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梨本和広
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桜咲かな
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コメント
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第19話、ドキドキしながら読みました!バス車内の席取り合戦、三者三様のアプローチが可愛くて思わずニヤニヤしてしまいますね。朱音さんがすり寄るシーンも、白銀さんがストローを差し出すところも、生徒会長が肩を借りてくるところも、それぞれのキャラの魅力がしっかり出ていて素敵です。そして「本当の試練」の一文で続きが気になりすぎます……! 合宿所での展開、楽しみにしています🌷
第十九話:密室の大型バスと、隣の席の争奪戦
金曜日の朝、学園の前には大型の観光バスが一台停まっていた。
「全員揃っているわね? これより『全サキュバス合同・校長代理争奪訓練合宿』へ出発します!」
バスの入口前で、生徒会長が威風堂々と宣言する。私服姿の彼女は、いつもの制服とはまた違った大人っぽい雰囲気を醸し出していた。
「ちょっと会長、その『校長代理争奪』って名称、バスの運転手さんに聞こえたらどうするのよ……」
「安心しなさい美咲。運転手は我が家系に代々仕えるファミリア(使い魔)よ。何を言っても外部に漏れることはないわ」
……相変わらず万全すぎる体制だ。
俺が大きなボストンバッグを抱えてバスに乗り込むと、車内はすでに熱気と甘い香りで包まれていた。乗客は俺一人を除いて、全員がサキュバスの美少女たち。
(……逃げ場がない、とはまさにこのことか……)
そして、最大の試練は乗車直後に訪れた。
「タカシくん! こっちこっち! 一番後ろの広い席を取っておいたから!」
黒羽朱音が身を乗り出して手を振る。
「ずるいわよ黒羽さん! タカシくんの隣は、移動中の酔い止め対策として保健委員の私が座るべきです!」
白銀美咲が眼鏡をクイと押し上げながら割り込む。
「ふふ、二人とも甘いわね。このバスの座席指定権は生徒会長である私にあるのよ?」
生徒会長が優雅に扇子を広げながら通路を塞いだ。
バスの通路で、白銀さん、朱音、そして生徒会長による「タカシの隣の席」を巡る静かな火花が散り始める。
「魅了(チャーム)の力は禁止」というルールがあるとはいえ、素のポテンシャルだけで全員が国宝級の美少女なのだ。真剣な眼差しで迫られるだけで、俺の心臓は破裂しそうになる。
「あ、あのさ……3人とも……」
「「「タカシくん(タカシ)は誰の隣がいいの!?」」」
三者の視線が同時に俺へと注がれる。圧力でバス全体が揺れている気さえしてきた。
結局、見かねた(そしてちゃっかり自分も隣を狙っていた)他のサキュバス女子たちの提案により、30分ごとに席替えをするという地獄のような……いや、男子高校生にとっては夢のようなローテーションシステムが採用されることになった。
「はぁ……タカシくんの匂い、やっぱり落ち着く……」
最初の30分、隣に座った朱音が嬉しそうに俺の腕にすり寄ってくる。
「タカシ、喉乾いてない? はい、ストロー挿してあげたから飲んで……」
次の30分では、白銀さんが真っ赤になりながらお茶のペットボトルを差し出してくる。
「タカシくん、山道で揺れるから……少し、肩を借りてもいいかしら?」
そして生徒会長が、可憐な仕草で俺の肩に頭を預けてきた。
目的地である山奥の合宿所に到着する頃には、俺の精神と理性はあわや限界を迎えるところだった。
プシューと音を立ててバスのドアが開く。
目の前に広がっていたのは、深い森に囲まれた古風で巨大な洋館風の合宿所だった。
「さあ、着いたわよ。ここから二泊三日……本当の試練が始まるわ」
生徒会長が妖艶な笑みを浮かべて洋館を仰ぎ見る。
人里離れた密室で、彼女たちとの熱い夜が始まろうとしていた。