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神風が九州を壊滅させ、世界中で指名手配されてから数日後、彼は突如ハワイへと姿を現す。太平洋の楽園、ハワイは呪詛師同士の激闘とは無縁に思える場所だが、神風はその地を訪れていた。
「いい天気だな…戦争なんて嘘みたいだ。」
神風は、穏やかな波音と共に、青く広がる海を眺めながらリゾートのようなひと時を楽しんでいた。戦場では見られなかったその表情は、どこか安らぎを感じさせる。
彼がリゾートホテルのプールサイドに腰を下ろし、冷たいカクテルを楽しんでいる様子は、まるで犯罪者とは思えないほど落ち着いていた。
ハワイの陽気な雰囲気の中、神風は旅行者に紛れて過ごしていたが、その目には不穏な光がちらついていた。彼の手配書は全世界に広がっているにもかかわらず、ここハワイではまだその危険が伝わっていない。
「次はどこに行こうか…」
彼がそう呟いた瞬間、一人の若者が近づいてきた。
「ねえ、あなた…神風だろ?」
不意に声をかけられ、神風は眉をひそめた。相手は、神風の正体に気づいているようだった。
「…お前、何者だ?」
神風は冷静に問いかけるが、若者は笑みを浮かべたまま、神風の隣に腰掛けた。
「俺か?俺はただの旅行者だよ。でも、お前の噂は知ってる。九州を沈めた男、世界中で指名手配中の呪詛師…神風だってな。」
神風はその言葉に驚くことなく、若者をじっと見つめた。「それで?俺を追いかけに来たのか?」
「いやいや、俺も戦う気はない。ただ…お前がどんな奴か、気になっただけさ。」