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先生は確認するように再び同じ質問をした。
保「本当に吉田くんの友達なのよね、?」
勇「はい、」
友達かそうじゃないか…そこまで重要なことなのだろうか。
ただ、仁人が俺のことを友達と思っているかは分からない…俺が勝手に友達だと思っているだけかもしれないし,,
保「どのくらい仲良いの?」
勇「え、?…まぁ昼飯一緒に食うくらいは…」
保「へぇ…本当に仲良いんだね、、佐野くんだっけ?」
勇「はい」
空気が少しだけ重くなった気がした。
保「…。佐野くんは、吉田くんが声出せないのは知ってるよね、?」
勇「はい。でも昼食食べてる時は普通に仁人と話してますよ。マスクもしてないし」
保「あ、そうなの?じゃあ、理由とかも知ってる?」
勇「まぁ何となくは…声が出せなくなった原因は聞いてます」
保「そっか…私も詳しくは知らないんだけどね。だけど…大変だったなぁ、、。ここ最近大丈夫だと思ってたけど、久しぶりに今日来たし、、」
大変だった、、?どういう意味なのだろう。
手に負えないほどのヤンチャには到底見えないし、、
勇「大変だった…?」
保「うん。っていっても1年前よ、笑」
1年前も仁人とは同じクラスだった。
クラスに一人座る仁人は今と変わらず、マスクをしていたし、友達と話すことはほとんどなかった。
当時はただ話すのが苦手なやつなんだな、くらいにしか思っていなかったし、自ら話しかけに行くことはなかった。
今で言うのであれば、界隈が違う、とでも言うのだろうか。
保「そういえば、お昼一緒に食べてるって言ってたけど、どこで食べてるの?クラスではないだろうし、、」
勇「あー、屋上で食べてます。
保「屋上?」
勇「…あ、、」
つい勢いで言ってしまった。
今は立ち入り禁止になっているのに、これではもう行けなくなってしまう…
保「そうなんだ笑本当は屋上には行って欲しくないんだけどなぁ…」
勇「…え?いいんですか、?屋上って今立ち入り禁止…」
保「いいもなにも、立ち入り禁止にしたのも、吉田くんは入っていいって許可したのも私だから笑」
勇「…なんで?」
保「あはは笑まぁそう思うよね笑なんで立ち入り禁止にしたか知ってる?」
勇「1年前くらいに事故があったって仁人から聞いてます。危ないからって」
保「そう聞いたんだね。う〜ん…その事故の当人が,,吉田くんだよ」
勇「…は?」
保「公にはしてないけど」
勇「どういうことっすか、」
保「…,,飛び降りたんだよ」
…は、?
いやいや、待ってくれ
意味がわからない…
思い返せば、確かに1年前の仁人はクラスで一人でいるやつだった。
でもだからって、人を避けているようなやつでもなかった。
話しかけられれば普通にスマホやら筆談やらで答えるし(当時はそういう奴もいるよな、くらいにしか思ってなかったし…)、別にノリだって悪いわけじゃない。
ただ話すのが苦手なだけ、それだけだった。
だけど記憶を巡れば、 4月に初めて会ってその後もう一度見たのは冬頃だったと思う。
保「私もびっくりだよ、笑だってそういう子に見えないんだもん。ほんと人って見かけじゃわからないね」
"そこから思い切って逃げようとしたんだけど、失敗しちゃって____."
勇「…ッチ,,そういことかよ、、」
引っかかっていたものをずっと流して、今になってやっとわかった。
仁人の遠くを見つめる視線の意味が
保「…認めてあげて。あの子がまた落ちないように、、守ってあげて」
勇「俺がいる限りもう二度とさせません」
本当は豊かな表情も、隠し持ってる綺麗な声も、自分自身と向き合った強さも、何もかも無駄にならないように。
保「うん。…よし、じゃあ、もう起こして帰りな!吉田くん起こさないと起きないんだよ笑」
勇「わかりました笑」
そうして再びカーテンを開けた。
to be continued…