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Gルート時間軸 underwolf
兄弟喧嘩なんてした事ないに等しかった。
まぁりゅうにぃは…たまに怒るけど、家族を思いやっての注意とかじゃれ合いとかそんな感じだ。
何で、この日になっちゃったんだろう。
珍しく、喧嘩した。
人間が、あの手で兄や友達を殺したというのに、自分もああなるという恐怖があるはずなのに、兄弟は警告を無視して人間の元へ向かった。
僕は兄弟に酷い言葉を投げかけたんだ。
無理だとか。諦めろとか。
そんな感じの…普段なら兄弟が怒る言葉を。…仕方ないでしょ?もう僕とりゅうにぃとその他数十人くらいしか生き残ってなかったんだから。
失うかもしれないって、思ったから。僕にはそれくらいしかできなかった。
わめき散らすような、激しい喧嘩ではなかった。一方的な、静かな対立。
力ずくで止める事だってできたかもしれない。
でも…僕はしなかった…できなかったんだ。
束縛するなんて、そんなことできなかった。
止めたとしても君は行ってしまう。そうでしょ?
だから、ただひたすらに祈る事しかできなかった。
複雑な気持ちを抱えながら、何百年も共に過ごした背中を見送った。
竜一「泣いてるの?空…」
腕の中の、もう足が塵になってる兄が問いかけてくる。
人間はとっきに屋敷への方向へ向かった。
レッテルは静かだ、僕と兄弟しかいない
竜一「大丈夫、多分俺で最後だよ…きっと、もうこれ以上の犠牲は出ない。大丈夫。」
違う、違うんだ兄弟。
君が、君達が犠牲になってちゃ意味が無いんだ。
竜一「ただ…やっぱり怖いから、塵になるまで側に居てほしいんだ…」
当たり前だ。僕が寝るまで兄弟は、ずっと横にいてくれたもんね。
竜一「側に居てほしいなんて…子供みたいだね、俺」
違う、違うんだ。
本当に居てほしいのは、僕の方なんだ。
何故今日こんな事になったのだろう。
兄弟喧嘩なんてした事ないに等しかった。
そりゃあ全くなかった訳じゃない。
でも例え喧嘩しても、夕方にはどちらかがごめんって言って、仲直りのハグをしてた。
兄弟の腕は、もう塵になったから、ハグは僕が一方的にしかできない。
許してくれなくていいから、僕の側に居てよ。
竜一「…空、ちゃんと歯磨いてよ。」
空「うん、もちろんする。するよ。」
竜一「ちゃんとお風呂入ってね。」
空「うん、うん、するよ。」
竜一「…俺が居なくても、ちゃんと寝てね。」
僕には兄弟を止める事はできない。止めたくても行ってしまう雪。
僕はただひたすらに、雪が眠るまで側にいるしかできないのだ。
空「………おやすみ、兄弟。」
兄にしてもらったように、そっと頭を撫でて、何百年も共に過ごした雪を見送った。
レッテルは静かだ。
僕しかいない。