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「っ絶対にあんたを泣かしてやる…!!」
顔を酷く歪ませながら、口元を荒々しく拭って男はそう言い放った。
まるで獲物を決して逃がさないという、そんな視線。 ギラリと光る黒い瞳の奥には確かな憎悪と、屈辱に染まっていた。
はぁ…
私は気だるげに体を起こし、男の艶やかな黒い癖毛に手を伸ばす。
バシッ!
奇しくも、それは当人の手によって弾かれてしまったが。
行き場のない手を、どうしようか、と自分の髪をかきあげる事にする。
「っ、」
前髪で隠れていた私の瞳と、男の瞳がぶつかり、男は顔を引き攣らせる。
「まったく…お前はかわいいわね」
私の視線は、人によっては威圧感を感じるようだと、知り合いに忠告されたのを思い出す。
ニコッ
目元を意識して緩めれば、ほら、優しい女の子でしょ?
「ええ、期待しておくわ」
バスローブは流石に冷える。男に背を向け、着替えの準備をしようとする。
そんな、くだらない事に一生懸命になれるなんて…
「愚かで、素直で…おめでたいこと(ボソッ)」