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中学1年の丨永田優燈《ながたゆうひ》は、変な夢を見た。
「きっと大丈夫です。
優燈くんは今、ちょっぴり不幸かもしれません。
一番に愛されなくなったかもしれません。
でも頑張って生きようとする優燈くんの元に、一番の愛は再び訪れるでしょう。
優燈くんは強い子です。
それまでどうか耐えてください。絶対にです。………」
………………
…なんだ。夢…、か。
|白髪《はくはつ》の少女が、僕に愛がどうこう語っていた。
…これは僕への皮肉なのかもしれない。
|昨日《きのう》、僕の実母は息絶えた。
彼女は長年、健康診断を無視していた。
全身がんは即座に彼女を蝕んだ。
僕は大人の統制によって、何も知らず、そして救うことはできなかった。
アル中で父親が死んで、丁度1年半だった。
変わり果てた母親の遺骨と、父親の吐血が目に焼き付いて離れない。
僕は父方の叔父と祖母に引き取られたが、叔父は祖母が死んだら、後追いするとかほざいている。
祖母も残った愛息に託す気持ちは大きい。
暮らしは貧しくないけど、僕は|彼等《かれら》からは、最愛が供給されることはない。
…本当に二番以降では駄目なんだ、こればかりは…。
僕は孤独を抱えた。
背は伸びるけど食は細くなって、その姿は|見窄《みすぼ》らしく、
色恋で最愛を享受する夢すら、朽ちて散っていった。
授業では両親の云々とか話題に出される。
配慮がないと言えばそうだが、それが普通なのだ。
友達も大して出来なかった。
過去をなんとか取り繕ってできた個性は、全く誰にも受け入れられなかった。
僕は恨んだ。
でもその恨みの矛先は親であり、自分であった。
僕は自分の首を、きつく絞めてしまったのだ。
でも夢の中での言葉は、僕の拠り所だった。
何だか保育士にあやされているようにも思った。が、真心のあるあの文面には随分心を惹かれた。
根拠のありかは知らないが、彼女は僕が分かる語彙の範囲で、僕を奮い立たせようとした。
…それだけは、嘘じゃないんだ。
何とか中学も最後の年となったある日の夜のこと。
再会は突然だった。