「この公園っすね。」
それは都市の郊外にあり、背の高い木で囲われていた小さな公園だった。少し汚れた木札には赤江公園と書かれている。遊具はブランコと小さな滑り台のみ。木で日が入りづらく、 昼間でもなんだか薄暗いため、気味の悪い感じがした。そのせいか夕方だと言うのに子供たちは一人もいない。…事件現場なら近づかせないのは当然か。
「確かに、ここは人目がつきにくそうだな。昼でこれなら夜はなおさらか…。それに電柱の監視カメラも木で遮られてそうだしな。」
しばらくすると公園の近くを1人の女性が歩いてきた。両手にある荷物を見たところ、どうやら買い物終わりらしい。徒歩ということは、この近所の人だろう。俺は植木にアイコンタクトをした。
植木は女性のところに向かい、2、3分して戻ってきた。
「やっぱりこの公園はもともと、あまり使われてなかったみたいです。親が子供達に遊ばないように注意してたみたいで。それに事件現場っていうのが重なって、この公園に近づくのも禁止されてるみたいです。」
俺は納得しながらその話を聞いた。やはり事件が起こる以前の問題だろう。俺は公園を立ち去ろうとしたが、植木は何か引っ掛かっている様子だった。
「どうかしたか。」
俺は腕組みをしながら考え込む植木に言った。
「いや、そんなに気にすることでもないと思うんすけど、なんで公園選んだかなって。だって遺体を隠すなら山とかの方が良くないですか。」
植木のいうことにも一理ある。いわゆる遺体遺棄事件というものは山や海であることが多いのは事実だ。おそらく見つかりにくいという考えからだろう。
「…確かにな。でも人気のない山に行くのも怪しまれるとでも思ったんじゃないのか。」
とりあえず言ってみた俺の返答に植木は納得していないようだった。
「まあ、まだ調査は始まったばかりだ。そう焦るな。次、行くぞ。」
「はい…」
俺は植木と公園に向かって手を合わせ、次の調査場へと向かった。
実を言うと、俺もそのことは気になっていたのだ。しかし、この時はまだ、大した理由なんてないと思っていた。
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