続き書いていきます!
大切な人なんか作りたくない
どうせ
裏切られるから
でも
君なら信じてもいいかもって思えた
思えたのに
「天音おはよう」
え…?あまね?
いやいや違うよ
だってあの子は女の子だった
「どうしたんだよ。」
「えっと…名字教えて?」
「天音。そいつ誰〜?」
珍しいものを見るような目で見られて怖くなった
「うっさい。黙れ。」
「はーい。」
「髙木だけど、どうした?」
「…たか、ぎ?」
嘘だ
嘘だ嘘だ
よく見ると髪の長さは違っても
顔立ちはそのままだった
「もしかしてだけどさ、お前、…」
「やめて!」
思いっきり走った
でも
行く場所なんてなくて
君との思い出の場所へ来てしまった
気持ちがおちつくまで
ブランコに乗り目を瞑った
「雪!」
「なんで…ここがわかったの?」
ここはもう誰も来ない
忘れ去られ
さびれた公園だ
「なんとなく。」
「天音は学校に戻りなよ。みんな待ってる。」
「あの時、雪から離れたの…すごく後悔してるんだ…。」
「でも結局っ!天音は私を捨てて…どっか行っちゃったじゃん…。」
気づいたら涙がこぼれていた
冬の空気にさらされ冷たくなった涙は不快でしかなかった。
「雪が家族に捨てられた時、学校でいじめられた時、助けたいと思ったのは本当。」
「結局見捨てた。」
「一緒にいたいと思ったのも本当。」
「じゃあなんでよ!なんで…?」
私達はずっと一緒って約束していなくなった
大好きな親友にすぐに約束を破られて
見捨てられた
「…怖かったんだ。」
その声はとてもかすれて震えていた
「幻滅されると思ったら、そばにいるのが辛くて、苦しくなった。」
「幻滅なんてする訳ないじゃん!」
「こんな俺でも?」
「なんのこと?」
それから天音は凄く真剣な顔になった
「今から言う話、聞いてくれる?」
気づいたら頷いていた
人に触れたことも触れられたこともない
あったとしても
それは
思い出せないぐらい小さい頃のことだ
「天音って男のくせに女のフリしてて気持ち悪いよな。」
その瞬間
ストッパーが外れ初めて人に触れた
一瞬だったからあまり記憶がない
覚えているのは
醜い感情だけだった
大切な人ができた
この子だけには
こんな醜い私を知られたくなくて
逃げた
でも雪との約束は一度たって忘れたことはなかった
今度こそ雪を守りたいと思った
だから一人称を
俺
に変えた
でも結局何も変わらなかった
俺が
弱くて
意気地無しで
意地っ張りだったから
名簿で雪の名前を見つけたのに
わかってたのに
また逃げた
雪をいじるやつを見つけては
醜い感情ばかりが湧き出してきた
でも
結局雪を助けられなかった
「ごめん。私っ、結局何もできなかった。」
ほんとに申し訳なくて
涙が溢れてきた
「天音、もう私を捨てない?これからはずっと一緒?」
雪の笑顔を守りたいと思った
「おう。ずっと一緒。」
ずっと一緒と笑顔で微笑んだ天音に不覚にもドキッとしてしまい、顔を隠そうと背を向けると
暖かいものに包まれた
「人って温かいんだな。」
彼はそう言って鼻をすすっていた
「何?天音泣いてるの?」
「んな!泣いてねぇし!」
ふふっと息を漏らすと白くなって消えていった
「そうだね。」
忘れていた人のぬくもりは
とても暖かくて
久しぶりの天音の匂いは
優しくて
とくとくと重なる心臓の音は
落ち着ける
もうこのぬくもりを忘れまいと
体の向きを変え
天音に抱きついた
もう誰も信じられなくなっていた
私の
俺の
凍った心を溶かしてくれた
君のぬくもりを
忘れない
ありがとう
私の大切な人
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