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当然、響生フィナンシャルの連携役は至が担っていたことから二人の接点は必然的に増えていった。
メールで資料を送り電話で確認を取り、定期的な打ち合わせにも同席する。
ただ至は仕事中徹底して公私を分けているらしく、業務そのものは至って順調だった。
必要な連絡や確認以外の会話をすることはなく、優來に対しても他の社員と変わらない態度を崩さない。
そういった姿勢を見ていると周りから厚い信頼を寄せられているのも納得出来た優來。
打ち合わせが始まってからひと月程が過ぎたものの特に何も起こらなかったことで、優來は少しだけ安心していた。
(案外このまま仕事上の付き合いだけで済むのかもしれない)
そう思っていた矢先、打ち合わせを兼ねた会食が開かれることになった。
当然、至や優來も同席する。
職場以外で顔を合わせることに多少の警戒心はあったものの、会食自体は滞りなく進んでいった。
仕事の話を中心に会話が交わされ至も終始普段と変わらない。
「本日はありがとうございました」
「こちらこそ。今後ともよろしくお願いいたします」
やがて、会食はお開きになり上司たちが帰るのを至と優來は見送った。
そして、全てのタクシーが視界から消えたところで、「……ふぅ」と小さく息を吐いた至は、
「……やっと終わったな」
そう呟くようにポツリと口にした。
それは先程まで上司たちに向けていた丁寧な口調とは全く違うもので、優來は嫌な予感がしつつも至の方へ視線を向けると至は表情を崩しながらネクタイを緩め、結んでいた髪を解き始めた。
「ああいう堅苦しい会食は好かねぇよな。優來もそう思うだろ?」
「…………貴方は、二重人格者ですか?」
「あ? 別にそういうんじゃねぇよ、上手く分けてるだけだ」
「…………」
「なぁ優來、このあと空いてる?」
「空いてません」
「即答かよ」
優來の間髪入れない返答に至が苦笑する。
「じゃあ明日は?」
「予定があります」
「……どうせ嘘だろ?」
その言葉を聞いた瞬間優來は眉を寄せた。
「どう取っていただいても構いませんけど、例え予定がなくても蘇枋さんからのお誘いを受けるつもりはありません」
そしてそうキッパリ言い切った優來を前にした至は口元に笑みを浮かべていた。
「そういう気の強いところ、嫌いじゃないぜ?」
至が口元を緩めて言うと優來は淡々と答えた。
「……そうですか」
「なぁ、少しくらいいいだろ?」
「無理です」
変わらず即答する優來を前に至は小さく息を吐くと諦めたように肩を竦めた。
「……まあ、今日のところは諦めるか」
意外にもあっさりと引いた至に優來がわずかに目を見開くと、至はスマートフォンを取り出した。
「また誘うから」
「え?」
思わず聞き返したものの至はそれに答えることなく誰かに電話を掛けながらそのまま通りへと歩いていく。
そしてタイミング良く通りがかった一台のタクシーを停めると、
「それじゃあな」
通話を続けたまま振り返った至はそれだけ告げてタクシーへ乗り込み、そのまま去っていった。
「…………」
一人残された優來は呆然と去っていくタクシーを見つめたあとで小さく息を吐く。
「……何なの、本当に……」
仕事中の至ならほんの少しだけ好感が持てるけれど、プライベートで接すると印象は一変する。
「……強引だし、不誠実だし……」
思い返せば返すほど優來の中に残るのは困惑と苛立ちばかり。
「やっぱり……関わり合いになりたくない」
そう呟いた優來は胸の奥に残ったモヤモヤを抱えたまま一人で家路へと歩き出した。
それから数日後、仕事を終えた優來は疲れ切った足取りで会社を出た。
「……はぁ、今日も忙しかったな……」
響生フィナンシャルとの打ち合わせに加え普段の業務もいくつも抱えていたせいで、今日はいつも以上に帰りが遅くなってしまった。
駅へ向かう道を歩きながら優來は大きく息を吐く。
(早く帰って休みたい……)
そんなことを考えていた、その時だった。
管野アリオ
875
#オリジナル
重田💋(omoda)
886
「――おい、ふざけんな!」
「……?」
少し離れた場所から突然怒鳴り声が響いたことで優來は足を止める。
「何……?」
それに続いて何やら揉めているような声が聞こえてきた。
(酔っ払いの喧嘩かな……)
出来ることなら関わりたくはない。
そう思いながらも気になってしまった優來が声のする方へ視線を向けると、
「……え!?」
そこには複数人の柄の悪そうな男たちに囲まれ胸ぐらを掴まれた至の姿があったのだ。
コメント
1件
えぇ〜〜っ!?!?😳💦 最後のシーンで蘇枋さんが絡まれてる!?? 仕事モードとプライベートモードのギャップやばすぎて、確かに優來ちゃんの「二重人格者ですか?」はめっちゃ分かる…!笑 でもそのギャップがもう男の色気ってやつなのかな…🥺 優來ちゃんが警戒しまくってるのに至さんが「嫌いじゃないぜ?」って余裕の微笑みなの、最高に危険な男オーラ出まくりだよ…! これは次どうなるの?! 至さんピンチな場面、まさかの展開すぎて続きが気になる…!!🔥