いつも通りハックを待ち伏せしていた
サブローは、部室の前で突っ立っていた。
「今日は僕のとっておきの技を見せてやろう…」
どうやら新しい技が使える(?)ようになったらしい。
ハックに褒めてもらおうという作戦だ。
褒められている妄想をし、ハックを待っていると
こちらに向かって歩いてきた。
「おいハック!今日は僕の新しい技を見せて…」
「邪魔っす」
ドアの前に突っ立っていたため、当然中に入ることが出来なかった。
「……」
「入れないんでどいて下さいっす」
圧に負けたのか、サブローは諦めて退いた。
そしてハックの後ろについて部室に入っていった。
「…なんで入ってくるんすか?」
「言っただろう?お前に僕の新しい技を見せるためだ」
このままほっといても良かったのだが
余計に絡んできそうだったので諦めて披露させることにした。
「で、どんな技なんすか?」
「ふっふっふ……」
「呪血尸解嘆歌〔エターナル・ラメント〕!」
そう唱えた瞬間
紙吹雪が色んなところにばらまかれた。
「どうだ?僕の新しい技は…」
「いや何普通に部室散らかしてんすか!!」
「後でタブーさんに怒られても知らないっすよ」
そう言われるが、ハックも拾うのを手伝った
これは決してサブローを手伝っている訳では無い
タブーに怒られるのが面倒だからだ。
「あ〜っ、フードの中にまで……」
カエルパーカーのフードを脱ぎ
紙吹雪を一枚一枚取っていった。
「……」
ハックの横顔をまじまじと見ている。
目線に気がついたのかお互いに目が合う。
「…どうしたんすか?」
「な、なんでもない」
少し照れくさくなったサブローは右眼を隠していた
髪の毛を触り、誤魔化しながら拾っていた。
キラン
「…ん?」
どこからか金属が落ちる音がしてきた。
それを気にしずに二人は紙吹雪を拾い続けた。
数時間後
「いやぁほんとにすまん」
「もう部室で紙吹雪バカみたいに散らかさないでくださいっすね」
紙吹雪がとても多い量あったので拾うのに
とても時間がかかってしまった。
「ところでずっと思っていたのだが、キリン達来なくないか?」
周りを見渡してそう言った。
「キリンさん達、結構遅れてくる事多いんすよね」
「そうなのか」
「……あれ?」
ポケットの中を漁り、何かを探している。
「…ない」
「何が無いんだ?」
「部室の鍵が……ないっす」
ハックが真っ青な顔でそう訴えてきた。
「ちょっと待て、なんで急に鍵を探してるんだ?」
「いや、サブローくんの技も見たし帰ってもらおうかと…」
「酷いな!!」
そう突っ込むも、ハックは必死に鍵を探した。
「あいつらからまた新の鍵貰えばいいだけじゃないのか?」
「あの鍵には俺が入部した時に貰った大事なストラップがついてるんす…」
「だからまた新しいものを貰うなんてこと…」
胸が苦しくなったのか
ハックは少し涙目で言った。
「やっぱり無い…」
そこから数分くらい部室を探したがどう探しても
鍵は出てこなかった。
「……もう諦めるっす」
「それでいいのか?」
下を俯き、諦めようとしたハックを止めようとした。
「いくら探しても出てこないんすよ、どうしようもないっす。」
「もっと探せば……」
「もう…ほっといてくださいっす」
完全に落ち込んでしまっていたハックは
荷物をまとめて部室を出ていってしまった。
「…あ、僕の呪血(紙吹雪)が1枚堕ちて……」
キラン
「……!!」
サブローは1枚の紙吹雪と一緒に拾った。
「………」
「ハック!」
帰ろうとしているハックを呼び止めた。
すると後ろを向いてくれた。
「どうしたんすか、サブローくん。」
「僕の手には今どちらかに紙吹雪が収納している。当ててみろ」
両方の手を握り、問題を出した。
「…?」
「こっちっすかね」
指を指した手を開き、ハックに見せた。
するとハックは驚いたようにこちらを見ていた。
「俺の鍵……!」
「ストラップも…!!」
「どっ、どこにあったんすか…?」
気になったのか、尋ねてきたハックに
サブローは答え返した。
「僕の呪血(紙吹雪)が1枚堕ちていてだな、拾おうとしたらそこにお前の鍵があったんだ」
「でも、ストラップはなかったんだ」
「じゃあどこに……?」
「僕のポケットの中だ」
サブローは面白可笑しそうに笑って言った。
「前に手錠で繋がれた時があっただろう?もしかしてと思って僕のポケットの中を捜索していたら、そしたら入ってたんだ」
「…もう無くすんじゃないぞ」
サブローはハックの手のひらに鍵とストラップを置いてそう一言言った。
安心したのか、ハックは笑顔になって笑ってくれた
良かった、ハックが笑顔を取り戻した。
サブローもそう安心していた。
「じゃあ僕は門が鎖されてしまうから拠点に戻るぞ」
「はいっす。」
後ろを向いて歩き始めた。
その瞬間、ハックが服を引っ張って帰るのを止めた。
「……その」
「本当に、ありがとうございましたっす。」
照れくさそうにサブローに例を言った。
それを耳にしたサブローはハックにこういった。
「闇堕ちした戦友を闇から解放させるのは、僕の役目だからな。」
「それに、僕にかかればこんなものすぐに見つけられるさ」
「じゃあな」
かっこよく決めたつもりだったが
サブローの耳は真っ赤に染まっていた。
ハックに礼を言われた…嬉しい
これはもう友達だよな!
そう1人で妄想しながら
帰り道を歩いていった。
「……サブローくん」
「なにが「すぐに見つけられる」っすか…」
「肩がホコリだらけっすよ。」
そう呟き、ハックも帰って行った。
コメント
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いいねぇ〜、、、!
サイコー☆+☆)/サイッコー