籃side
小川さんに強引に抱かれ痛む腰を擦りながら
恐怖のあまりホテルの外へ出て無我夢中で
走り出した。とにかくあのホテルから去りたかった。小川さんにこれ以上抱かれたくなかった。そして無我夢中で走っていると思いっきり
人にぶつかってしまった。
「わ、ごめんなさっ…って…え…」
ぶつかった拍子にふわりと香った
香水の香りに俺は思わずぶつかった人を
見上げる。するとそれは大好きな人だった。
「藍…?どうしたの?そんなに走って? 」
「祐希さ…ん?」
「そうだけど、って藍!?」
俺は大好きな人の声と香りに安心し
思わず涙が溢れ抱きついてしまった。
「祐希さん…っ…俺…っ…小川さんに…っ」
「う、うん、小川がどうかしたの?」
「小川さんに…っ…強引に…っ …抱かれて…っ…」
俺が泣きながらそう言うと祐希さんは
露骨に怒りを顕にした。
「は?小川に強引に抱かれた?」
「は…いっ…それで…っ…小川さんが…怖くなって…っ…逃げてきたんです…」
「そうだったんだ。ごめんね…藍。」
「い、いいえ…祐希さんは…っ…
悪くない…ですから…っ… 」
「いや、俺が別れるなんて言わなければ
こんな事にならなかったと思う。」
「祐希さん…」
悲しそうな顔をする祐希さんを見て思わず
祐希さんと呼んだすると。
「ねぇ、藍さえ良ければ俺の家に来ない?」
「え、でも俺たち別れたんですよ…っ?」
「うん、そうだね、実はその事で
藍に 話したい事があって…」
「そ、そうなんですね… じゃあ
行きたいです…」
「ん、わかった。じゃあ行こう? 」
そう言われ祐希さんに誘われるように俺は
祐希さんの家へ向かった。
そして祐希さんの家で
「久しぶりに来たなぁ…祐希さんの家… 」
なんて思っていると
「なにか飲み物出すから適当に座って?」
「あ、はい。」
「藍、飲み物、水でいい?
それとも 他のがいい?」
「あ、えっと、水でお願いします。」
「ん、了解。水ね?」
そう返事をすると冷たい水を出され
その水を一気に飲み干した。 すると
ズキンズキンと強い頭痛に襲われた
「う、痛たっ…」
「大丈夫?もしかしてだけどいつもより
お酒飲むペース早かった?」
「え、はい…ほぼやけ酒みたいに
なってたので… 」
「ふふっ、そっか…じゃあ、明日
二日酔い確定かな?」
祐希はニヤニヤしながらそう言った。
「はい…そうですね…」
「ふふっ、じゃあ別れ話についての話
してもいいかな?」
「あ、は、はい…」
別れ話…俺は心になにか突っかかるような
感覚を覚えながら返事をした。
「それで、別れ話について
なんだけど… まずは、ごめん…」
祐希さんは正座をして俺に謝ってきた。
「あ、いえ、別にそんな正座して
謝らなくて大丈夫ですよ?」
「でも藍の気持ちを傷つけた事
には変わりないでしょ?」
「あ、は、はい… 」
「それでさ、別れる理由
言ってなかったでしょ?」
「はい…」
「だから理由を言わせて欲しい。」
「わかりました。理由聞かせてください。」
「うん、あのね、俺数日前に
街で 聞こえちゃったんだ。」
「聞こえたって何がですか?」
「藍には俺みたいな男より、
細くて綺麗な 女の人の方が似合う
って いうファンの人の 声が。」
「ッ…そうやったんですね…」
「うん…それで、藍のそばに居れる自信が無くなっちゃって…それで…俺は藍といたら藍の迷惑になるんじゃないかって思って… 」
祐希さんの話を聞いていると俺は
無意識に祐希さんの頬を叩いていた。
「っ…藍?」
「祐希さんのばかっ…!俺のそばにいる居る
自信がなくなったってなんですか?別に、自信なんか持たんくてええんですよ…!ただ、俺のそばに居てくれればそれで…!それに…俺は祐希さんと一緒に居て迷惑だなんて思った事ありませんし、今後もそう思う事は無いです。それに、その俺は祐希さんといるより金髪美女といる方が似合うって言うのはその人の考えであって、俺は祐希さんがいいんです…!いや、祐希さんじゃなきゃ嫌です…!」
俺はずっと言いたかった事を思わず
ぶちまけてしまった。すると祐希さんは
俺を強く抱き締め涙を流した。
「ッ…藍…ごめん…いっぱい迷惑かけて…
ごめん… ファンの言葉に振り回されて…
自分を失って藍を不安にさせて… ほんとに
ほんとにごめん…!」
「ッ…もう、そんなに謝らんでください…
もう 怒ってないんで…」
そう言うと
「うん…ありがとう…ふふっ、ねぇ?藍?」
「ん?なんですか?祐希さん?」
祐希さんは俺を抱きしめながらこう言った
「また、俺とやり直してくれますか?」
「ッ…はい…! 」
俺は聞きたかった言葉を聞き
泣きながら 笑顔で返事を返した。
コメント
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藍君は元通りになりましたね♡ 2人はLOVELOVEが一番似合います🤭