「写真を消して!」
「わっ!」
佐伯(さえき)に引っ張られた私は、倒れ込むようにして横に座る。
その時、大学生くらいのカップルがとなりのベンチに座った。
夜景を見にいく話が楽しそうに聞こえてきて、少しだけ 羨(うらや)ましくなった。
「……いいなぁ」
こうして並んでいれば、私たちも 傍目(はため)には恋人同士に見えるかもしれない。
でも実際はただの日替わりの恋の相手で、かりそめの関係だ。
虚(むな)しくなっていると、ふと繋がれたままの左手が気になった。
(そうだ、手……!)
慌てて身を起こした時、真横でパシャッと音がした。
(えっ)
見やれば、佐伯がスマホ画面を覗いている。
その口元は笑っていて、私は一呼吸遅れて声を荒げた。
「ちょっと、なにしてるのっ 」
まさか今、写真を撮った!?
スマホを奪おうとしても、佐伯は身を引いて知らぬふりだ*******
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