その後、キヨくんからは連絡が来なかった。俺から連絡しても返ってこなくて…1日経っても、2日経っても3日経っても、1週間経っても返ってこなかった。
そのうち夏休みも終わり、またいつもの日常が戻ってくる。始業式の退屈な話もHRの先生の話も何も頭に入ってこなくて、気づいたら昼休みになっていた。
「元気ないじゃん。夏休み何かあった?」
「俺のパンやろうか?」
はぁ、と溜め息ばかりついているせいか、ガッチさんとうっしーからは心配された。俺の雰囲気が淀んでるからだって言ってたけど、やっぱり気がかりなことはあるんだよ。あの日のことだ。
これだけ心配かけてるんだから言わないっていうのは通用しなそうだ。
「…休み中、あの人―キヨくんとずっと一緒にいたんだけど」
「あの傘の人?」
「うん」
「え?一緒にって普通に遊んでただけじゃなくて?」
「じゃなくて、うちに…その…泊まらせたり…」
言ってて恥ずかしくなってきた…
「で、さ…夏祭りも行ったんだけど」
「花火上がってたよね」
「あー俺も部屋から聞こえたわ」
あの時されたこと、この二人には言っておきたい。じゃないと相談なんてできないと思った。
(放課後)
「マジか…」
「それで、その人は学校来てるんでしょ? 」
「うん、来てるとは思う、けど、見つからなくて…」
「部活は?サッカーだよな?」
「勇気出せなくて見に行ってない…」
そう、連絡が来なくなった日からは本当に会っていなくて、学校に行っても何故かすれ違いもしない。絶対にいるであろうグラウンドは見ないようにしていた。避けられてる感じがしたから自分からも関わりはしないようにしている。
「レトルト的にはそれは納得いかねぇんだろ?」
「当たり前だよ…そんな、やり逃げみたいな…」
「だったら勇気出して声かけるしかなくね?」
「いざとなったら俺らだっているしさ」
二人が必死でフォローしてくれている。そんな二人の協力を無下になんてできないよね…
「逃げられないかな?」
「そうなったらもう追いかけるしかねーじゃん」
「大丈夫、レトさんならやれるよ」
思い返せばキヨくんと最初に会った場所なら絶対にいるはず。あの駐輪場でなら会えるはず。会いたくない…でも会いたい。そんな矛盾した考えが頭の中をグルグルしている。
でも会って何を話そう?
なんであんなことしたの?
なんで連絡くれないの?
俺のこと嫌いになった?
俺とはもう遊べない…?
「おい」
「は…」
「ウジウジすんな!行ってこい!」
バンッと俺の背中を叩いたうっしー。すごく嬉しそうな顔をしていた。俺がこんなことで悩んでるのが嬉しいんだと思う。あんまり悩みを人に言ってこなかったからかもね。
我に返った俺は意を決して探しに行くことにした。
To Be Continued…
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!