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それから朝陽は一度深く息を吸い込むと、緊張した面持ちで部員たちを見渡した。
「あとそれから皆さんに
もうひとつだけお願いがありまして」
信愛が首を傾げる。
「お願い? 何?」
朝陽は拳を握りしめ、小さく震える声で切り出した。
「僕──」
一拍置き、真っ直ぐ信愛たちを見つめる。
「この怪異探求倶楽部に入部したいです!」
一瞬、部室が静まり返る。
「え!?ホント!?」
信愛の驚いた声に、朝陽は少し照れくさそうに頷いた。
「はい・・・」
さくらは呆れたように肩をすくめる。
「大丈夫? 胡散臭い部活だよ?」
「僕は先輩方に救われました」
朝陽は迷いなく言い切った。
「だから僕も誰かを救ってみたいんです!」
その真っ直ぐな言葉に、さくらは苦笑しながら返す。
「別にこの倶楽部は人助けメインの部活じゃないよ?」
「え? そうなんですか?」
朝陽が目を丸くすると、焔垂が腕を組んだ。
「都市伝説とか怪異を独自に調査し
探求して究明する事が主な目的だ」
「と、都市伝説・・・」
朝陽はその言葉を噛み締めるように呟く。
さくらはなおも心配そうに言った。
「だからこんな胡散臭い部活なんて
なんでやめときなって!ね?」
しかし朝陽は首を横に振る。
「いえ、僕はそれでも
怪異探求倶楽部に入りたいです!」
信愛は優しく微笑んだ。
「まぁ、浦添くんもこう言ってくれてるし」
少し間を置いて、にこりと笑う。
「断る理由ないでしょ?」
焔垂も大きく頷いた。
「もちろんだ! 歓迎するよ!」
そして右手を差し出す。
「ようこそ!浦添くん!怪異探求倶楽部へ!」
朝陽は嬉しそうに頭を下げた。
「ありがとうございます」
その瞬間、茜が飛び跳ねるように歓声を上げる。
「やったぁー! これで正式な部員が
3人になった〜♬やったぁ〜♬」
茜のはしゃぐ姿に、さくらは思わず吹き出した。
「はしゃぎすぎ(笑)」
#普通
野々さくら
543
805
44
ありあ
159
だが朝陽は不思議そうに首を傾げる。
「ん? 3人?3人って何の話ですか?」
信愛は苦笑しながら答えた。
「ああ、私とさくらは正式な部員じゃないの」
「えー!?そうなんですかー!?」
朝陽は思わず大きな声を上げる。
「そんなに驚く?」
さくらが笑うと、朝陽は頬を赤くしながら口を開いた。
「僕はてっきり白縫先輩も部員だと思って──」
その先が続かない。
顔を真っ赤にした朝陽は、言葉を詰まらせてしまう。
茜はにやにやと口元を緩めた。
「あっれあれ〜?今何て言おうとしたのかな?」
「あ、いや、それは、その・・・」
朝陽はしどろもどろになり、視線を泳がせる。
「朝陽くん可愛い〜♬」
茜が楽しそうに笑うと、さくらは肩をすくめた。
「春だねぇ・・・」
信愛はきょとんと首を傾げる。
「あともう少ししたらゴールデンウィークだしね」
さくらは額に手を当てて苦笑した。
「いやそういう意味じゃ無くてさ」
「ん?」
信愛は本気で分かっていない様子だ。
(鈍感だな・・・)
さくらは心の中で小さくため息をつく。
その時、朝陽が少し潤んだ瞳で信愛を見つめた。
「でも先輩は倶楽部には入らないんですか?」
朝陽の潤んだ瞳に見つめられ、信愛は思わず視線を逸らした。
(そんな目で見ないでよ)
その視線には、断られることを恐れる子犬のような切なさが宿っている。
茜も焔垂も、朝陽に続くように口を開いた。
「入らないんですか?」
「入らないんですか?」
二人の声が重なる。
信愛は大きくため息をついた。
「はぁ~・・・」
額に手を当て、観念したように肩を落とす。
「分かったよ! もう!」
少し照れくさそうに頬を掻きながら、半ばやけ気味に宣言した。
「入ればいいんでしょ!入れば!」
朝陽の表情が一気に明るくなる。
「ほ、本当ですか!?」
「やった〜♬」
茜が嬉しそうに飛び跳ねる。
さくらは目を丸くした。
「え? 信愛入るの?」
信愛は困ったように笑う。
「だってしょうがないじゃん!
断れる雰囲気じゃないんだもん」
周囲を見回しながら苦笑した。
「まぁ、ね・・・」
さくらも苦笑して頷く。
朝陽は今度はさくらへ視線を向けた。
「花牟礼先輩は入らないんですか?」
「え? わ、私?」
突然話を振られたさくらは目をぱちくりさせる。
「私は別に──」
そう言いかけたところで、朝陽がまた潤んだ瞳で見上げてくる。
(ぐっ、そんな可愛い顔して私を見つめないで)
さくらは心の中で思わず顔をしかめた。
すると今度は信愛まで便乗する。
「入らないんですか?」
茜も悪ノリするように続けた。
「入らないんですか?」
焔垂も静かに追い打ちをかける。
「入らないんですか?」
三方向からの視線と問い掛け。
さくらは唇を尖らせ、小さく呻いた。
「うぐぐぅ〜・・・」
しばらく葛藤した末、諦めたように肩を落とす。
「はぁ〜・・し、仕方ないな・・・」
まるで苦い薬を飲まされたような渋い表情で、入部を受け入れた。
その瞬間、朝陽は満面の笑みを浮かべる。
「やったぁー♬これで5人ですね♬」
茜は呆れ半分、感心半分で笑った。
「朝陽くんのウルウルパワー凄まじい・・」
焔垂も苦笑しながら頷く。
「浦添くん、ナイスですね」
こうして怪異探求倶楽部は、信愛とさくら、そして朝陽を正式な仲間として迎え入れ、五人体制となった。
先ほどまでどこか静かだった部室は、笑い声に包まれ、これまでになく賑やかな空気で満たされていた。
File3−カサンドラの聲−──END
コメント
1件
おおお〜〜!!朝陽くんついに正式入部やん😭💕✨ 「誰かを救ってみたいんです」って言葉、まっすぐすぎて胸にきたよ…!しかもそのウルウル眼力で先輩たちも巻き込んじゃうとかずるすぎるでしょ〜〜🥺💘 信愛先輩の鈍感っぷりも相変わらずで笑っちゃったし、さくら先輩が「春だねぇ」って言ってるのマジでそれなって思った(笑) 5人そろった怪異探求倶楽部、めっちゃ賑やかになりそうで今後が楽しみすぎる!!File3完結お疲れ様でした、次も待ってます🌸