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慌ただしい日々が続いた。
学校、訓練、学校、訓練と繰り返していき、アリアとハクトも徐々にクラスに馴染んできていた。
ミズキとハルはトウマの落ち込みを心配していた。
「大丈夫だよ、心配かけてごめん。仕方ないよ、割りきるしかないから。」
声をかけても帰ってくる返事はそれだけだ。
「なんか、気になるよな。」
「やっぱり?でも、どうしていいかわからないんだけど。」
2人は頭を抱えていた。花村達には相談したが、そっとしておく方がいいと言われた。
それでも2人がこそっとトウマの部屋を覗くと、昔から使っている実験器具を触っている姿をみかける。
なんの解決策も浮かばないまま、文化祭前日となった。
今日は1日かけて準備となるため、朝からクラスが騒がしい。
「重くて持てないなぁ。」
「アリアちゃん、代わりに持つよ!」
「助かるー!」
その横でハル、トウマ、ハクト達は衣装を着て接客の練習をしていた。
その時もトウマは繕っているのがわかる。
「雨音さん!」
「!」
ミズキは落ちてきた看板を咄嗟に交わした。
「雨音、怪我は?」
すぐに担任が来た。
「大丈夫です。避けられたので。」
足元にはバラバラになった看板が散らばっていた。
「あちゃぁ、作り直しか。」
「ちゃんと固定しなかったから!」
「どうするのよ、明日なのに!」
前日あるあるなのだろう、対立が生まれ、雰囲気が険悪になってきた。
「大丈夫、僕がなんとかするよ。」
「でもトウマ君は」
「心配しないで、衣装は汚さないからね。」
そう言ってトウマはクラスメイトの申し出を断り、1人で資材室に行く。
「•••ごめん、ここお願い。」
「雨音さん!」
ミズキはトウマの後を追った。
「あ、俺も!」
「待て、ハル。」
ハクトがハルの腕を掴んだ。
「今はやめとけ。」
「でも!」
「あいつの気持ちも考えてやれ。」
ハルが唇を噛んだ。
「私ちょっと疲れちゃった。休憩しようよ。」
アリアの一言でみんな作業を中断した。
ミズキがトウマを見つけたのは理科室近くだ。
「トウマ!」
「!」
ビクッと肩が大きく揺れる。
「ミズキ、大丈夫って言ったろ。」
「大丈夫じゃない。ハルも心配してた。」
「•••なにを?」
冷静を装っているが、トウマの瞳が揺れているのがわかる。
「部活のこと。トウマの才能を認めてくれる先生だったのに。」
「•••もう終わったことだから。」
「でも」
「終わったことだから。」
トウマが初めて見せる姿だ。強い拒絶と怒りがわかる。
「来たのがミズキで良かったよ。ハルだったら暴走しそうだ。なんであいつだけ、僕は望んで、望まれて産まれたわけじゃないのはわかってるのに。ばあちゃんから教えてもらって、好きでたまらない科学まで奪われて、僕は•••僕が、なにをしたって言うんだよ•••。」
トウマが廊下に座り込む。じっと膝を抱えて、泣くのをこらえていた。
“トウマが悪い訳じゃない。”
そう言いたいのに、ミズキには言えなかった。余りにもこの状況にこの言葉は無責任過ぎる。
「ミズキ、ちゃんと戻るから、先に教室行ってて。」
「•••わかった。 」
そうしてミズキはトウマを残して教室へ戻って行った。
翌日、文化祭当日
使えそうな板がなく、ハルとハクトが木材を採取して、看板を急いで作成した。
「間に合って良かったね。」
「さすが野生児ハルだな!」
執事グループは和気あいあいと着替えを行う。
ミズキ、アリア、霧島達のグループは飲み物や軽食の準備だ。
「後でトウマ君の写真撮ろう!」
朝からアリアの機嫌がいい。
「奏さん、これを。」
そっと霧島がアリアに携帯画面を見せた。
「••••霧島。」
「はい。」
「取引よ!」
他の女子も集まって、なにやらオークションが始まっていた。聞こえてくるのは金額ではなくお菓子の個数だ。
そうしているとチャイムが鳴り響き、文化祭開始となった。
ワイワイと賑わい騒がしくなってきた。
トウマ達の指名は多く、その都度黄色い声が飛び交う。
そんな時、急に廊下が静かになった。
あれだけ人混みがあったのに、みんな道を空けている。
「なんだ、なんだ。 」
ハルが廊下を見に行く。
「お!ハルいたいた!」
「おう!来たぞ!」
「いいのぅ、青春だね。」
「ハル君、執事の服も似合ってますね。」
花村をはじめ、瓜生、一ノ瀬、平野が来ていた。体格のいい男たちがスーツを着ている威圧感は凄まじかった。
「目立ちすぎ!」
「おやハル君、反抗期ですかね。顔も赤くして。」
「はははは!反抗期、いいじゃないか!」
ハクトはすぐに他人の振りをした。
「叶さんには相談しなかったんですか?」
「したのはしたんだが•••時既に遅しといいうか、私服が壊滅的におじさんすぎたといいうか•••。」
「はぁ•••とにかくみなさん、中にどうぞ。」
「トウマ君、違いますよ。」
ニヤニヤ笑う平野がいる。とても楽しそうだ。
「•••お帰りなさいませ、旦那様。」
トウマの綺麗な所作に近くの人もざわめく。
「いいから早く入れよ!」
ハルが4人を押し入れた。
それからも人が途切れることはなかった。
途中で平野が3人をからかい遊んでいた、そんな時、
ビー!ビー!
と警報アラートが鳴り響く。
同時に瓜生、平野、花村達は今までに感じたことのない殺気がわかった。
「•••奴が来おったか。」
そう言って一ノ瀬は立ち上がる。
「これは!」
「またお会いできるとは、しかもこんな日に。」
「ハル!トウマ!片瀬!お前らは誘導だ!この校区外のシェルターに向かわせろ!霧島!本部に連絡!ミズキちゃんと奏は待機!」
殺気を感じるグランドに向かう前に瓜生が指示を出した。
4人はベランダから飛び降り、グランドに行く。
そこに立っていたのはあの破壊神だ。
「久しいな、一ノ瀬。しかし老いぼれたな。」
「お前さんを仕留め損ねた私の罪は大きい。今日こそ決着をつけよう。」
「お久しぶりです。」
「貴様はあの時の、我が子らは見つかったみたいだな。褒めてやろう。」
「不名誉だ。」
そうして各自武器を構え対峙した。
「我と戦うことを選ぶか、無駄なことを。まぁ、付き合ってやろう。どのみち貴様らはここで死ぬのだからな。」