テラーノベル
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野崎は手のひらで薄暗い廊下の奥を指し示し、静かに歩き出した。ユミの母は警戒しながら、その半歩後ろをついていく。
数歩進むと、十メートルほど先にある明かりの漏れる部屋――乳神さまの居室と思われる場所から、シュコー、シュコーとエアーが抜けるような機械音が聞こえ始めた。
ユミの母「な、何の音……?」
ユミの母が引きつった声を漏らすと、野崎は振り返りもせずに背中越しに答えた。
野崎「お気になさらず。ただの生活音ですから」
部屋の前に辿り着いた瞬間、不気味な機械音はピタリと止んだ。
野崎は部屋の前で立ち止まる。沈黙が流れる。時間にして十秒ほどだろうか。だが、ユミの母には、それが数倍の長さに感じられた。
静寂を破り、野崎がトントンと軽く襖をノックする。
ミコト「はぁ~い」
中から返ってきたのは、肩の力が抜けるほど朗らかな女の子の声だった。
野崎「ミコトちゃん、ユミちゃんのお母さんとちょっとお話できるかな?」
ミコト「ユミちゃんのお母さん!? うん、いいよ!」
返事を確認すると、野崎はゆっくりと襖を開けた。
部屋の中は拍子抜けするほどありふれた、和室をリフォームしたような洋間で学習机の椅子に、部屋着姿の女の子がちょこんと座っていた。
野崎「では吉田さん、また後ほど……すぐ戻りますから」
野崎はそう告げると、ユミの母を一人残し、すっと廊下の奥へと消えていった。
コメント
3件
うわ、めっちゃ不気味な空気感…! ユミの母が歩くたびに緊張して、こっちまで息を止めちゃった。機械音がピタッと止まるタイミング、怖すぎる…。なのに中から返ってきたのが「はぁ~い」って朗らかな声で、もうそのギャップにゾッとした。野崎さんの「ただの生活音ですから」も、何か隠してる感じがして気になる…続きがすごく気になります!🥀