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『命令は一つ』
部屋に入った瞬間だった。
「消えろ。」
「お前なんかいらない。」
「全部お前のせい。」
嫌な言葉が、頭の中で何重にも重なる。
耳を塞いでも止まらない。
👁️🗨️はその場にしゃがみ込み、震える手で頭を抱えた。
「……うるさい……。」
呼吸が浅くなる。
何が現実なのかわからない。
その時、扉が開く。
Ი𐑼は何も慌てず、静かに部屋へ入ってきた。
騒ぐことも、慰めることもない。
ただ一言。
「立て。」
👁️🗨️は震えたまま動けない。
頭の中ではまだ声が響く。
「無理……。」
Ი𐑼の声は変わらない。
「立て。」
短く、強く。
👁️🗨️は歯を食いしばり、壁を支えにゆっくり立ち上がる。
息は乱れたまま。
視界も揺れている。
「消えろ。」
「失敗作。」
また声が聞こえる。
思わず耳を塞ごうとした、その瞬間。
「耳を塞ぐな。」
Ი𐑼の命令だった。
「でも……。」
「私を見ろ。」
👁️🗨️は必死に顔を上げる。
焦点が合わない。
それでもᲘ𐑼だけを見る。
「今、聞こえている言葉に従うな。」
「……。」
「私の声だけ聞け。」
頭の中の声はさらに大きくなる。
「違う。」
「騙されるな。」
「終われ。」
👁️🗨️は震え始める。
涙が止まらない。
「無理……。」
Ი𐑼は一歩近づく。
その表情は厳しいままだ。
「泣いてもいい。」
「震えてもいい。」
「だが、その場から逃げるな。」
👁️🗨️は息を整えようとする。
うまくできない。
それでもᲘ𐑼は次々と命令を続ける。
「息を吸え。」
吸う。
「吐け。」
吐く。
「もう一度。」
繰り返す。
頭の中の声はまだ消えない。
でも、一つずつ命令をこなすたびに、Ი𐑼の声だけが少しずつはっきり聞こえてくる。
最後にᲘ𐑼は静かに言った。
「頭の中の声は命令ではない。」
「私が出す命令は一つだけ。」
「今日を終えるまで、生き抜け。」
👁️🗨️は涙を拭い、小さくうなずいた。
「……従います。」
部屋にはまだ不安が残っていた。
けれど今は、頭の中の声ではなく、目の前の現実に意識を向けることができていた。
コメント
1件
かほさん、第2話読ませていただきました…。 最初の「消えろ」という言葉の連続、読んでいるこっちまで息が詰まるようでした。でもᲘ𐑼の「立て」「私を見ろ」っていう短い命令が、逆に👁️🗨️を現実に繋ぎ止めるアンカーになっているのが切なくて、でも確かな強さを感じました。「頭の中の声は命令ではない」という言葉、刺さりますね…。 二人の距離感が、声の強さと短さで伝わってくるのが、かほさんの技だなあって思いました。続き、気になります🌷