休日 2

久々の大喧嘩勃発中。

目黒ー入らなくていいから。

渡辺ー日焼けするし。

目黒ー日焼け止め塗ればいいじゃん。

渡辺ー潮風で、肌がベタベタするし。

目黒ー長袖のパーカー着てれば？

渡辺ーとにかく、海には行かない！

目黒ー山は虫がいるから嫌って言ったの誰？

渡辺ーいるじゃん！

目黒ー唯一オフが重なる今度の日曜日、出掛けたいって言ったの誰？

渡辺ー言ったけど！

目黒ー海も山も嫌で、どこ行きたいの⁈

渡辺ーお婆ちゃんちの近くの海。

目黒ー・・そこでいいの？

あまりにも辛くて、無意識のうちに足を運んでしまった海。

老婆に止めてもらわなければ、今ここに渡辺はいなくなってたかもしれない。

老婆とはあれから、懇意にしている。

あの海にも散歩して行くことがある。

だが、目黒はあの海が嫌いだ。

渡辺を手の届かないところへ連れて行こうとした海。

だが、渡辺は老婆の家に行くと、必ずというほど、あの海へ散歩に行く。

渡辺ーあの海がいい。

目黒ーお婆ちゃんちも行く？

渡辺ーん。

目黒ーお弁当作って持って行く？

渡辺ーお婆ちゃんと3人で食べる。

目黒ー分かった。

観光地でもなく、ただの海だし、老婆に会いたいだけのような気がするけど、渡辺が元気ならどこでもいい。

最近では、渡辺も食事をきちんと摂りサウナも行って元気だ。

老婆に元気な姿を見せたいと思っているのだろう。

渡辺ーお婆ちゃんに俺の載ってる雑誌持って行く。

目黒ーいいと思うよ。あっ、an.anはやめてね。

渡辺ー当たり前だ。

目黒ー凄く楽しみにしてるね。

渡辺ーん、元気な姿見せたいじゃん。

目黒ー何度も見せてるじゃない。

渡辺ー前に見せたのは、先々月！

目黒ー毎月見せたいの？

渡辺ー・・いいだろ。

どれだけ会いたいのだろう。

目黒は老婆にちょっと嫉妬する。

自分を救ってくれた人だから、ちゃんと叱ってくれる人だから。

全幅の信頼を寄せている。　

目黒ー結局、海行くじゃない。

渡辺ー目黒が言ってる海は人がいるだろう？

目黒ーまぁ、あの海は人いないね。

渡辺ー静かなのがいい。

目黒ー眺めてるだけ？

渡辺ーあの海はそれでいい。

遠くを見る目。

何を考えてるのだろう？

そっと渡辺を抱きしめる。

頬に涙がひと筋。

キスして舐めとる。

小さく笑う。

目黒ー楽しみだね。

渡辺ーん。

目黒ー前の日、仕事終わったら、ここへ帰って来て？

渡辺ー分かってる。

目黒ーちゃんとご飯を食べていたら、連れて行ってあげる。

渡辺ーだから〜食べてる！

目黒ー日曜日まで、何もないといいけどね。

渡辺ー大丈夫だって！