テラーノベル
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それでは、
どうぞっ。
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日課の個人的な出納帳をつけようとリビングでレシートを探している時、明らかに見覚えのない買い物の痕跡があった。
🧡「桜花、今度は誰に送ったの?」
ああ、またか、とため息が溢れた。
肝心の本人はいないし、クーラーの室外機が回転する唸りだけの部屋で小さく溶けていく嫉妬心。
私の彼女はモテる。
別にチャラいわけではない。
明るいけれど心を開くまではお淑やかで、心を開けば騒がしいしよく揶揄ってくる。
でも、こっちが悩んでいれば親身に話を聞いてくれるしなんなら自分より悲しんで涙を流すような女性だ。
それがいけないのだ。
誰にだってそうなのだから、どう考えたって人気になる。
少し高めの声も、大きな手も、可愛らしい唇も。
それにあの子の性格上誰かの1番になれれば心の底から嬉しくてまた溺愛するだろうし、全てが魅力的だ。
私だって引っかかった女の1人。
気が付けば、ぐしゃり、とレシートが情けなく丸まっていた。
別に彼女の親切心を制限したいわけでもないのに、どうしてかドス黒い気持ちばかりが溢れてくる。
特別だと彼女は何回も言っているし、実際扱い方が全く違うのは自覚している。
愛されていると分かっている。
けれど、私はその程度で満足できる人間ではないのだ。
どんなわがままでも受け入れてくれても好きだと言われても、1番だと言われても、唯一じゃなきゃだめ。
この前だって、彼女は後輩が酔い潰れたんだと遅くに帰ってきた。
焦った顔で言い訳を並べて、「美咲だけは特別なの」って泣きかける。
でもね、ごめんね。
その時に、私は。
愛されている実感よりも、アルコールの匂いの鬱陶しさにしか頭が回らなかったの。
私が特別なら飲み会になんて行かなければいい、そうしたら酔い潰れた後輩なんて現場を見ることもなかったでしょう。
💜「ただいま〜、美咲!」
💜「見てみて、今日大学の帰りに美咲が好きだって言ってた移動式のケーキ屋さん、たまたま見かけちゃった。」
#妖怪
百はな🍑
3,157
#挿絵
KEY-STU
26,031
ゆあ。🪽
19
#創作BL
灯依
1,112
🧡「あ…いらっしゃい、桜花。」
常に甲高い声が玄関に響いて我にかえる。
いつもなら、その声を聞けばマイナスな考えなんてリセットされるしふんわり漂う柔軟剤に安心していた。
でも、なんだか急に空っぽに感じる。
何が変わったのか分からない、なんの変哲もない瞬間なのに。
ああ、多分、優しくされちゃったからだろうな。
その暖かくていじらしい心がどうせ他人にも向けられているんでしょうなんて卑しい考えがよぎったからだろうな。
でも、桜花が悪いんじゃない?
…なんてね、ごめんね。笑
next.
コメント
1件
わあ、第1話、読ませていただきました…!冒頭のレシートの描写から、もう美咲さんの内側のざわつきがひしひしと伝わってきて。桜花さんの優しさが「どうせ誰にでも向けられている」という不安に反転する瞬間、すごくリアルで胸が締め付けられました。特に「特別なら飲み会に行かなければいい」って思考、歪んではいるけど痛いほどわかるなあ…。続きが気になります!