???「桃時さん。雨花さんどこか知りませんか?」???「雨花?さぁまたサボりに行ってるんじゃないの?ていうか今授業中だけど何であんたここにいんのよ?」
「橙」は訳あって「雨花」を探していた。それを「桃時」に聴いている。
橙「実は、前に科学の実験があったんです。それで、内容が「薬の調合」なんですが、調合すべき薬じゃないものが出来てしまって……それが今日分かったんです。私は生徒会役員なので、クラスのみんなに発覚される前にクラスの中にいる犯人をあぶりだせと先生に言われました。先生は今は授業中なので、代わりに私が。」
桃時「その調合すべきじゃない薬って?」
橙「睡眠薬です。雨花さんは何回かこういう犯人探ししているので何か犯人をあぶりだす方法を知っているかと……」
桃時「でもそのくらいじゃ分からないんじゃない?」
橙「はい。なのでダメ元で……このままだと実験が最初からになってしまうんです……」
桃時「仕方ないわね。雨花のこと探しに行きましょう」
橙「でも桃時さんは授業が……」
桃時「今自習中だし、大丈夫よ」
桃時も加わり、二人は雨花を探しに行った。
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橙「うーん……中々いませんね」」
桃時「あいつ探してる時は中々出てこないのに、探してない時は急に現れたりするから……全くもう」
橙「あっ」
桃時「どうしたの?」
橙「もしかしたらあそこにいるかもしれません!あそこをサボり場所にしてる可能性はあるかと!」
桃時「あそこって?」
橙「それは……」
バタン!
桃時「あっ本当にいた」
橙「雨花さん……あなたここは」
「「生徒会室ですよ?」」
雨花「ブスッブスッブスッブスッ」
桃時「確かにここなら授業中は誰も来ないわね」
雨花「いや、グサッの方が良いかな。うん!グサッにしようブスッはなんか浅い感じがするし、グサッの方が刺さり具合がかっこいい!」
桃時「何の話してんのよ」
雨花「ん?人にカンチョーする時、どういう効果音が良いかな〜って」
桃時「そんなくだらないことやってたわけ?ずっと?」
雨花「もちのろんの助!……それで何かよ〜う?」
橙「やって頂きたいことがあるんです。睡眠薬を作った犯人を探って欲しいんです!」
雨花「睡眠薬……?」
橙は雨花に事情を話した。
雨花「ふーん……なるほどね」
桃時「で?犯人分かりそう?」
雨花「いやまずはクラスのみんなに聴くべきじゃない?」
橙「やっぱりそうなりますよね……でも疑うのは……」
雨花「疑うことで誰かを傷つけたくないなら、それはただ自己保身に走ってるだけ。わたしは「あなたの事を思って言ってる」なんて言葉大嫌いだし、そんなのわたしのことを分かってるって思い込んでるだけだしね。それは信じてるとは言えない。信じるってことはその人がどんな間違いや失念をしたって受け入れること。間違ってるなら間違ってると指摘すること。信じるの反対は疑うじゃない。信じるの中に含まれてるんだよ。だから、遠慮なく疑った方が良い。それで友情が壊れてしまっても、橙ちゃんは悪くないよ。寂しいだとか薄情だとか想う必要もない。もし想っても、そう感じることが出来たってことはそれほど相手のことを考えていたってことだから。それが出来た自分を褒めてあげて欲しいな」
橙「…………分かりました。クラスメイトに聴いてみます!」
桃時「アタシたちも付いてくわ」
雨花「うん!わたしも行くよ!」
橙「!、ありがとうございます!」
橙は雨花、桃時を連れて早速クラスメイトに聴きに行った。
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橙「皆さん集まって下さい」
「何だ?会計さん?」
「橙ちゃんどうかしたの?」
「どうしたんだ?」
「集まれなんて珍しいね!」
橙「単刀直入に言います。このクラスの中に先日の科学実験で作った薬で睡眠薬を作った者がいます。睡眠薬はとても危険な薬で、先生の許可なしでは作ってはいけない薬です。皆さんには……」
「何だよ!俺達のこと疑うのかよ!」
「橙が作った可能性だってあるじゃねぇか!」
橙「私は薬は作っていません。皆さんの薬の帳簿を作っていたので。それは皆さん知ってますよね?」
「確かに……」
「じゃあ誰なんだよ」
クラスがざわめき始めた。しかし、この一言で状況が変わった。
雨花「まぁ見た目だけじゃわかんないよね。睡眠薬とみんなが作ってた薬同じ色だもん」
「え?そんなはずは……あ」
雨花「はいドーン。見事に引っかかったね」
「こ、これはその……」
橙「犯人釣れました!」
桃時「あんたもすらっと言い過ぎて、合わせるのちょっと大変だったのよ?」
雨花「あはは!ごめんごめん」
「じゃあお前が犯人だったのか!?」
「マジで!?」
「あなた……何で」
「ち、違う!俺じゃない!」
雨花「それは苦しいよ?流石に。睡眠薬の色は青色なんだよ。それを知ってたからさっきああいうセリフ言ったんでしょ?」
「違う!確かに青色の薬を作ったのは認める。でも、睡眠薬じゃない!たまたま青色になっただけで……」
雨花「ふーん……じゃあ」
「「飲めるよね?」」
「え」
雨花「この薬飲めるでしょ?これが睡眠薬じゃないなら」
「そ、それは……」
雨花「ほら、飲みなよ」
雨花は犯人を壁際に寄せる。薬の入った試験管をゆらゆらと揺らしながら追い詰めていく。そこには、光も闇も飲み込む空気がたゆっていた。
「ひぃ!」
雨花「おっと失礼。わたしもね。長い間薬にはお世話になってるもんだから、つい面白くて!あはっ!」
「す、すみませんでした……」
その後、犯人はというと
最近、かなり病んでいた犯人は、
睡眠薬を作りそれを量産し、自死を行おうとしていたそう。そのことは犯人の両親にも話が行き、しばらく休養することになった。犯人曰く、親が自分を受け止めてくれたらしく、しばらく休むことに専念するらしい。
帰り道
橙「かなり想い詰めていたそうですね……」
桃時「もっと気づける範囲だけでも気持ちの揺れ動きに気づくべきよね……」
雨花「…………自死か」
桃時「ん?どうしたのよ」
雨花「ううん!何でもな〜いよ!」
「そういえば」
桃時「何であんた睡眠薬が青色って知ってたの?」
橙「あぁそれ想いました!何で知ってたんですか?」
雨花「ん?他の薬が全部透明だったからこれなんだろうなって」
橙「でも薬品庫には他にも薬ありましたよね?どうしてあれだと分かったんです?」
雨花「天の啓示って奴かな?」
桃時「何よそれ」
雨花「あははは!その子親に受け止められてよかったね!……本当に」
桃時「それもそうね」
橙「ご両親とゆっくり休んで欲しいですね」
雨花「あはは。…………」
薬なんかで死ねたら苦労しないよ
人間案外体は丈夫にできてるんだから
心はバカみたいに壊れやすいのに
それならいっそ体も……
雨花「(はぁ……)」
どっかに簡単に消える方法ないかな
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