前回の話で誤字脱字あったので修正しました。
最後ら辺ちょっといじったので、見たい人はぜひ。
それではどぞ!
和中「すまないな伍代」
伍代「いや、和中蒼一郎からのご指名光栄だよ」
俺は病院を出て、既に連絡しておいた天羽組お抱えの情報屋伍代千隼の元へ向かった。
和中「さっき軽く話した通りだ。華太を襲った犯人が知りたい」
伍代「事件が起きたのが今日だからね……まだ情報は入ってきてない。2日だけくれ。丸裸にしておくよ」
華太が襲われた時刻から、おそらく約4時間程度しか経ってないだろう。
情報がそこまで早く回ってこないのも必然か。
和中「承知した。感謝する」
俺がその場を去ろうとすると、伍代が待ったをかけた。
伍代「ちなみに…動けなくなってた小峠の旦那を拾って闇医者に連れていったのは伊集院の旦那だ。彼なら何か知ってるかもね」
…できるだけ聞きたくなかった名前だ。
だが犯人に1歩でも近づくのなら、状況を聞きに行くしかあるまい。
和中「…分かった。聞きに行ってくる」
伍代「伊集院の旦那も中々に怒ってるらしいよ。気をつけな」
伍代に礼を言って、俺は伊集院の旦那に電話をかけた。
一方その頃、永瀬は組に戻って事情を報告していた。
阿久津「永瀬、どうだった?って、須永はどうしたんだ?」
永瀬「須永の兄貴は華太のそばに居るってまだ闇医者です。華太は……まだ起きてないんすけど……その……」
永瀬は少し渋ってから口を開く。
永瀬「右目がぶっ壊されて、失明してる…って」
「「「「「………は?」」」」」
そう言いながら阿久津のカシラに診断書を差し出す。
カシラはものすごいスピードでそれを読み、深く息をついてまくし立てる。
阿久津「銃傷に刀傷に火傷って……華太は守代の回収に行っていたはずだろ!?」
永瀬「多分、その途中に誰かが華太を襲撃したかと………クソが……」
事務所内が静寂に包まれる。
次に口を開いたのは速水だった。
速水「も、もう治らないんですか?それって…」
永瀬「氷室が言うには、眼球の細胞が完全にやられてるんだと。外見は直せても、網膜とかの修復は不可能らしい」
飯豊「そんな……いったい、どこのどいつが…!」
華太の舎弟たちは、怒りに顔を歪ませながら拳を握りしめる。
永瀬「今和中が伍代んトコ行って確かめてる最中だ」
そう言う永瀬の目には、怒りと悔しさが孕んでいた。
組員たちが殺気に飲まれようとしている中、野田の兄貴の携帯に電話がかかってきた。
野田「なんじゃい、こんな時に………須永か」
そう呟くと、野田の兄貴はすぐさま電話に出る。隣では阿久津のカシラが聞き耳を立てていた。
野田「どうした?」
須永『っ野田の兄貴ィ!!やばいよォ!』
電話口から聞こえてきたのは、悲鳴と化した須永の兄貴の泣き声だった。
それを聞いていた野田の兄貴と阿久津のカシラは顔を見合わせる。
野田「一旦落ち着け馬鹿。何があったか全部言ってみぃ」
何かがあったのだとすぐに察して、野田の兄貴は改めて聞き直す。
須永『か、華太が、心肺停止で今……っ緊急手術に入ってェ……っ、!』
野田「あんだって…!?」
それは最悪の報告だった。
一瞬にして2人の額に冷や汗が浮かぶ。
それを見ていた組員も、何か嫌な予感を覚えた。
須永『今氷室が手術してるけど、これでもし心拍が戻らなかったら、…っ……もう助からないって………っ!』
野田の兄貴はミシリと音が鳴るほどに携帯を握りしめる。
そして心を落ち着かせるように、小さく息をついた。
野田「…分かった。そっちに何人か送るからお前はそのままそこに居れ。分かったな?」
須永『はい……』
そして野田の兄貴は電話を切った。
そしてすぐに阿久津のカシラが指示を飛ばす。
阿久津「小林、青山は今すぐ闇医者に行ってこい。他は今すぐ会議だ!急げ!」
いつもと違う2人の様子に、組員たちは掴みかからんほどの勢いで聞いた。
香月「何があったんですか…!?」
その質問に、野田の兄貴は少し黙ってから口を開く。
野田「華太の心臓が止まった。今は緊急手術中だ」
その言葉に全員目を見開いて言葉を失う。
野田「分かったらさっさと移動せぇ。なんにせよ、こっちには時間がねぇんだ」
そう野田の兄貴に圧をかけられ、小林と青山、そして闇医者にいる須永の兄貴と情報収集に動いていた俺を除く全員が黙って会議室に移動した。
阿久津「話した通り、華太が瀕死の状態だ。状況を整理するが…まず華太は守代の回収に出ていた。間違いないな?」
矢部「はい。外出するところを俺と宇佐美が見てます」
その報告に宇佐美も首を縦に振る。
阿久津「そして守代の回収中に何者かに襲われた、と……」
永瀬「今和中が伍代の所にいるはずですけど、連絡が無いんで多分まだ分かってねえですわ」
それに南雲が口を開く。
南雲「多分、犯人は半グレみたいな輩じゃない。華太がそんな奴らにそこまでボロボロにされるはずが無いので」
野田「その通りじゃい。ウチに何らかの恨みを持ってる極道か、マフィアか、はたまた殺し屋か…」
野田の兄貴は顎に手を添えて考える。
そこで腕を組んで静かに話を聞いていた工藤の兄貴が口を開いた。
工藤「いや、もしマフィアや殺し屋の奴らが華太を襲ったとしたら、遺体処理までやるはずだ。少なくとも、殺してそのままにする訳が無い」
香月「じゃあ華太を襲ったのは極道ってことですか?」
矢部「まだそこまでは分かんねぇな……ただひとつ分かるのは、明確な殺意を持って華太を襲ったってことだけだ。じゃなきゃあんなことにはならねぇ」
阿久津「ああ。だから今は伍代の連絡を待つしかない。華太が起きてくれたら1番手っ取り早いんだが……」
その言葉に、全員が黙る。
その時、会議室に誰かが入ってきた。
おやっさん「おめぇら、何をそんなに肩を落とすことがある?」
それは、密かに話を聞いていたおやっさんだった。その顔には、自身の子をやられた怒りに染まっていた。
阿久津「おやっさん…」
おやっさん「小峠が馬鹿共の襲撃如きで死ぬタマか?そんなこたぁねえ。おめぇらが1番よく分かってるはずだ。……だがな……」
その時、おやっさんの顔が般若と化した。
おやっさん「自分の子取られて黙ってられるか…!どんな手を使ってもいい。邪魔立てするなら殺しをしてもいい。最優先事項として、なんとしてでも犯人を探し出せ!」
おやっさんが組に命令を出した。
最優先事項として、華太を襲った犯人を見つけ出せ。これは全員が待ち望んだ言葉だった。
「「「「「「はい!!」」」」」」
全員に活を入れ、おやっさんは自室に戻って行った。
命令を出された組員たちは、会議を終わらせ、全員が即座に動き出した。
to be continued……