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「…」
「えぇと、私ですか?」
「戦争の真っ最中だというのに、どうしてまた…?」
「あぁ、耳寄りな情報を手に入れましてね。」
「…貴方みたいなメイドさんが、どうして?」
謎のメイドは、少女と話していた。
「子供である貴方に、第2戦争の指揮をして欲しいと。」
「…ええと…指揮ですか?」
驚いたように少女はメイドを見つめた。
その眼差しには困惑と恐怖がゆっくりと混じりあっている。
「えぇ、貴女は、どう思います?」
メイドはうぅん、と考えながら、そう聞いた。
「…」
少女はしばらく俯きながら考えた。
メイドから見ても…明らかに少女が嫌そうにしていることくらいは、手に取るようにわかった。
「…メイドさん、貴女ならわかると思いますけれど、私は慈悲の心を全ての人に向けて生きている人間です。」
「今の皇…私のお母様が冷酷でも、私はそんなふうにだけはなりたくないと思っていますから。 」
「…妃という立場を離れたお父さんとは、よく手紙を送り合う仲です。」
「そんなお父さんから、 」
“スノウ様みたいになるな。”
“我が子にはそうやって育って欲しくない。”
“君には優しい人として育ってほしい”
「って言われてること。」
「…そうですね。」
メイドは頷いた。
「私はやりたくないですよ。」
少女は、ため息を着いた。
「出来ればお父さんのところに行きたい。」
「………お母様の、冷酷性には私も疑問を持っているので。」
少女は12歳ほどであり、そういった疑問を持つには、メイドからすれば少し早いのでは?なんて思うが、そんなことはいい。
「…なら…ちょっとした提案があるんです。」
「…はぁ。」
少女は適度に、期待しないくらいの気持ちでその提案を聞くことにした_。
___
ぜんこぱすは、意を決したように、過去の話を始めた。
「_まず、プロクティルを埋め込まれた実験…あれが既に、ぽれにとっちゃ嫌だったね。」
「麻酔もなしにタヒにそうなくらいの激痛が両腕に走って、全身を拘束されたまま何度も胃液を吐いた。」
右が終わったかと思ったら左で…1回で1時間はかかるもんだから、もう叫んで抵抗したね。
「うるさい!!って怒鳴るもんだから怖くてたまらなかったような、ね。」
ぜんこぱすは顔を顰めた。
思い出してしまい、今にも吐きそうになって喉にまで出かかる。
だが、仰向けになっているせいか喉に溜まった何かが出てくることはなかった。
はー、はーと、何度か浅い息をする。
まるで酸素の吸い方を忘れたかのようにしばらく息をしていたが、そうしてるうちに少しだけ落ち着いたようで、話を続ける。
「_1番と言っていいくらい鮮明に覚えてるのはこれかな。」
_男と女も、今にも吐きそうになって口元を覆い、抑えていた。
「…っぅぷ…そんな…酷すぎる…っ。」
男も流石に強く動揺しているようだ、だがぜんこぱすにとっては昔の話なのだ。
「…それを、5歳の子供に…っうっぷ…!!」
ぜんこぱすはそんな様子の2人にため息をついた。
「もう、たしかに残虐だけど、ぽれより年上でしょ、多分。」
ぽれ、二十何歳くらいだよ?女の人の方はともかく、男の人はもうちょっと耐えれそうなものだけど。
ぜんこぱすは皮肉るように言ったが、それで男が慌てることはなかった。
「…いやぁ、凄惨でさ。」
「いくら大人でも、嫌なものを聞いてしまったら気持ち悪いとか、嫌だって思ってしまうこともあるからね。」
ぜんこぱすはため息をついた。
「…もういいや。」
「あとは…なんだっけ?」
ぜんこぱすは少し考えたのち、思い出したかのように実験の話をした。
「あぁ、人の力で直接プロクティルに干渉して、能力を自分以外の力で発動出来ないか実験されたのは嫌だったな。」
虹花 ありさ @て い ふ
7,178
うp主
48
#学パロ?
「…まず、当然のように麻酔なしだよ。」
ぜんこぱすの話を聞く2人、は余計顔を顰めた。
「…そしたら、プロクティルの埋め込まれた腕を切り開かれて、プロクティルに見えないくらい小さい針を刺して、成分を摂取するんだっけ…?」
「うわ…」
ガンマスは思わずそう口にした。
やはり残虐すぎる_。
「…それで、戻ってきたかと思ったら、 プロクティルの中がいっぱいになるくらいの”マグマ”を流し込まれたの。」
「「ひぃっ!!!?」」
2人は同時に怯えて、情けない声を出した。
ぜんこぱすはいにも介さず話を続けた。
「研究者が何を言ってたかまでは覚えてないけど、マグマが入ってるからか異常なほど腕…それどころか全身が焦げるくらい熱くてさ。」
怯えた2人から生み出された沈黙の中に、ぜんこぱすのため息が響く。
「…プロクティルが、マグマで溶けるものじゃなかったから助かったけど、酷いよねぇ本当。」
(…これも5歳だったっけね。)
絶えず続く沈黙の中、ぜんこぱすは再度ため息をつく。
「…で、結局ダメだったってわけ。」
「…も、もう吐きそうなんですけど…」
「はは、そうかもね。」
「こんなことが毎日毎日続いて、加えて戦闘訓練に奴隷みたいに汚い場所で働かされて。」
「…はぁ……。皇共を恨むのも無理ないでしょ。」
ぜんこぱすは大きくため息をついたのち、そう言って顔を顰めながら目を瞑る。
それはまるで悪夢でも見ている時のような顔だ。
「…はぁ、実験関係とか、第2戦争真っ只中の時の事を思い出せるのはここまで。」
「第2戦争が終わった後は…生き残ったプロクティル持ちと、遠い村で暮らしてたっけ? 」
「いや、もうわかんないな…ごめんだけど、忘れて。」
ぜんこぱすは、何度もため息をついていた。
心の底から面倒そうな表情だった。
「ありがとう、ぜんこぱすさん。」
「聞こうと思ってた事も言ってくれたし…プロクティルの…マグマがどうたらの実験だけ話してもいいかな、誰かに。」
「はぁ、聞かれてもぜっったいぽれの名前を出さないことだけ守ってくれんならいいよ。」
「…ありがとう。」
「それなら、もうこちらも関わることは無いから、安心して欲しいかな。」
「…そ。」
「…えっと、解放…しますね。お手数おかけしてすみません。」
ぜんこぱすは安堵した表情で言い切った。
「…うん。二度とこっちに関わってこないでね。」
_ぜんこぱすは、何となく男と女が上位のやつであることくらいわかっていたから、そう言い切ってやったのだ。
_私達を殺したいか?なんて物好きなことを聞くのは皇くらいだろうし。