テラーノベル
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自分が壊れる音を、聞こえないふりをした
前編「割れる音」
#四季愛され #卒業if
01
ある1人の少年が血の池に立たずんでいた。
「…こちら一ノ瀬。全ての桃を排除。これよりそちらに戻ります」
しばらくの雑音の後、インカムから声が聞こえた。
『お疲れ。立て続けに悪いがこのまま○○地区に行ってくれ。桃の排除を頼む。』
「…わかりました」
インカムのスイッチを切って彼は溜息をついた。周りには誰もいない。彼独りだ。もし、今、この場に仲間が居たら彼を止めれたのだろうか。彼の姿はあまりにも見苦しく感じた。
「また排除の方か…」
そんなことを呟きながら、彼は少し足がおぼついたものも、炎鬼状態になってで現場へと向かうのだった。
ピシッ
どこかで、ヒビが入る音がした。
02
これで何件目だろうか。休みなく任務に駆り出されるのは。全て桃の排除の任務だった。
俺は羅刹を卒業後、特定の地域に属さなかった。本来は練馬や杉並を志望したのだったが、上からの命令により特定の地区に属さないことが決められた。常に任務に駆り出される。その任務も桃の殺傷。ある地域で行った時、風の噂で聞いた。
「炎鬼は戦うために生まれたのだから汚い仕事は一ノ瀬四季に全て任されている」
と。たしかに俺の任務は手を汚す仕事だった。前まで頻繁に連絡を取り合っていた同期は桃の拘束等の任務に対し、俺は汚れ仕事。上に文句を言いに言った時もあった。
「何故俺だけが汚れ仕事なのか」
俺が投げつけた言葉の返答に俺は気が狂いそうだった。
「誰も殺傷をやりたがらないから仕方ない。炎鬼のお前ならいいだろう。それにお前がやらなければ誰がやる?お前の同期にやらせたっていいんだ。または強制的に無陀野を戦闘部隊に復帰させるか…」
皇后崎達やムダ先を盾にされては俺はやるとしか言えなかった。少しずつ慣れてはきたものも、この殺しは必要なのかといつも自問するのだ。もう何人殺したか分からない。きっと俺は地獄行きなんだろうな。次々と休みなく入ってくる任務に精神への負担。俺はそれらを見てみないふりをした。もちろん心配されることはあった。そう確かあれは練馬に行った時だ。
03
「次は杉並の方だから…うんその後はまだ任務入ってない。少し休める」
独り言をブツブツと呟きながら練馬の地下を歩いていた。するとそこに
「何ブツブツ言ってやがる。俺を挨拶も無しに素通りとはいい度胸だなぁ一ノ瀬」
「えっ真澄隊長!?ごめん気づかんかった!てか馨さんもいんじゃん!2人ともめっちゃ久しぶり!元気してた!?」
「久しぶりだね四季くん。真澄隊長もこう言ってるけど久しぶりの四季くんに素通りされたのが気に触ったみたいだよ」
「デタラメ言ってんじゃねぇぞ馨」
「真澄隊長俺と会えて嬉しかったん!?俺も俺も!」
「四季くんこの後空いてる?良かったらお茶でも飲んでかない?久しぶりな訳だしさ、四季くんも疲れてるでしょ?」
「しかも一ノ瀬…てめぇ隈できてんじゃねぇか。お前は自己管理すらできねぇのか?」
「ちゃんと自己管理してるって…ごめん馨さん、せっかくのお誘い悪いんだけどこの後杉並行かなきゃいけねぇんだわ。今も向かおうとしてた最中だし…ほんとごめん!」
「え、四季くんまだ任務あるの?」
「うん。最近忙しくてさぁ…でも今日終わったら少し休めると思うから!」
「てめぇさっきも任務終えたばっかだろ。そんなすぐなのか?」
「そーなんだよねぇ…まぁこれが終わったらもう楽だしやる気は出る!」
「そ、そっか…」
「一ノ瀬…てめぇ大丈夫か?」
「え?あー。たしかに任務は大変だけど平気!じゃ、俺はこれで!」
「え、ちょ!」
04
うんうんこんなこともあった。結局杉並の任務終わった後も任務の追加来たから休めなかったけど。あとは…
「皇后崎!元気してっか?」
「相変わらずうるせえな…ちょっとはボリューム下げろ」
「酷っ!久しぶりに会ったのにそれはなくないか!?」
「こちとら任務明けで疲れてだ。静かにしろ」
「あ、悪りぃ…まぁ元気そうで良かったわ。そういえば屏風ヶ浦は元気か?部隊は違うけど地区一緒だし会うことぐらいあるだろ?」
「俺じゃなくて屏風ヶ浦本人に確認しろ。屏風ヶ浦もその方が喜ぶだろ」
「いや、そうしてぇのは山々なんだけど次の任務あるから無理なんだよ…」
「…は?お前も任務さっき終わったばっかだろ?」
「え、まぁうん」
「なら任務終わってんじゃねぇか」
「いや新しいやつ」
「…少しは休んでから行け。ぶっ倒れるぞ」
「いや時間ないしいいよ。じゃ、屏風ヶ浦に会ったら元気してっか聞いといてくれ!」
「は、おい!」
05
いやぁあんとき屏風ヶ浦に会っとけば良かったなぁ…あれから全くあっちの地区行けてないし…あー皆に会いてぇ。こんなこと思っても意味ないけど。てか俺。今何してたんだっけ。さっきまで桃と殺りあってたはずなんだけど…
「…あー。痛ぇ」
そうだ吹っ飛ばされて意識失ってたんだ。久しぶりの睡眠が僅か1分とか終わってるな…
「なんだ、生きてたのか。やっぱ鬼神は違うな」
「あーあんたのお陰で少し寝れたわ」
俺は鼻で笑いながら頭から流れてくる血を袖で拭った。
「一ノ瀬…だったか?どうだ?俺の能力は?素晴らしいだろ?これも全部あれのおかげだ!」
「あー…なんだっけお前の能力…」
「どうせ殺すから特別に教えてやるよ!集中を削る能力だ…」
「なにそれ…地味…」
「たしかに一見地味だが視界の端が曖昧だったり音が重なって聞こえたりなど敵の集中力を削り隙を作る…どーだ!それでお前は今やられてるんだぞ」
「あっそ…わざわざ丁寧にどうも。じゃあ死ね」
「は?」
俺は自分の血痕から銃を編み出し、桃の頭部を打った。銃声と同時に桃は倒れた。今日は少し手こずってしまった。いつもならこんな雑魚に時間なんてかけないのに。俺は溜息をついてその場に座り込んだ。
「…あー…まだ音が重なってるし…」
かなり地味な能力だったが先程言われた通り俺は集中が途切れ隙を突かれてしまった。
「あー疲れた」
笑い混じりに出てきた言葉。これも集中が削られたから出てきてしまったということにしてもいいだろうか。これで何人目だろう。殺すのは。どうして拘束じゃないんだ?なんで俺がこんなこと…そんなネガティブな事ばかり頭の中に浮き出てくる。もう疲れた。それでもやらなければ。俺が辞めたら誰がこの役目を補うんだ。この汚れ仕事は誰にもやって欲しくない。人を殺す度に削られてく精神を体験して欲しくない。俺で終わりにしたい。でも…それでも
「…ァ」
言葉が詰まる。もうなにもしたくない。だけど次に聞こえた音はスマホだった。虚しくもその通知は次の任務についてだった。俺は立ち上がって次へ向かうのだった。
パキッ
どこか欠けた音がした。
06
今回の任務は桃がコッソリと活動していた桃の研究所。廃ビルの地下に建設されており、見つけるのが遅くなったらしい。だが鬼側にも内通者がいたらしく、そこをとっ捕まえて真澄隊長が拷も…じゃなくて尋問した結果、今回の研究所が発覚した。かなり大規模なため、俺だけではなく皇后崎を始める俺の同期全員、真澄隊長と馨さん、そんでもってムダ先とチャラ先が来た。ちなみにチャラ先は誰かが怪我した時の為に来ている。そんでもって俺は集合場所に着いたわけで…
「皆お久ー!ってあれ、俺が最後!?早くない!?」
「お前が遅いだけだろ」
「いや時間は間に合ってるしいーじゃん!」
「四季くん久しぶりだね、元気してた?」
「遊摺部!久しぶりだな!元気だぜ?」
「お前らムダ話はそこまでにしろ。四季も来たところでこれからの流れを確認する」
「まあまぁ、久しぶりなんだしちょっとくらいいいじゃん?ね、ダノッチ? 」
「甘やかすんじゃねぇぞ京夜…ガキ共。おしゃべりは終わった後にしろ」
「俺らもうガキじゃないんだけど…」
「あ?」
「なんでもないです!ごめんなさい!どうぞお進みください!」
真澄隊長の圧により俺は静かにしたのだった。
「…今回の任務は桃の研究所の制圧。突入は19時だ。まず真澄が先に侵入し、合図があり次第、他も突入だ。だが馨、京夜、屏風ヶ浦は入口で待機。屏風ヶ浦、2人を頼む。じゃあ向かうぞ」
「「「了解/です」」」
07
真澄隊長が侵入してから約3分後に突入の合図が送られたため、俺たちは中に入った。
「真澄隊長!」
「うるせぇ場所がバレるだろ…まぁ見張りは倒した。さっき警報がなったからもうすぐで他の奴らも来るだろうがな」
「…!前方から10人ぐらい…そのもっと奥にたくさんいるな…敵来るよ!」
「サンキュ遊摺部!じゃあいっちょやるか!」
俺はいつもを装って明るく言葉を発した。
08
何故かとても身体が重い。でも、問題ない。きっと連戦続きだからだ。反応が1拍遅れるがしっかり対処出来てる。大丈夫。いつも通りだ。それに皆だってきっと疲れてる。最近は忙しいと聞いたしさっさと終わらせたいだろう。だから1番疲れてない俺が皆の分も動くんだ。大丈夫。敵の動きは見えてる。間合いも次の一手もわかる。だから前に出る。俺が行けば、早く終わる。早く終われば皆が無理をしなくて済む。それだけの話。俺は急所を外しずつ弾を打っていった。大丈夫。いつも通り無でやればいい。だからこの疲れも気の所為。いつも通り。いつも通り…?あれどこ狙えばいいんだっけ。頭?頭だよな?なんで急所外してんだ俺。いやてかなにかおかしい。あれぇ
「…!…瀬、一ノ瀬!!」
「…真澄隊長?」
「お前一旦下がれ。」
「なんで?」
「集中できてねぇだろお前。ここは彼奴らに任せてお前は京夜んと行け。」
「…なんで?まだ動けるよ。まだ大丈夫だよ。だからそんなこと言わないで」
「は?」
「大丈夫。大丈夫だから」
「おい!…ッチ無陀野!一ノ瀬止めろ!」
09
息が、少しだけ遅れて胸に入ってくる。 それだけの違和感だった。 四季は前に出る。
誰かに呼ばれた気がしたが、振り向かなかった振り向く必要がある理由が、うまく見つからない。
「四季、下がれ」
声がした。 理解はできた。意味も分かる。 それでも足は止まらない。
「…大丈夫」
自分の声が、やけに遠い。 こんな声だっただろうか、と一瞬だけ考えて、その考えを切り捨てる。
今は戦っている。 それだけで十分なはずだった。
地面を蹴る音が、遅れて耳に届く。四季は距離を詰め、銃を打つ。角度もタイミングもも正確だった。敵の体勢が崩れ、別の敵の反撃の軌道が読める。
来る。
読めている。なのに、判断が一拍遅れる。
「四季くん、左_!」
声が割り込む。理解はできた。けれど体は、最短距離の動きだけを選び続ける。感情のない最適解防御を挟まず、攻撃を重ねる。 銃声が重なり、視界が瞬間的に白く弾けた。敵の攻撃が迫る。本来なら半歩引けば外れる間合い。
_避けられる。
その判断だけが、宙に浮いたまま消える。衝撃。鈍い反発が腕から肩へ走る。体勢は崩れない。四季は踏みとどまり、間髪入れずに切り返す。倒れていない。足は、まだ前を向いている。
_まだ立ってる。
それを確認した瞬間、胸の奥がひどく静かになった。敵の動きは記号みたいに並ぶ。速い。遅い。届く。届かない。全部、処理できる。けれど、そこに理由がない。
呼吸の間に、自分の内側で何かが軋む音がした。乾いた、割れ目の入る音。
聞こえた。
今度は、はっきりと。
_ああ、これか。
前なら無視できた。聞こえないふりも、できた。四季は銃だを打つ。敵が倒れる。空間が開く。反撃を喰らう。でも、でも…
_立てているなら、いい。
その思考が浮かんだ瞬間、胸の奥で何かが、静かに決まった。
「四季!」
名前が飛ぶ。四季は振り向かない。振り向く意味が、選択肢から抜け落ちている。
「大丈夫だ」
声は掠れていた。それでも、言葉は崩れなかった。次の敵へ。足は迷わず前に出る。立ったまま、壊れたまま。
四季は壊れてしまった。
あとがき
2月が近付くにつれ帳尻会うのなんなんですかね?学校帰ったら即雪かきとか地獄ですか?…まぁそこは置いといて昨日投稿としたらデータすっ飛んで流石に萎えました。
てことでアンケート出1番票数が多かったのでこれ描きました。楽しい。これが1番票数が多くなると思ってなかったけどいずれか全部書こうとしてたのでモーマンタイですね。
それでは後編で会いましょう。
コメント
5件
最高すぎる!! すごく表現とかが好きだし、四季くんの苦しい思いとかもみんなが焦っている声とかもあってすっごく好きです💕 後編どうなるのかめっちゃ楽しみです!