omr side
制作に追い詰められる今日。いつもだったら若井を呼んでるけど、今日、若井は多忙スケジュールできっと…いや、絶対疲れている。そんなところ呼ぶのはいくら幼馴染でも申し訳ない。
でも、寂しい。誰かに温めてほしい。
僕の中では寒いのは1人を感じさせるものとなっている。
電話くらいならいいよね。
スマホを手に取り、若井との通話画面を開く。そして、1回画面に触れると着信音が静かな部屋に響き渡る。2コール目にその着信音は止み、聞きたかった声が聞こえてきた。
「もしもし」
「どうしたぁ?」
大好きな若井の声。完全OFFの声。
「ん、暇だっただけ。 」
大嘘。やることなんていっぱいある。若井の声が聞きたかった。なんて言えたらいいのにな。
「そうなんだ、珍しいね 笑」
僕の嘘に気付かずに若井は言う。
いや、気付いていないふりをしているだけかもしれない。
それにしても疲れてるだろうにすぐに電話でてくれるところとか本当に優しいよな。
でも、若井の声は遠かった。
「外にいる?」
「うん、とある所に行ってる。」
どこまで優しいのだろう。外に居るのに僕の電話にでてくれて。
「じゃあ、電話 ッ」
「あぁ、繋いでていいよ。もう着いたけど。」
ピーンポーン
家のインターホンがなる。こんな時間に誰だろうとモニターで確認する。
「俺でした ッ」
「鍵あーけて!」
なんで……。
ガチャッ
「なんで来たの…」
「ん〜、大好きな人から電話かかってきて。
寂しいって声してたから?」
「ほんっとに……笑」
「俺の感は当たるから」
「どうせ、暇じゃないくせに」
やっぱり、若井は気付いていないふりをしていただけ。
紳士だよなぁ。
悔しいくらいに…。
「電話。ありがとね」
「ぇ?」
「寂しいなら言えばいいのに…w」
「でも、若 ッ」
「迷惑とか疲れてるだろうとか考えなくていいから」
「……本当、怖ぇわ。笑」
若井はいつも僕の好きを更新してくる。
これだから別れられない。
まあ、はなから別れる気は無いけど。
「今日は休めば、?」
そう、若井が言う。優しい目でこっちを見て、柔らかい声で。
「でも、まだ曲が ッ……」
「疲れててもいい歌詞書けないって」
「ぅん、」
「でも、寝れないし」
最近は毎日3時間すら寝てないんじゃないか。オールも何回かしてるし、こんなに生活リズムが崩れてたら今からじゃ寝るに寝れないに決まってる。
「一緒に寝たげるから」
軽く微笑みながら言ってくれた言葉。もしかしたらさっきまで、心の奥で期待していたかもしれない言葉。僕の心を読んだかのように言うものだから、少し吃驚した。
「ありがと……」
「ん、!笑」
先に礼を言ってベットに入る。人と同じベットで寝るのなんていつぶりだろう。いつもより暖かくて、安心出来る。布団の中で若井の袖をギュッと掴んだら、それに応えるように両腕で僕を抱き寄せてくれた。
正直、寝れるとは思っていなかった。でも、何故か凄く睡魔が襲ってきた。何故か…と云っても理由は分かっている。
僕が目を瞑り意識を手放そうとしている時、眠ったと思ったのか、若井が微かに声を出した。
「おやすみ…」
コメント
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めっっちゃ好きです...🥹もう⋯好きです⋯🫰🫶
好きすぎます。人物像が…尊い✨