次の日、また今日も凪先輩に会いに行った。
だが、凪先輩は神社に居なかった。
出かけてしまったのだろうか。
俺はその日は仕方なく家に帰った。
だが、居なかった日はその日だけじゃなかった。
毎日神社に行っても凪先輩は現れなかった。
俺はすごく心配になった。
そして、春終わりの今日も神社へ向かった。
「あ、涼久しぶり」
そこには俺の名前を呼んで微笑む凪先輩がいた。
「どこ行ってたの?」
そう俺が聞くと
「秘密」
と答えた。
だが、
「じゃあね」
と言って凪先輩は俺の目の前で消えた。
消えると言っても、
あの桜吹雪に視界を奪われたあと、
凪先輩はその場にいなかったのだ。
まるで、春が終わるのと同時に消えたような。
桜は若葉になっていた。
あぁ、夏が始まったのだ。
その日は昼から学校があったため、
ゆゆコンビといつものように学校へ向かった。
「あのさ、凪先輩が消えたんだよね」
「ん?凪先輩?」
「凪先輩って誰?」
え?どういうことだろうか。
「え、凪先輩ってうちの学校の先輩だけど?」
「そんな先輩うちの学校にいないよ?」
何故か、
凪先輩という存在が元々居なかったような….。
「ちょ、今日俺休むわ!!」
「え!?」
「先生に言っといて!!!」
そう言って俺は神社に向かった。
俺は神社に着いたあと、
凪先輩から教わった花の花言葉を急いで調べた。
すると、
勿忘草の花言葉は ” 私を忘れないで ” 。
そして、
修禅寺寒桜の花言葉は ” 貴方に微笑む ”
だった。
ほかの花の花言葉も調べたが、
何故だか俺の頭の中には凪先輩の姿があった。
しかし、勿忘草の花言葉だけ少し違和感を感じた。
他の花は凪先輩自体を表しているようなのに、
勿忘草だけはメッセージみたいなものだった。
俺は若葉を生い茂った修禅寺寒桜の幹に手を添えて
「俺は忘れないよ。永遠に」
そう言い、心に誓った。
すると、風が吹いて若葉の音が鳴り響く。
それと同時に
『ありがとう』
そう聞こえた気がした。
もしかしたら凪先輩は
自体だったのかもしれない。
コメント
1件
いい話…😭