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「……ラクシル様に好評なようで何よりだ」
アレイシアとの茶会が終わると次の日の最低限の準備を済ませ、リタから受け取った手紙に目を通す。
内容はブランデーの感想だ。
公爵家当主のラクシル様からお墨付きをもらったのでブランデー作成は成功だろう。
僕はここ5年間で提案した共同事業は成功を収めた。
今では格安でお酒の提供ができるのでカクテル文化はグラディオン王国の平民に根付いている。
カクテルの作り方、種類は基本ベースのものは作ったが、自分なりのレシピを交換する者が現れ、前世のようなカクテルバーがところどころにでき始めた。
ブランデーは作り方を秘匿にして貴族の高級酒として今ではブランドがつき始めている。
それも全てクルーガーのお父さんのおかげだろう。
商いの天才、クレイブ=ウォーウルフ。
クルーガーの実父で一代で商会を国一番にした天才。
クレイブさんは新しい文化を定着させるため、時間と人手を使いモデルケースをしてから実装……という流れで文化を広げた。
クレイブさんは商人の中では崇拝している人は多い。
クレイブさんは僕が概要だけ言ったことを僅か2年で成し遂げてしまった。
ウォーウルフ子爵家がやろうと言い出したら皆率先して参加してくれたんだ。
人は新しいことに苦手意識を持つ者だ。
失敗する恐れがあったにも関わらず、それを達成できたのはクレイブさんの人望と手腕による。
おかげで酒に新たな文化を根付かせることができたのだ。
「ウェル、この手紙をブランデーと一緒にソブール公爵家宛に出しといてもらえる」
ラクシル様からの手紙は感謝と追加注文の内容も含まれている。
お酒の分野の普及にはラクシル様も協力してくれた。
ラクシル様は先行投資で資金提供をしてくれたんだ。本当に頭が上がらない。
そう思いつつ、ラクシル様への返事の手紙を執筆する。
「よろしいので?」
ウェルはラクシル様に渡して大丈夫なのか確認を入れてきた。
だが、僕はウェルを納得させるため、説明をする。
「うちで保管してる物も、余裕があるしラクシル様にはブランデーとカクテルの件では随分とお世話になってるからこれくらいは」
「わかりました」
ウェルは僕の説明を聞いて納得したのか、手紙を受け取り酒の保管庫へ向かった。
やはり、市場に流す酒も意図的に操作し、作り方も秘蔵だ。
「さて、そろそろ夕食だな」
このことは父上にも報告をしておかなければいけない
最近ユベール伯爵家の財源は過去最高、父上は大喜びだ。
だが、母上も父上もブランデーは苦手らしい。お酒に強いわけではない。
むしろカクテルのような度数が低いお酒が好きだ。
この世界では15歳でお酒は飲め、僕は飲んだのだが、両親に似て弱い。
今日は父上の仕事もひと段落してお酒を飲むらしいので、たまには晩酌してあげようかな。
僕はそう思いつつ、夕食の知らせがくるまでの時間を潰した。
次の日、僕主催のお茶会を開いていた。
招待したのはいつものメンツ、レイルにギルメッシュ、クルーガーの3人だ。
てか、このメンバーとしかお茶会はしていない。
話す内容は日常の雑談や領内のことが多い。
今日の場合はレイルから事前に通達があったので自然と話題も決まっている。
「……エルス学園について少し君たちに耳に入れておいてほしいことがある」
僕たちはレイルの話に耳を傾けた。
だが、エルス学園に関してなので、内容は思っていた以上に驚く内容だった。
「少々長い話になるが、伝えたいことは2つ。一つは私たちの入学の時平民が特待生としてエルス学園に入学すること。後は去年入学した問題児についてだ」
……は?