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今日も変わらず日が暮れて、 君の嫌いな夜が来る。
夜の闇に震え、いつもよりもきっと小さく見えるその身体を抱きしめることが出来たならどんなにいいだろう。
また、上手くいかなかった。
そりゃそうだ、君の変わりなんてどこにも居ないのだから。
つい最近まで隣にあった、まやかしの温もりを思い出す。
まやかしは所詮まやかし。
本物になる事なんてない事は分かっているのに。
今日もカーテンの隙間から月明かりがおれを照らすだろう。
愛している人に愛していると言えない臆病者のおれを責めるように、 偽物の愛しか囁けないおれを嘲笑うかのように。
赤く染められた部屋で、これから登る月に心の中で中指を立てながら、おれはカーテンを閉めに行く。
「ははっ。」
窓ガラスに映った夕焼けに染る自分と目が合い 、思わず乾いた笑いが漏れた。
なんでかって?
それは、本当に中指を立てたいのは、窓ガラスに映る情けない顔をした自分自身にだと言う事に気付いたから…。
-fin-