「よく、分からんな。詳しく話してくれるか?」
「その例の男は、所謂情報担当なんよ。狙いの女と恋仲になってから、デートに行く。そのデートの時におんなじチームに属しとる別の男がキャッチとして話し掛けるんや。そんで、男を人質で取ったように見せて、女を風俗やらなんやらに連れていく。驚く程綺麗な作戦やろ?」
「最初はただのヤリチンの集まりやと思っとったのに全然違くてびっくりだわ」
「ハハッ、確かにしょにだの話を聞いたアニキからしたらそんな風に感じるよな」
「初兎と連絡取っとるんか?」
「いやいや、全然とってないで。アニキは俺の事身近な人だと思うけど、俺一応プロの情報屋だから。何でも知ってるから!」
確かに身近な人だと安心しきっていた。この男の正体は、裏の社会では誰でも怯える情報屋。全てを見透かすような蕩けた目をしていて、笑顔が綺麗な彼のような人間でも信用しきってはいけないようだ。鼻をつんざくような酒の匂いを感じる薄暗い路地裏、今日も振り回されっぱなしの人生に感謝だ。
「なぁ、、まろはこの男の所属しとる事務所の場所とか分かるか、、、?所属しとる、グループだけでもええんやけど、、、」
「ごめんだけど、そこまで調べてないわ、、、でも、そんぐらいならすぐわかると思う。ちょっとじかんくれるか?」
「いや、俺は情報貰えるなら何時でもええから。」
「ん、ごめんな。」
如何にも落ち込みましたと言わんばかりのまろの顔。彼がこんなに落ち込むなんて珍しい、久しぶりに見たかもしれない。何時でも求められた情報を提示してくれる彼でも知らないことぐらいあるに決まっているのに、、、いつでも、仕事熱心な男だ。ここは、元総長として彼を元気づけるしかないようだ。
「なぁ、まろ今からデートしよか。」
「、、、は?」
「今から、イルミネーション見に行くぞ。」
「え?アニキ、と、、デート、、、??」
「おん、知っとるかまろ?幸せっていうもんはあるんじゃなくて作るんや。今から幸せ作りに行くぞ!」
「え、あ、、うん、、!!」
その後俺とまろは、深夜ながら夜のデートを楽しんだ。もう、冬は終わりに近いのに季節外れのイルミネーションを見に行った。柄にもなく2人で手を繋ぎブラブラと回っていった。寒さを少し感じると自販機によりまろはブラック、俺は紅茶花伝を押す。やはり、甘党こそ正義だ。
まろは、最初こそ元気がなかったが、昔のことだとか辛い事だとかフリーターの辛さやらを話して行くうちに元気を出てきたようだ。俺を抱いた時のような何処か雲が掛かった暗い瞳ではなく活気に満ち覇気を発する瞳だった。
だいぶ歩き、路地前のベンチに座っているとまろが話し掛けてくれた。
「アニキさ、、、俺を元気にしてくれる為にデート、?かな、に連れていってくれたんでしょ?ほんとアニキには頭があがらんわ(笑)。俺なんて他人の話を他人に伝える事しかできん約立たずなんに。」
「そんなこと言うなやまろ。俺は本当にまろの事頼りにしとるから。お願いやからそんな、自分を下に見るんはやめとき。本当の下等国民である俺の行き場がなくなってしまう(笑)」
「そっか、、、アニキは本当に頼りにできるわ。愛してるよアニキ。ありがとう。」
「ん、俺も愛しとーよ」
コメント
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まろにき...てぇてぇ... 元気づけるためにデート行くとか頭良すぎだろ!