真相
俺は一人で1年前この高校へと来た。俺は新任で阿部と照は違う。分からないことだらけなのに一発目の高校が不良学校。
3人で不良生徒の指導に取り組んでいたがまぁ心は壊れるというもので、やる気が起きなくなった。でも、転機は来る。
それは問題児4人衆の入学だった。またか、という気持ちもありつつ、入学式本番。俺は驚いてしまった。だって俺を“兄”として慕う昔からの顔馴染みの涼太が居たから。
俺達は10歳離れており、涼太が16の年,俺が26の年のことだった。俺は驚きのあまり固まってしまった。だってここは不良学校。涼太とはほど遠い高校なはずなのに…
小中、 涼太は模範的生徒とか真面目ちゃんって言われる方が多かった。いつでもピシッとしていて、校則を破っていたところなんて見たことがない。
でも、今ではシャツは第二ボタンまであけ、ネクタイの姿すらなく、遠目ではあるがピアスもしているようだ。椅子にドカッと座り、腕まくりしているブレザーに手を突っ込んでいる。
この就職で会わなかった数年間で何があったのか。直接聞く他なかった。
この後、諸々のことが終わり新入生は下校時間となった。俺は涼太を呼び止めようと教室を見渡したが見当たらない。もう教室を出たようだった。「早いな」と思いつつ、職員室へと戻る。仕事が終わったら涼太の家へ行こうと考えて。
17時半、仕事が終わり帰路へと着く。そのまま涼太の家の前まで来た。俺と涼太の家は1軒挟んだ近さ。でもどんだけ近くてもこの数年本当に会うことが少なかった。
ピーンポーンッ
ガチャッ
妹『はーい…って翔太くんじゃん、めっちゃ久し振りだねっ?』
渡辺『うん笑 こんにちはっ涼太いる?』
妹『まだ帰ってきてないよ、部屋で待っとく?』
渡辺『じゃあそうしようかな?おばさんは?』
妹『リビングいるよ、入って』
渡辺『お邪魔しますっ』
俺はリビングに通されて、おばさん…涼太の母と談笑していた。ここ数年間何をしていたのか、今どういった感じなのか、仕事の調子はどうとかそんな話をしていた。
18時半、俺が学校を出て1時間が経った。涼太はまだ帰ってこない。おばさんからは「ごめんね?」と言われた。俺は何時間でも待てるからいいが、人の家に長居するわけにも行かず困り果てていた。
そんなことを他所に、リビングのドアが開く。そこには疲れたような顔をしている涼太が立っていた。涼太がパッと顔を上げた時、俺と目が合う。涼太は凄くビックリて頭をドアにぶつけていた。
宮舘「なんでしょぅたッッ……せんせいるの?」
渡辺『聞きたいこといっぱいあって、』
宮舘「……俺の部屋来て」
渡辺『わかったっ』
ガチャンッ
渡辺『…』
宮舘「……なんですか」
渡辺『敬語辞めてよ』
宮舘「〜〜ッッ…むりっ…です」
どこまで生真面目なんだ、と思いつつ変わっていない涼太に少しの安堵を覚える。でも、そんな事言ってられない。涼太がなぜこの高校に来たのか、それが聞きたくてしょうがない。
宮舘「…?(困眉」
困り眉になっている涼太。やっぱ昔と変わらない。何か不安なことがあったり、困ったことがあると絶対に困り眉になる。
渡辺『まぁいいか、涼太』
宮舘「っ……なんすか…?」
渡辺『まずは、入学おめでとっ』
宮舘「…コクッ」
渡辺『でも…なんでこの高校に来たの?ここが不良学校ってことは進路相談でも話があったはずだよ?』
『しかも涼太は成績良かったし、もっと違うところに行けたでしょ…?』
宮舘「…コクッ」
渡辺『中学で何かあった?』
宮舘「フルフルッ!…」
取り敢えず中学で何もなかったようで良かった。そうなると本当になぜこの学校へ来たのだろうか。ますます謎に包まれる。
渡辺『…それに…何?その格好』
宮舘「っ!」
渡辺『明らかに校則違反だよね?先輩のやつらはもう呆れられて何も言われてないけど、ダメだよね??』
宮舘「……コクッ」
渡辺『…本当に何があったの?』
宮舘「……」
涼太は何故かその理由を言わない。と言うか口を滑らせない為に、声を発さないようにしているかのようにも見える。
渡辺『……』
(話してくれないのか…)
ドサッ!
宮舘「っ!?」
俺は涼太を床に倒し込んだ。涼太は予想外だったのか凄く驚いている。でも俺は引き下がらず、涼太にまた質問攻めを続ける。
渡辺『どうしてなの?さっきから喋らないしさ?…何か俺にバレたくないことでもあるの?俺に隠し事が通用した覚えある??』
宮舘「っ!!…まっ、しょ……たっ!」
必死に抵抗する涼太の力は全く感じなかった。どれだけ大きくなろうと、背丈が近かろうと、成人男性には敵わないようだ。
宮舘「っ!翔太まって!はな、す…話すからっ」
渡辺『!』
ようやく話す気になったようで、涼太の怒ったような大きい声は久しぶりに聞いた。俺は涼太の上から退き、涼太を起き上がらせる。涼太は息を整えるかのように胸に手を当てる。それも一段落すると、ゆっくりとこちらに顔を向けた。
渡辺『何があったの…?』
宮舘「……しょ……たの………」
渡辺『?ごめん、もっかい言って?』
宮舘「………っ翔太と一緒に……いたくて、この高校選んだのっ…」
渡辺『えっ……??』
予想外の返答だった。俺と一緒にいたかった?それだけの理由で学力を発揮しなかったのか、とも思ったがまずは涼太の話を聞くことにした。
宮舘「翔太、数年前から就職で忙しくて中々会えなくて…でも母さんが翔太がこの高校で働いてるって教えてくれて行くことにしたの…」
「勿論…先生達にはすっごい止められたし、言い争いにもなった…」
渡辺『それは先生達が正しいよ』
『別にここの高校来なくてもいつでも会いに行けたのに…』
宮舘「っ!‥それじゃっ!………またすぐ会わなくなりそうだったから…それならいっその事翔太の職場に行けば四六時中いれると思って…」
あぁ…こいつはどこまで真面目で真っ直ぐなんだ。驚きで声も出ない。でもこれだけは言える。
こいつはクソほど可愛いって。
渡辺『へぇ可愛いとかあるじゃんっ笑』
『でも、グレる必要はあった??』
宮舘「こうでもしないと…舐められるかなって思ったの……」
渡辺『はぁ…笑笑 じゃあ約束、学校ではその振る舞いでもいいけど、家とか俺の前ではいつもの涼太でいてね?』
宮舘「っ!……うんっ」
渡辺『ふふっ笑』
『じゃあ…久し振りにヤりますかっ笑笑』ドサッ
宮舘「……へ?」
渡辺『ふふ……俺を不安にさせた罰…だよ?笑』
俺は涼太がこの学校へ来た理由を聞けて、何故かこいつへの特別感が倍増したのだった。まぁこれはまた別の機会にね?
コメント
2件

💙❤️👍

翔太を追って来たとは・・色々と秘密な関係なんですかね😍😍