???「やっと立ち入り禁止令が取れた〜それもこれもあの猫又女のせいで……」
ここは、『トウヒガ学園』。図書室への廊下の途中で「雨花」は嘆いていた。
雨花「はぁ……」
雨花は一息溜息を着くとそのまま黙って廊下を渡る。
雨花「…………」
シーン
雨花「…………」
雨花は角を曲がると、
???「あれいない……?」
雨花「何か用?化茶」
???「えっ気づいてたの?」
雨花の跡を付けていたのは「化茶」だった。
雨花「生憎気配には敏感なんでね」
化茶「えぇマジかぁ〜で・も!それってアタイの気配を覚えててくれてたってことだろぉ?嬉しい〜ふふん〜ふふん〜」
雨花「何の用って聴いてるんだけど……?」
化茶「あっそうだった!ちょっとゲームしよう!」
雨花「は?ちょ……」
化茶は、雨花の左手を掴むと瞬間移動した。そこは……
???「雨花さん?」
???「びっくりした……その人誰?」
???「オレもマジで驚いたわ。何なのお前ら」
???「どうかしたのか?雨花」
生徒会室だった。
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化茶「お前らにはゲームしてもらいまぁす!」
桃時「ゲーム?」
瑠璃人「何なんだよ。おい雨花!説明しろよ!」
雨花「いやぁそれがわたしにもよくわかんなくて……」
兎白「ゲームとは何のことだ?」
橙「化茶さん、何するつもりですか?」
化茶「雨花だけに説明するという前提で話してやる。今から雨花には「生徒会室を目指せ!謎解きゲームをしよう!」に参加してもらいます!どんどんパフパフ〜!ルールは簡単!今から三十分以内に生徒会室のドアを開けて入ること!そうしないと雨花の左腕が吹っ飛びます!」
雨花「わたしの左腕……?あっ手の甲に何か書いてある……」
雨花の手には、丸の中に「茶」と書いてある紋様が入っていた。
桃時「ちょっと!こんなの脅迫じゃない!」
橙「私たちは参加するなんて言ってないです!」
兎白「これはゲームと言えるのか……?」
瑠璃人「こいつ何なんだよ。早く雨花にかけた妖術外せ!」
化茶「はいはい!もたもたしてると雨花の左腕が吹っ飛ぶぞ〜」
雨花「え?別に良いよ。吹っ飛んでも」
橙・桃時・兎白・瑠璃人・化茶「え?」
雨花はきょとんした顔で、一同をみつめる。
橙「何言って……るんです?」
雨花「だから言葉のまんまだよ。わたし吹っ飛んでも良いよ。」
雨花は、こう考えていた。校内で自分の腕が吹っ飛ぶ程の大騒ぎが起これば、こちらにかなり利点がいき、学園の要望に従わずに済むから。つまり、「雫」の「幸せな学校生活を送って欲しい」という雨花への願望を叶える必要がなくなるのだ。
……という風に考えていた。
桃時「あんた……何か企んでるでしょ?」
雨花「何の話かなぁ?」
兎白「おい、雨花。ふざけてる場合じゃないぞ」
雨花「大いに真面目だよ。わたし」
瑠璃人「自分の腕が吹っ飛ぶのが平気とか言ってる奴の一体どこが真面目なんだよ!?」
橙「雨花さん……何でそんな余裕そうな顔なんですか!?」
雨花を心配そうにみつめる橙たち。
雨花「えっそんなの……」
「「自分の願望が叶うからだよ」」
光のない闇もない何もない目でニヤリと笑う雨花。
瑠璃人「が、願望?」
雨花「あぁでも痛いのは嫌だなぁ〜うーんどうしよ……」
化茶「じゃあ雨花には賞品をやるよ!腕を失わなくても済むし、お前の「望み」を叶えてやることが出来る。……さぁどうする?」
雨花「え?そんなことできんの?やるやる!」
「じゃあ始まりだな!」「でもこいつに借りを作るのは……」「借りなんて返さなくて良いよ〜アタイはお前の絶望した顔が観たいんだ!」「それなら信用はできそうだね。信頼じゃなくて」「うーん雨花らしい!やっぱりお前はアタイの……」
橙「何か話が進んでますが……」
桃時「アタシたち巻き添え食らってるわよね?」
兎白「でも雨花が腕を失う心配はとりあえずしなくても良さそうだ」
瑠璃人「あいつら言ってることめちゃくちゃすぎ」
「まずは、」
化茶「雨花とその他は出ていけ〜」
「「わぁぁぁぁ!?!?!?!?」」
凄まじい風で教室の外に追い出され、扉ごと吹っ飛んで行った雨花たち。扉は化茶の妖術によって自動的に塞がって直った。化茶の声が生徒会室の中から聴こえる。
化茶「雨花!……とその他。今から雨花には暗号を解いてもらう。その他はちゃんと助けてやれよ!でも邪魔すんな!」
橙「暗号……ってこれですかね?」
その暗号にはこう書いてあった。
『やふにふるかはつちか
答えはあなたたちの所持品から導き出せる』
化茶「さぁ!わっかるかな〜」
橙「私たちの所持品から導き出せる……」
桃時「そんなの携帯しかないわよ」
瑠璃人「携帯でどうしろっつんだよ」
兎白「うーん……」
雨花「携帯でとりあえず、この文章打ってみる?」
雨花たちは、『やふにふるかはつらか」を打ってみる。しかし、何も分からない。
瑠璃人「おーい何かヒントくれよ〜」
化茶「…………」
雨花「化茶、ヒント頂戴」
化茶「そこまで言うなら仕方ないなぁ〜ぬほほほ」
瑠璃人「キモ」
化茶「ん?何か言ったか?」
瑠璃人「いいえ!別に」
化茶「ヒントは……」
「「英語表記」」
化茶「教えてやったんだから頑張れよ〜」
橙「英語表記?」
桃時「やっぱり携帯を使うのは間違ってないみたいね」
瑠璃人「……わっかんねぇな」
兎白「どうしたら……ん?雨花?」
雨花は自分の携帯のメモに文字を入力していく。
瑠璃人「どうしたんだ?」
雨花「分かった」
桃時「え?本当に?!」
橙「答えは何なんですか?」
雨花「答えは……」
「「『常闇は』だと想う」」
しばらく沈黙が続くと……
化茶「正解だぞ〜雨花!」
答えは正解だった。
瑠璃人「すげぇじゃんお前!」
兎白「よく分かったな。どうして分かったんだ?」
雨花「えっとぉね、まず日本語かなの入力でこの暗号を打つ時と同じやり方で英語表記に入力していく……「tokoyamiha」になるんだよ。ローマ字読みすると「常闇は」になる。でも意地悪なことにフリック入力かトグル入力どっちをしたら良いのか分からなかったから人間が便利で使っているフリック入力をあいつは選んだりしないだろうなって想ってトグル入力でやったから時間的にまだ余裕が出来たね」
橙「あなた頭悪いはずなのに……!」
桃時「すごいじゃない〜!」
雨花「……ありがとう」
瑠璃人「いやぁすげぇわ」
兎白「……?」
いつもの雨花なら
「えへへ〜」って照れる時もあるのに
化茶「はい!では次の問題だよん〜!雨花、その他ガンバ〜」
次は数式と、下に空白のます十文字分があった。
雨花「数式の問題は橙ちゃんと桃時ちゃんにお任せしま〜す」
橙「この分野なら分かるかもしれません!」
桃時「雨花は数学苦手だものね」
橙、桃時は数式を解いていく。
瑠璃人「オレたち何の役にも立ってなくね?」
兎白「女の子が頑張っているのに情けないなぁ」
雨花「男の子が女の子より優れてなきゃいけないなんて古い考え方だよ」
「だから」
「「頑張れる時に頑張れば良いんだよ」」
兎白「ありがとう。雨花」
瑠璃人「次の問題こそ解いてやる!」
桃時「…………できたわ!」
橙「数式の答えは……」
答えは、①から⑩まで順番に言うと
14、5、11、15、13、1、20、1、23、15
だった。
橙「この数字たちどうすれば良いんでしょうか?」
桃時「わっかんないわねぇ」
兎白「ヒントくれないか?化茶」
化茶「…………」
桃時「ちょっと雨花!言ってきなさいよ!」
化茶「あ、あぁ、雨花に頼んでも無駄だからな〜」
桃時「そんなぁ……」
兎白「さっきみたいに携帯を使ったらどうにかなるだろうか……」
瑠璃人「同じような問題は出さないんじゃないですかね?」
橙「携帯……あっ!」
桃時「アタシも分かったわ!」
瑠璃人「マジでか!?何なんだ!」
兎白「解き方が分かったのか?」
雨花「どんな方法?」
橙「それは」
「「ローマ字表記!!」」
兎白「さっきみたいに携帯を使うのか?」
桃時「いや違うのよ。ローマ字表記にするのはまずこの数字をアルファベット順に当てはめてからよ」
瑠璃人「そうか!この数字たちをアルファベット順番の数字に当てはめて……」
橙「それをローマ字読みすれば!」
雨花「すごいね!橙ちゃんたち!」
橙「よしじゃあ早速……」
橙たちはアルファベットに数字を当てはめながら、言葉を作っていく。
橙「できた!」
兎白「えっと、できた言葉は……」
瑠璃人「猫……」
桃時「又……」
雨花「…………」
一同、沈黙が続く。
桃時「何でかしら」
橙「この後の言葉が」
兎白「想像つくな」
瑠璃人「雨花オレたちから言わなきゃいけない言葉がある」
雨花「はい、どうぞ」
「「どんまい」」
謎の答えを読み取ると、
『常闇は、猫又を、……」
になる。
読者の皆さんは、化茶が求めている答えが自ずと分かるのではないでしょうか。そう、化茶は、
雨花「絶対わたしにこのセリフ言わせたいだけだろ!!!!」
化茶「あれれ?もう分かっちゃった?でも、まだ最後の謎が残っているよ〜」
そして雨花たちの前には謎と……
兎白「これは……!?」
桃時「まさか……」
「「時限爆弾!!!!????」」
橙「え?!」
瑠璃人「嘘だろ!!」
化茶「もしこのまんま放っておいたら、この生徒会室は、木っ端微塵だなぁ!お前らの絶望した顔みたら笑い死にそう。あひゃひゃひゃ」
桃時「あんた……!」
化茶「でも、この時限爆弾の中にあるコードの中にある白と黒のコードの内正しいものを切れば、何にも起こらず、謎の答えが降ってくるんだよ〜さぁせっかくなんだからこのスリリングな状態を楽しみなされ〜ちなみにアタイは逃げる気満々!!」
雨花「こういうのって普通赤と青じゃない?」
兎白「オレたちでやろう」
瑠璃人「えぇ!?マジすか?!逃げましょうよ!」
桃時「信じてるわよ」
橙「あなたたちに任せます」
瑠璃人「お前ら!……って」
「「めっちゃ離れてんじゃねぇか!!!!全然信用されてないなぁ!!!!」」
雨花「…………」
瑠璃人「残ってくれてんの雨花だけじゃん!!」
兎白「よし、このコードを切る。」
瑠璃人「もうちょっと考えましょうよ!」
兎白「いやもう時間が無い……」
桃時「四」
橙「三」
瑠璃人「二」
兎白「一!」
兎白がコードを切る。すると、
瑠璃人「と、止まった?」
橙「止まりましたね……!」
桃時「やったぁ!!兎白ありがとう!!」
兎白「いや、最後は当てずっぽうだったな」
雨花「いや兎白くん。それもっと深くまで探ってみな」
兎白「え?あっ」
コードの奥を探ると、白と黒のコードは中で一つに繋がっていた。
橙・桃時・瑠璃人「…………」
兎白「一緒だったのか。良かった。それなら安心だな」
雨花「兎白くん……その心はそう簡単に手に入れられないよ」
兎白「え?」
フラフラと一つの小さな紙が降ってきた。
化茶「はっ!良く謎解きゲームできたなぁ!」
兎白「これって……」
雨花「何何?どんな答えだったの?」
橙たちも予想していたがその紙をみる。
『崇拝することになるだろう』
化茶「ふっふっふっ!雨花にはこの意味分かるよな?」
雨花「…………」
橙「こんなくだらないことを言わせるために……」
桃時「こんなびっくりさせられて……」
瑠璃人「オレらの時間を……」
「「返せぇぇぇぇ!!!!」」
化茶「うわぁ!お前らはやっぱ、「あいつら」だわ」
橙「何のことを言ってるんです?!」
桃時「変なこと言ってないで……」
瑠璃人「大人しく捕まれ!!」
化茶「やべぇ〜あっ、そうだ!雨花、これ」
雨花「?、何これ」
化茶「少し貯めておいたけどまだ使えねぇからちゃんと貯めろよ〜じゃあな!」
橙・桃時・瑠璃人「待てーーーー!!!!」
橙、桃時、瑠璃人は化茶を追う。
兎白「なぁ雨花。あの意味どういう意味なんだ?」
雨花「……何が?」
兎白「あの『崇拝することになるだろう』って奴。俺はてっきり『愛している」とか『伴侶にしたい』とか言うのかと想ったんだが、『崇拝』は何か、何か違うんじゃないかって……」
雨花「あはっ!兎白くんが今どんなこと想ってるのか少し予想つくけどあいつを『崇拝』なんてしないし、それに……」
「「自分自身は自分のものだから」」
兎白「……そうか」
雨花「それにしても……橙ちゃんたちどこまで行っちゃたんだろ?」
兎白「…………」
お前がさっき隠し持ったその包みは
何なんだ
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雨花「ふぅ〜家に着いたね。小雨丸」
雨花はベッドの上に横になる。しばらく「何も映っていない目」で天井をみつめる。
雨花「…………はぁ」
雨花はベッドの上に座り直すと、化茶が持ってきた包みを開く。そこには……
雨花「…………あはっ!化茶って敵なのか味方なのか分かんないなぁ〜ていうかどっちでもないようなどっちもあるような……まぁそんなことはどうでもいいや。」
雨花は、「それ」を首にかける。
雨花「これを新月の気を集めれば、確か回数は0҈҉̳̳̳̳̳̳̳̳̳̳̳̳̳̳̳̳̳̳̳̳̿̿̿̿̿̿̿回だったはず。ちゃんと集め続けなきゃ」
これこそ
橙ちゃんたちからしてみれば
傷つけてしまう……だろうな
わたしとなんかと一緒にいること自体
橙ちゃんたちにとって
傷つけられる時間でしかなくて
わたしが学園をやめたら
今までわたしなんかと関わってくれた橙ちゃんたちの時間の無駄になる
どの選択を取っても
橙ちゃんたちを傷つけることになる
橙ちゃんも
桃時ちゃんも
兎白くんも
瑠璃くんも
ごめんね
それしか言えない
ひたすら
謝り続けて
ひたすら……
自分を……
ベッドの上で座り込みながら
「何も映っていない目」でどこでもないところをみつめる雨花。
それを心配そうにみつめている小雨丸。
雨花はぎゅっと握りしめる。
────『レブルキー』を。