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そこには、シャルルダルク様に腕を絡ませるグラマラスな美女がいた。2人は何事かを話すと、さびれたホテルに入って行った…
私の時間は止まった。
な、な、なぁんだ…
1人で悩んで馬鹿みたいだわ、私…
「マリーナ…
大丈夫か…?」
「へ、へ、平気にございます!
なんとも思っておりませぬゆえ!」
だったら、なぜ、私は泣いているのだろうか…?
レガット様はそんな私を見かねて抱きしめた。
私は嗚咽を漏らしながら、レガット様の胸に顔を埋めた。
その後の事は何も覚えて居ない。
気づけば馬車の中で、気づけば、ベッドの上だった。
私はワインレッドのワンピースのまま眠っていたらしい。
朝起きるとひどい顔だった。
まぶたは腫れ、輪郭も浮腫んで丸くなっているし、髪は絡まってボサボサだ。
私はシャルルダルク様の腕に絡みついていた美女を思い浮かべる。
グラマラスな体型、高い身長、漆黒の艶めく髪が腰までかかるエキゾチックな美女であった。
それに比べ…
私のなんと惨めな事か…
私は泣く事しか出来なかった。
「マリーナ様…
お風呂に入られては…?」
「誰も私が汚れていようと気になるまい。」
サリーの親切をそんな言葉で私は無下にした。
しかし、そのままというのも確かに気持ち悪いので、ヨレヨレのワンピースに着替えて化粧を落とし、髪をぐしゃぐしゃのまま束ねた。
そして、薬部屋に篭った。
無心で調合している時だけ、あの情景を思い浮かべずに済むからだ。
しかし、その時、薬部屋のドアがノックされた。
「何じゃ?
今日は診察はせぬ!」
私がそう言うと、「余でもか?」と低い声が聞こえた。
そろりとドアを開けると、そこには…
「バルサック様…!」
第1王子の登場に、私は深く頭を下げた。
なぜ、バルサック様が???
「良い、顔を上げよ。
エリアスからそなたの噂は聞いておる。」
「は…
バルサック様、いかような御用件でございましょうか?」
「2人きりで話したい。
内密な話なのだ。」
私は女官達を退出させ、ソファにバルサック様をご案内した。
私はバルサック様が話されるのを待った。
「余はそなたを全面的に信用したわけではないが…
実は、最近尿意が強く…
その時痛いのだ…
その、分かるであろう…?」
「なるほど。」
「何かの病なのか?」
「痛みがなく血尿が出る場合などは、重病が考えられますが…
バルサック様は恐らくは膀胱炎であると思われます。」
「ボウコウエン…
それは、治るのか!?
余は王位継承者だ。
式典などでもよおすと…」
「ご安心ください。
猪苓湯という薬を処方致します。
一日3回食前にお飲みください。」
「分かった…
もしも、これで治ったらそなたには褒美を取らせよう。」
そう言って、バルサック様は去っていった。