テラーノベル
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帝国・ 皇城。
巨大な玉座の間。
赤い絨毯。
高い天井。
その奥の玉座に座る男。
ラウール皇太子。
金色の髪が月光に光る。
その前に、一人の男が跪いている。
リョウヘイ。
鎧は傷だらけ。
長い沈黙。
ラウールが口を開く。
🤍顔を上げろ
リョウヘイがゆっくり顔を上げる。
ラウールは楽しそうに言う。
🤍セイレーンは?
リョウヘイは答える。
💚捕獲失敗
広間の空気が一瞬凍る。
しかし、ラウールは怒らない。
むしろ笑う。
🤍やっぱり
🤍で?見たんだよね?
リョウヘイの目が少し揺れる。
ラウールが続ける。
🤍歌を
リョウヘイは静かに言う。
💚…はい
💚世界干渉を確認
広間がざわつく。
貴族や将軍たちが息を呑む。
ラウールの目が輝く。
🤍素晴らしい、本物だ
リョウヘイは続ける。
💚時間停止、空間歪曲、自然共鳴すべて発生
沈黙。
ラウールは立ち上がる。
ゆっくり階段を降りる。
リョウヘイの前まで来る。
🤍どうだった、神は
リョウヘイの眉が動く。
💚神ではありません
ラウールが少し笑う。
🤍へぇ
リョウヘイは言う。
💚ただの人です
💚泣くし、怖がるし、戦いも望んでない
ラウールは静かに聞いている。
リョウヘイが続ける。
💚だから
少しだけ声が強くなる。
💚捕獲すべきじゃない
玉座の間が凍る。
ラウールは沈黙する。
数秒。
そして、突然 笑い出す。
🤍ははははは
広間に響く笑い。
🤍なるほどね
リョウヘイの顎を指で上げる。
🤍情が移った?
リョウヘイは目を逸らさない。
💚…任務の報告です
ラウールは言う。
🤍嘘だ
小さく笑う。
🤍気に入ったんだろ
リョウヘイの沈黙。
ラウールは楽しそうに言う。
🤍セイレーンも
🤍レンも
空気が重くなる。
ラウールはゆっくり歩く。
🤍でも、
声が冷たくなる。
🤍それでも
振り向く。
🤍世界は動く
その目は、狂気の光。
🤍神がいるなら、王が必要だ
リョウヘイが聞く。
💚…何をするつもりですか
ラウールは微笑む。
🤍簡単だよ
玉座に戻る。
🤍奪う
リョウヘイの拳が少し握られる。
ラウールは続ける。
🤍公国、大公、全部
🤍邪魔なら壊す
そして静かに言う。
🤍戦争だ
広間が震える。
しかし、ラウールは笑っている。
🤍楽しみだ
リョウヘイは目を閉じる。
頭の中に、湖の光景。
レン。
ダイスケ。
泣いていた顔。
目を開ける。
💚…
ラウールが言う。
🤍リョウヘイ、次の任務だ
リョウヘイが答える。
💚はい
大公城の一室。
静かな時間。
ダイスケは窓際に立っていた。
月が、少し揺れて見える。
🩷…変だな
小さく呟く。
風はない。
でも、景色がわずかに歪んで見える。
水面のように。
その時、後ろで小さな音。
振り返る。
レンがいた。
🩷レン?
返事がない。
近づく。
レンは壁にもたれている。
🖤…っ
息が荒い。
🩷レン!?
駆け寄り、腕を掴む。
その瞬間。
ゾワッ
嫌な感覚。
レンの腕に “うっすらと” 黒い紋様が浮かんでいた。
🩷…え?
消えたはずの呪い。
でも、確かにそこにある。
レンは苦しそうに笑う。
🖤…大丈夫
ダイスケの心臓が強く鳴る。
🩷大丈夫じゃない
震える声。
🩷消えたはずだよ
レンは答えない。
ただ、静かに言う。
🖤なあ、ダイスケ
目を上げる。
🖤もし、俺がまた壊れたら
ダイスケの呼吸が止まる。
🖤その時は歌ってくれ
ダイスケは首を振る。
🩷違う
一歩近づく。
🩷今歌う
すぐに、守るために。
息を吸う。
だが… 声が、出ない。
🩷…え?
喉が震える。音が出ない。
まるで何かに拒まれているみたいに。
レンの瞳が揺れる。
🖤…ダイスケ?
ダイスケは必死に声を出そうとする。
でも出ない。
その瞬間、部屋の空気が歪む。
どこからか声がした。
『未完成だ』
二人が同時に顔を上げる。
誰もいない。
でも確かに聞こえた。
『その歌はまだ世界に届かない』
ダイスケの背筋が凍る。
レンが剣に手をかける。
🖤誰だ
返事はない。
ただ、窓の外の月が 大きく揺れていた
500年前
公国の初代大公は、海で一人の女性に出会った。
その女性はセイレーンだった。
彼女は人を愛してしまった。
セイレーンは本来、人を愛してはいけない存在。
それでも二人は結ばれた。
セイレーンは、世界を創る歌を持つ存在。
神に近い力。
その存在が一人の人間を愛したことで
世界の均衡が崩れた。
神殿は怒った。
そして教皇庁の前身組織は
セイレーンを封印し殺した。
死の直前、彼女は歌った。
愛した人を守るために。
だが、歌は完全ではなかった。
その結果、教皇庁の兵器の残骸として大公家に残ったもの。
それが呪い。
大公家の長男は、必ず
・愛する人を失う
または
・愛する人を傷つける
運命になる。
つまり愛が破滅を呼ぶ血筋。
しかし、これは本当は呪いではない。
未完成の歌。
セイレーンの歌は 本来、 二つの存在が揃わないと 完成しない。
つまり
セイレーン + 愛する者
この二人が揃った時、歌は完成する。
ダイスケは、セイレーンの末裔。
レンは、セイレーンを愛した男の血。
つまり二人は 500年前に途中で終わった歌の
続きを歌う存在。
レンとダイスケの婚姻は
政治でも偶然でもない。
運命。
二人が結ばれることで500年前から続く
大公家の呪いが終わる。
コメント
2件
凄い!!☆*。(๑>ω<๑) *。゚ どうやったら思いつくの? むるさん、マジ天才やん!! まさに運命…こういうのめっちゃ好き 続きも楽しみしてます(>ω<*)💕