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15 - 第15話 迷い子の鎮魂歌

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2026年03月03日

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## 第15話:迷い子の鎮魂歌(レクイエム)
 メギド要塞から放たれた極大ビームの余波が、砂漠の地平線を白く焼き焦がした。

 プロト・ウイングエックスは、砂丘の斜面を転がり落ちた格好で、沈黙していた。システムが強制遮断された際の負荷により、コクピット内は焦げた電子部品の臭いと、微かな火花が散る音に満ちている。


「……クソッ、ふざけんなよ……!」


 ゼロ・ドラートは、血の気の引いた指で、動かなくなったメインコンソールを何度も叩いた。あとコンマ数秒、あのマゼンタ色の影が割り込んでこなければ、要塞の砲塔ごと吹き飛ばせていたはずだった。


「何なんだよ、アイツは……。邪魔しに来たのか、それとも……」


 ゼロは、砂嵐の彼方へと消えていったマゼンタ色の機体の残像を、憎々しげに思い返していた。ウイングエックスに酷似したあのシルエット。しかし、その背中にあったのは、鋭く、飛行機の翼のようにスリムな、禍々しいほどに美しいマゼンタ色の翼だった。


「……ゼロ、落ち着いて。あの子は、私たちを『見ていた』だけ」


 隣に座るミラは、静かに、そしてどこか遠くを見つめるような瞳で呟いた。彼女の感応波は、あのマゼンタ色の機体から流れてきた「何か」を感じ取っていた。それは敵意でもなく、味方としての親愛でもない。ただ、どうしようもなく深い「悲しみ」と「共鳴」だった。


「見てただけだぁ? 見てたんなら、余計なことすんなってんだ! おかげでこっちは機体ボロボロ、あいつら(要塞)はピンピンしてやがる」


 ゼロはルカスの「ナンバー3」という言葉も、あの機体が失われたガンダムの一機であることも知らない。ただ、理不尽に自分たちの戦いを汚されたことへの憤りだけが、彼の胸を焦がしていた。



 一方、砂漠の静寂を切り裂くように、マゼンタ色のガンダムは音もなく飛行を続けていた。

 そのコクピットの中には、一人の少女が座っていた。

 彼女は一度も口を開かない。ただ、潤んだ瞳で、レーダーから消えゆくウイングエックスの輝点を見つめていた。彼女の指先が、計器の上にそっと触れる。その機体には**「03」**という不吉なナンバーが刻まれていた。


 彼女には分かっていた。あのままサテライトキャノンが放たれていれば、ウイングエックスも、そしてその中にいる「同胞」も、暴走したエネルギーの渦に飲み込まれて消滅していたことを。彼女はただ、同じ「呪い」を背負わされた者として、反射的に手を伸ばしたに過ぎなかった。


 だが、その行為がゼロにとっての助けではなく、屈辱として受け取られたことを、彼女はまだ知らない。



 一晩が明け、ウイングエックスは辛うじて再起動に成功した。

 損傷した内部回路を応急処置し、ゼロは再び機体を走らせる。要塞は沈黙を守っているが、いつまた追撃が来るか分からない。


「……おい、ガンダム。あんた、あのマゼンタ野郎を知ってるのか?」


 ゼロは、問いかけるように操縦桿を撫でた。 勿論、何の回答も返ってこない。ただ、システムの奥底で、昨日とは違う奇妙な振動が続いている。まるで、遠く離れた場所で、誰かが自分を呼んでいるかのような。


「……また会うわ。きっと」


 ミラの言葉が、風に乗って砂漠へと消えていく。

 謎のガンダム、そしてその中にいた少女。彼女たちは敵か、味方か。それとも、まだ誰も知らない「第三の勢力」の序章なのか。

 ゼロは苛立ちを隠せないまま、荒野の先に広がる、まだ見ぬ戦場へと機体を向けた。


「誰だか知らねえが……次こそは白黒つけてやる。俺たちの自由を、あんなわけの分からねえ力で邪魔させてたまるかよ!!」


 少年は、まだ自分の背負った運命の巨大さを知らなかった。

 マゼンタ色の影は、その日からゼロの心に、消えない棘として深く突き刺さることとなった。



**次回予告**

砂漠の放浪を続けるゼロとミラの前に現れた、武装集団の影。

彼らが掲げる旗は、かつての連邦の亡霊か、それとも。

そして、マゼンタの機体が再びその翼を広げる時、隠された真実が牙を剥く!

次回、『紅き翼の記憶』

**「お前は、一体何をしにここへ来たんだ!?」

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