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まだ10代のようにも見える彼女たちからすれば、カイトよりも年上で20代後半にも差しかかっている私は、確かに年齢が上過ぎるのかもしれなかった。
なんとなくその場にいたたまれなくも感じていると、中の一人の女の子が、
「私…あの人、知ってる」
と、こちらをチラチラとうかがいながら口を開いた。
「あの女の人、前に、カイのバイクから降りたところ、見た……」
ドキリとした。誰にも見られないようにと思っていたのに、まさか見ていた人がいただなんて──。
「えっ、カイのバイクにいっしょに乗ってたの? ウソ…何者なの、あの女…」
女の子たちの視線が、一斉に私に向けられると、
その目は、敵意にすら満ちているようにも感じられた。
「ねぇ、あなた…カイの何?」
「そうよ、何なのよ?」
女の子たちが口々に言いながらこちらへ近づいてくる。
「……何って……」
どう答えていいのかわからずにいると、
「……勝手に、抜け駆けとかして、カイトに近寄らないでくれる?」
数人のファンの子たちに取り囲まれて、上目にじっと睨まれた。
「抜け駆けなんて……」うつむいて目を逸らす。
「じゃあ、なんでカイのバイクになんか乗ってたのよ?!」
「そうだよ。私たちは、みんなで協定を結んで、カイには手を出さないようにもしてるのに!」
声を上げて罵り、
「何してんの、アンタ!カイより年上な、オバサンのクセにっ!」
そう怒鳴るようにも言うと、女の子たちは私を真ん中にゲラゲラと嘲り笑った。