テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
虹花 ありさ @て い ふ
7,178
うp主
48
#学パロ?
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「…」
「ごめんね、ぜんこぱすさん。」
「…?」
謝ってくる男に、ぜんこぱすは困惑する。
「…いくつか質問をしてもいいかな。」
少し冷たい声だ、だがこちらに対し_敵意はないように思える。
「…えと、」
ぜんこぱすは声を出そうとするが、上手く出ないため、頷くことにした。
「ありがとう。」
男女はぜんこぱすが拘束されたベッドの横に2つ椅子を持ってきて、そこに座る
男は考える様子を見せて、言葉を選ぼうとしながらゆっくりと質問を始めた。
「…うーん、まずはそうだな…」
「…今、私たちを殺したいと思う?」
「…」
声を詰まらせながら、ぜんこぱすは答える。
「…いや、むりだよ。天使に負けた。」
「もう戦う意思はない。」
「プロクティルも…こんな状態じゃつかえない。」
「…わかった。 」
「…なるほど。」
「…貴方、第2戦争で…実験台にされてたんですよね?」
「…うん。」
「…あの時のこと、私は知らないんです。」
「…何があったんですか?」
ぜんこぱすは顔を顰めながら、ゆっくりと答えた。
「…ぽれは、一般家庭で育ったただの子供だった。」
「けど5歳の時、ぽれは親と一緒に、誘拐された。」
___
_乱雑に狭いトラックに詰められて、平衡感覚も分からなくなるくらい長い間、ただトラックの中で揺れていた。
_気がつくと、軍隊でも居そうな、物騒な場所で停止して、ぽれ以外にも誘拐されてた人が一斉に押し出された。
___
「…ぽれは多分、どっかの財閥の先代のやつの命令で連れ去られた。」
2人は何も言うことなく、静かに聞いていた。
…敵意がないことが、今は何よりも恐ろしいのだが、それはいい。
話せば解放されるみたいだし、 皇の元で生きるくらいならさっさと解放されたかった。
「……どっかの財閥の皇のやつらは、ぽれらみたいな一般人を標的に、兵器として使い潰すために”プロクティル”を埋め込んできた。」
「…けど、プロクティルが適合するか、適合してもどの程度相性がいいかは…体質によっていくらでも変わっちゃうから、運なんだよ。」
___
「残念だが、お前の両親は遠くに行ってしまったんだ。」
「…え?」
_誘拐されて1週間だったか、当時5歳の子供には、あまりに残酷な言葉を投げかけられた。
_知らぬところで、親は両方タヒんだ。
「…えっと、どういう…」
「いずれわかるさ、わかる前にお前のことは解放するかもしれないし…親と同じになるかもしれないがな。」
光すらも知らなかったぜんこぱすは、その言葉を聞いたとて不思議そうな目で見つめることしか出来なかった。
「はは、お前は幼いから分からないかもな。」
ぜんこぱすは笑われてもなお、何もわからないといった様子であった。
___
「憎まない方が無理だと、思わない?」
「…大好きな親を殺されて、拷問みたいな毎日を送らされて。」
「…ひどい、 話ですね」
女は顔を顰めながらこちらを見た。
「…共感してくれるんだ?」
ぜんこぱすはため息を着いた。
全てを投げ出して、平穏な生活だけを送って、静かにタヒぬのが幸福だと_そう感じてしまったからだ。
「…そんなのいらないよ、ぽれはもう…いい。」
同情すら今のぜんこぱすには哀れみにしか思えなかった。
_同情するなら金をくれ、なんて求めてる訳でもない。
___もう、何もしたくない。
反逆は_終わったんだ。
もう、後ろを向いて歩くことしか今のぜんこぱすにはできないだろうし、好きなクマも捨てて、惨めな人間として生きるのが、反逆者にはお似合いだ。
_それが大罪だと知りながら、救いを求めるなんてきっと間違いだ。
ぜんこぱすは力が抜けきったかのように目を瞑った。
「…ごめん。」
そう言って、体内の空気を全て吐き出した。
だが勝手に空気は入ってくる。
そうしたところで息の音が金属質の部屋に響いて少し恥ずかしくなるだけだ。
タヒぬなんて、無理に等しい。
きっと、なんの意味もない。
「…私達は知っておかないといけないんだよ、ぜんこぱすさん。」
「…何が?」
「ぜんこぱすさんが受けた扱いが、どんなに酷いものだったか。」
「…はぁ。」
ぜんこぱすは呆れたかのようにため息をついた。
なんて面倒な人と当たってしまったんだろう、なんて考える。
もう、そういうのはいらない。
金も、同情も、何もいらない。
「…大体、ぽれが5歳の頃の記憶だよ?…痛かった実験とか、そういうのは記憶に残ってても、実際どうだったのかなんてそこまで覚えてないから。」
面倒そうに、ぜんこぱすは言い切る。
「はぁ…それでもいいって言うんでしょ。」
2人は頷いた。
_今のぜんこぱすに、暴走していた時のような恐怖感はない。
だが彼独特の幼さといった類のものは、何となく感じられた。
彼を救う存在が必要であると頭ではわかっていた。
(けれど…私達が担うのは、あまりに残酷ですよね。)
(…皇と関わらず人生を完うできた人はいくらでもいますし。 )
_御茶屋は、悲しさを覚えた。
この状況を最大の解決に持っていく方法が…言葉を交わさないことしかないということに。
_関わらないことこそが正解であるということが、ひどく寂しかった。
_そうやって傷ついてきたからだろう。
_きっとそうだ。
(…私も、そうやって家を出ましたし。)
(………。)
こちらを向こうともしない少年が、ひどく可哀想に思ってしまうことが、なんだか少し嫌であった。
きっと、彼はそんなもの求めていないから。
_そして、ここは慈善団体でも、なんでもない。
だからこそ、館を襲撃し、親同然の存在であるガンマスを傷つけられたことが_悲しかった。
(…本当、私って変なのかも。)
(…あはは…。)