“ きもい ”  “ うざい ”
 
 
 こんな言葉にもいつしか聞き慣れて
 
 
 何度も死のうと思った
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ある日 噂話を聞いた
 
 
 それはクラスの所謂一軍女子グループから
 
 
 「 この学校 怪異が出るんだって 」
 
 
 「 え 、 怖すぎ 」
 
 
 「 肝試しやんない? 」
 
 
 「 うっわ 楽しみ 」
 
 
 
 大体 この手の話には2種類の人間が食いつく
 
 
 面白がって行く奴
 
 
 話を真に受けて行く奴
 
 
 
 きっと私は後者なのだろう
 
 
 
 
 
 
 
 夏休み1日目
 
 
 懐中電灯をもち、深夜の学校に忍び入った
 
 
 
 
 「 …寒いな 」
 
 
 夏だというのにこの空間は肌寒い
 
 
 1階から見ていくことにした
 
 
 
 
 どのクラスも普段と変わりない様子だった
 
 
 
 他の階も見回って帰ろうとした時
 
 
 
 中庭から鈍器の音がした
 
 
 
 
 
 
 
 急いで見に行くが 誰もいなかった
 
 
 あったのは、つけっぱなしの懐中電灯のみ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 そのまま帰れば良かったのに
 
 
 
 私は学校裏の小屋へ向かった
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 _ もしかしたら逢えるかも
 
 
 
 そんな淡い期待を抱いて。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 小屋へ入ると ナニカ がいた
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ただ、それは 人間だった
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 「 お前 何してんの 」
 
 
 「 そっちこそ ここで何してるの 」
 
 
 「 暇つぶしだよ 」
 
 
 
 「 お前は? 」
 
 
 「 怪異に逢いに来た 」
 
 
 
 「 は? お前怪異なんて信じてんの? 」
 
 
 「 居るわけねぇだろ 」
 
 
 
 「 そんなの分かんない 」
 
 
 
 「 あっそ 」
 
 
 
 「 いつもここに居るの? 」
 
 
 
 「 まぁ 」
 
 
 
 「 そっか 」
 
 
 
 
 話してる内に彼は同学年だと知った
 
 
 
 そして、私と同じような境遇にあることも
 
 
 
 そこから少し仲良くなって
 
 
 
 毎日のように小屋へ行った
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 「 なぁ 」
 
 
 「 もし俺が死にたいって言ったら 」
 
 
 「 どうする? 」
 
 
 会話の最中 急にぶっ込んでくるもんだから
 
 
 「 急に言われても… 」
 
 
 
 
 
 「 ただ好きなようにしたらいいと思う 」
 
 
 「 …そっか、そうだよな  」
 
 
 
 何か腑に落ちたようで 彼は微笑んだ
 
 
 
 それがとても不気味で仕方なかった
 
 
 
 「 なぁ お前さ 」
 
 
 「 もうここに来んな 」
 
 
 「 …まじで何言ってんの 」
 
 
 「 ここに居たらお前までおかしくなるから 」
 
 
 「 意味分かんない 」
 
 
 「 分かんなくていい 」
 
 
 
 次の日 小屋に行くと鍵が閉まっていた
 
 
 
 次の日も、また次の日も 。
 
 
 
 ここまで行くと人は諦めることが多い
 
 
 私もその1人
 
 
 
 小屋に行くのを止めてしまった
 
 
 
 ただ、彼のことがどうしても気になって
 
 
 
 
 夏休みが明けてまた、小屋へ向かった
 
 
 
 鍵は開いていた
 
 
 
 
 小屋に入ると 一通の手紙が目に入った
 
 
 
 
 
 古びた小屋にしては新しいもの
 
 
 
 
 
 “   俺は 怪異が何なのか 知っている   ”
 
 
 
 
 
 私は手紙を持ち小屋の外に出た
 
 
 そして裏手へ回った
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 やっぱり 彼は 。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 自殺した彼は ここに居た。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 地面にはお札が散りばめられて
 
 
 
 不気味さが増している
 
 
 
 涙は出なかった
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 _ おめでとう
 
 
 
 
 
 
 
 やっと 開放されたんだね
 
 
 
 
 私にとって彼は 日常を彩る救いで 。
 
 
 
 
 ただ彼にとっての救いは 怪異で 。
 
 
 
 
 
 私は自分の長い髪を切り落として
 
 
 地面にばらまいた
 
 
 彼の首には傷をつけて
 
 
 
 
 _ あたかも怪異が行ったように
 
 
 
 
 
 君にとって怪異が救いなら
 
 
 
 
 私にとっての救いも怪異だよ
 
 
 
 
 
 
 
 _ 君は今  世界で1番幸せ者だね
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 夏休み明け
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ある男子高校生が
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 怪異に成ッタ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 𝐅𝐢𝐧 .
 
 怪異に成ッタ / 読切
 #亜美のコンテスト
[ホラー・ミステリー部門]
 
 
 
 _ 後書き
 今回は < 怪異 > をテーマにしてみました。
 幽霊とか怪異というのは空想の存在で
 怖いと思われる方が多いと思います。
 でも、怪異を信じているという方も中には
 居るのではないか。
 今回の主人公もその1人です。
 これから夏休みになるので肝試しとか
 してみたい気持ちになるかもしれないんですが
 半端な気持ちではやっちゃダメですよ!!
 取り憑かれるかも、、。
 
 タイトルの意味とか内容とかには
 何種類も意味を込めているので
 楽しめるのではないかと思います!
 是非、💬で考察してみて下さい。
 
 後日、💬で意味を全て載せますので
 それも見てみてね🫶
 
コメント
10件
すいホラーの才能ありすぎて困る🤦🏻♀️💖
いやいや、好き。 ホラー書ける人本当に尊敬😎 普通に本出せるレベルで怪異だね(?)
ちょっと馬鹿な亜海には意味が分かりませんでした!(笑) でもでもめっちゃ冷えた(?) ゾワッてした!夏にホラーっていいね〜 半端な気持ちでしたら駄目やね 1つ学びました!(笑) 改めて参加ありがとうございます! 結果発表までしばらくお待ちください!