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第262話、読み終えたよ。千歳が「仕事の邪魔になってないか」って気にしてたのは意外だったな。主人公が誤字脱字チェックに気分転換を挟むって話すところ、すごく具体的でリアルだった。千歳が「大人になるのがんばらないとな」って呟くシーン、ちょっと切なくなったけど、最後に膝に乗ってくるのが可愛すぎてほっこりした。千歳の素直さは確かに良いところだから、無理に変えなくていいって伝える主人公の優しさも沁みたわ。お互いを思いやる空気感がじんわり来るエピソードだった🔥
何度も夏日がある変な秋だったが、紅葉はちゃんときた。黄色のイチョウ並木を散歩中に、千歳にちょっと気遣わしげに聞かれた。
『お前さあ、散歩したり、ワシがおやつ食わせたりでちょいちょい仕事中断するだろ』
「ん? うん」
『仕事のじゃまになってないか?』
え、そんなん気になってたの?
「え、いや、ぜんぜんなってないよ。むしろその時間までに仕事一段落目指してがんばるから捗ることもあるし、あと……」
俺は少し考えた。ちょいちょい休憩時間があるのは、実は、在宅webライターという俺の仕事的に助かる部分もあるから、それをちゃんと説明したほうがいいな。
「えーと、俺の仕事って、ざっくり分けると、打ち合わせと、調べるのと、書くのと、誤字脱字チェックと、最後にクライアントから言われての修正って感じなんだけどさ」
『うん』
「このうち、誤字脱字チェックが曲者でさ。書き終わったあとすぐ誤字脱字チェックしてても、めちゃくちゃ誤字脱字見落とすんだよね」
『そうなのか?』
千歳は不思議そうな顔をした。
「そうなんだよ、自分で書いたものだと完成形が頭の中にあるからさ、自分で書いたものを、書いてすぐチェックしても、頭の仲の完成形に上書きされちゃってなかなか見つからないんだ」
『え、じゃあどうするんだ?』
千歳は不思議そうな顔をした。
「そういう時に、散歩とかおやつが役に立つんだ」
『え、なんで?』
「何かの研究で読んだんだけどね、文章が完成した後、気分転換を挟んでから誤字脱字チェックすると、誤字脱字見つかりやすいんだって。自分の中の完成形がよそに行くからだと思うんだけど。で、俺的には、その気分転換に散歩とかおやつとか昼ご飯がちょうどよくて、それを挟んで誤字脱字チェックするようにしてるわけ」
『え、そんな調整してたのか、お前!』
千歳は目を見開いた。
「それなりにやっております。最近は構成案……記事の設計図ばっかりたくさん作る仕事が多いから、それはまたちょっと勝手が違うけど、来る仕事の幅が広がるし、割もいいから頑張ってる」
『へええ、お前本当に仕事頑張ってるんだなあ』
「頑張れるところはまだたくさんあるけどね。今度未経験の仕事くるし、それも頑張んないと」
俺は照れ笑いした。萌木さんに他のWebライターさんの記事のチェックもやってくれって言われたから、近いうちにそれもやる予定なのだ。うまくやれればいいけど。
千歳は、ふと寂しそうに言った。
『……そんなにお前頑張ってるなら、ワシも大人になるのがんばらないとな……』
「え」
え、千歳、それ気にしてたの!? 確かに前、九さんの一件のとき、千歳がまだちょっと子供で未成熟だということは言ったけど!
ど、どうしよう、確かに千歳は無邪気すぎて素直すぎるけれど、それはいいところでもあるから、無理に頑張らせてそれをなくしてしまう方向には行きたくない。千歳のペースで大人になってくれれば、俺はそれで全然構わない。
「えっと、千歳はさ、素直すぎるし人をすぐ信じすぎるから、悪い人に騙されないかっていうのは心配で、そこは成熟してほしいけども、千歳の明るくて素直なところはすごくいいところだから、そこはなくさなくていいんだよ。千歳、明るくて素直だから、人に好かれやすい所あるし、いいところなんだよ」
『……それはそうかも知れないけど、でも、ワシ、自分のこと子供だなって思うことがあってさ……』
千歳はずいぶんしょぼくれている。
「どうしたの? 何かあった?」
『……恥ずかしいから、言えない』
そう言ったきり、千歳は絶対にそのことについて言わなかったが、帰って俺が仕事を再開してから、ずっと俺の膝に乗って動かなかった。