意図や賛美などは一切ございません。
⚠️(全体) 🇩🇪愛され 微暴力的描写有
俺の代々一族は短命だ。
ある出来事を境に。
『神聖ローマ帝国』という国を
知っているだろうか。
神聖ローマ帝国は約840年程
存在していたと言われる、ドイツなどの
国達が組み合わさって発達した複合国家。
その国家の後続国からだ。
その言い伝えが始まったのは。
神聖ローマ帝国が滅んでから、
後を継ぐ国が発展していく中
突如にして崩壊した
水で消えてしまう水性マーカーのごとく。
まず俺の祖父にあたるドイツ連邦。
不治の病の影響で苦しめられた祖父は
危篤状態から一時的に回復したが
その後悪化し約30年で崩壊。
俺の父、ドイツ帝国。
約40年余りで崩壊。
そして俺の兄であるナチスドイツ。
約10年余りで崩壊。
雨が降れば火も消える。そして
命の灯火もまた同じように消えていく。
…それが兄の最期の言葉だったらしい。
俺がまだ赤子の頃に兄は亡くなった。
そして俺も三途の川を渡りそうな状態だったそう
その時の俺はまだ赤子で、兄の訃報など
知るよしもなかった
それよりも…
“ぎゃあぁぁぁぁぁぁあ‼︎‼︎”
“もッもうだめだッ……”
“いだッ…!!!”
“きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ”
激しい痛みや悲惨な光景、
聞き難い悲鳴に耐えるので精一杯だった。
今でも覚えている。あの悲痛な悲鳴。
耳がキンキンするほどの。甲高い声。
思い出すだけで反吐が出そうだ。
…兄の事は憶えていないのに。
俺が成長して、ドイツ連邦共和国という
国が出来てから、周りから兄の存在と死を
ようやく教えられた
兄の存在を知らずに生きてきたため、
訃報を言われても何も感じる事ができなかった。
泣きも、悲しみもしなかった。できなかった。
そして同時に
代々の言い伝えも教えられた。
教えられた時点で既に兄よりは生きている。
俺の一族は皆短命で、俺もそうかもしれない。
あまり噂や伝説は信じない方だが…
なんとも生々しく、詳しい情報の数々は
信じざるを得ないほどの信憑性があった。
今すぐにでも死んでしまうかもしれないし、
今死んだ方が新しい出会いもなくて良いのかもしれない、でも、まだ生きていたい。
なんとなく矛盾した心が今自分の中にいる
俺は今、一滴の雫の中にいる。
たったひとつの俺の身体で。
脆く…そして弱いひと雫の中に。
〜 一滴のイノセント 〜