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「領域展開――無量空処。」
五条悟の指が空をなぞると、周囲の景色が一変した。鋼谷の視界に広がったのは、無限の情報と感覚が押し寄せる異次元空間。空間そのものが五条の意思に支配され、鋼谷の体は動かず、頭が情報の洪水に埋もれていく。
「この中ではお前の意識も、行動も、すべて掌の上だ。」
五条は笑みを浮かべ、鋼谷を冷たく見下ろす。
しかし、鋼谷は驚くどころか余裕の表情を浮かべた。
「なるほど、確かにすごい力だな。でも、お前の領域は完璧じゃない。」
鋼谷は懐から特殊な装置を取り出し、それを起動させた。装置から発生した光が五条の領域内を駆け巡る。
「…これは?」五条が僅かに眉をひそめる。
「この装置は『空間の歪み』を補正する異能デバイスだ。呪術か何か知らないが、物理法則を無視する空間にはちょっとした歪みができる。それを利用すれば、お前の支配を崩せる。」
五条は一瞬動揺したが、すぐに平然と笑う。
「確かに面白い発想だが、これだけで僕に勝てると思うなよ。」
鋼谷は苦笑しながら呟く。
「いや、勝つつもりなんかないさ。ただ、空間から抜け出せれば十分だ。」
装置が発する光が鋼谷の周囲を覆い、領域の一部が亀裂を起こした。その瞬間、鋼谷は全力で装置を爆発させる。
閃光と共に、鋼谷は領域から弾き飛ばされ、元の世界に戻った。息を切らしながら地面に転がる鋼谷に対し、五条は少し驚いた表情を浮かべた。
「なるほど、僕の領域を突破する奴がいるとは思わなかった。」
鋼谷は苦しげに笑いながら立ち上がる。
「お前の領域に長居するほどバカじゃないからな。だが、これで終わりじゃないだろ?」
五条は首を軽く回しながら言った。
「当然だ。この戦い、本気で楽しませてもらうぜ。」
鋼谷は再び構え直し、五条に向き合う。呪術と異能、二つの異なる力の戦いはさらに激化していく――。