テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
※sho×emです。
※大学生×社会人(年の差)です。
※私がにやにやするための文章をAIに手伝ってもらいながらつくっています。
※某ゲーム実況者様のお名前をお借りしております。
ご本人様にご迷惑のかかりませんようご配慮お願いいたします。
『201号室のお隣さん』
ー第二章 タバコの香りー
ある日の夜。
シャオロンがベランダの窓を開けて入浴後のストレッチをしていると、隣からサッシの滑る静かな音と、エーミールの話し声が聞こえてきた。
カチッ、とライターが火を灯す音。
聞くつもりはなかった。
けれど、今さら窓を閉めて『聞いてましたよ』と隣に気づかれるのも気まずい。
シャオロンは息を潜め、ストレッチを終えるとそのまま机に向かって教科書を広げた。
夜風に乗って、いつもより少し低い、冷たいエーミールの声が流れ込んでくる。
em「……だから、もう終わったことでしょう…」
電話口の相手の声は聞こえないが、エーミールの声には明らかな拒絶と、それ以上に深い疲労が混ざっていた。
em「会いに来るって……住所? ……教えませんよ。そもそも何でこの番号知ってるんです?……はぁ、プライバシーって言葉、ご存知ですか……?」
ベランダから伝わってくる深い溜息とともに香る、微かなタバコの匂い。
いつも上品で、誰にでも優しい彼が、これほどまでに刺々しい言葉を吐く。
em「……っ……それは、私には理解できません…それに……」
間があく。
夜の静寂が、エーミールの呼吸を際立たせる。
em「………貴方、もう……結婚なさったでしょう」
最後の一句に込められた、震えるような振動。
em「もう…かけてこないで下さい…」
シャオロンは、ペンを握る手に思わず力が入った。
時折、ふとした瞬間に彼が見せる、あの遠くを見つめるような寂しい顔。
その正体が、今電話の向こうにいる『誰か』であることを察するには、十分すぎる言葉だった。
sho(……なんやねん、それ。ふざけんなよ……)
これまでは、ただの『綺麗なお隣さん』への憧れだと思っていた。
けれど、知らない誰かに向ける拒絶や、今にも壊れそうな低い声を聞いた瞬間、胸の奥でドロリとした熱い塊が膨れ上がった。
sho(……お隣さんってだけじゃ全然足りひんわ)
あの人を傷つける過去を全部消してやりたい。
そして、俺だけを見て、俺だけに甘えて、俺の手の届く場所だけにいてほしい。
シャオロンは自覚してしまった。
自分はもう、隣の202号室に住む『エーミール』という存在を、根こそぎ独占したいのだと。
翌朝、廊下で会ったエーミールは、いつものように非の打ち所がない笑顔で「おはようございます、シャオロンさん」と挨拶してくれた。
それが余計に、シャオロンの胸をざわつかせた。
それから、数日後のことだった。
夕方の自主練を終え、汗を拭いながらアパートの階段を上がってきたシャオロンは、202号室の前で異様な光景を目にした。
いつもは清潔感に溢れ、生活の乱れを微塵も見せないエーミールが、ドアの前に座り込み、紫煙を燻らせていたのだ。
sho「……エミさん? 何してるんっすか、こんなとこで」
声をかけると、エーミールはビクッと肩を跳ねさせ、慌てて携帯灰皿にタバコを押し付けた。
見上げた彼の顔は、夕焼けに照らされながらも、ひどく情けなそうに歪んでいた。
em「……シャオロンさん、おかえりなさい。いえ、その……お恥ずかしい話なのですが、鍵を、どこかへ失くしてしまいまして」
sho「えぇ……それは……どんまいっすね」
em「はい…今、業者さんを待っているところで…」
いつも知的な雰囲気を持つ彼が、今は夕焼けの廊下で項垂れている。
sho「スペアは? 持ってないんすか」
em「……残念ながら、部屋の中で大切に保管しています」
sho「意味ないやん!!」
シャオロンは思わずツッコミを入れたが、すぐに呆れを通り越して、胸の奥が熱くなるのを感じた。
絶対的な境界線の向こう側にいたはずの彼が、無防備な隙を晒して、自分のテリトリーへとなだれ込んできたような感覚だった。
sho「……業者来るまで、俺の部屋来ます? 暖かくなってきたとはいえ、夜になったら冷えるし」
em「えっ…でも申し訳ないですよ。練習帰りでお疲れでしょうに」
sho「ええから! ほら、立って」
シャオロンは強引にエーミールの腕を引き、自分の部屋へと導いた。
自分の体温よりもずっと低い、エーミールの指先。
守ってやりたいという庇護欲と、こんな無防備な姿を自分だけに見せてほしいという、真っ黒な独占欲が混ざり合う。
em「……シャオロンさん、本当にすみません」
sho「そう思うんやったら今度から、スペア俺に預けといてください。そしたら俺がいつでも開けてあげれるんで」
em「……ふふ、そうですね。預けておいたほうがええかもしれませんね」
冗談めかしに微笑むエーミール。
シャオロンは、そんなエーミールを横目に自分の部屋の鍵を開けた。
sho「……汚い部屋ですけど。どうぞ」
em「いえ、お邪魔します。……ほう、活気のある部屋ですね」
201号室に足を踏み込んだエーミールは、少し気恥ずかしそうに周囲を見渡した。
散らかってはいるもののどこか落ち着くような生活感に、エーミールは少しだけ肩の力を抜いたように見えた。
sho(……エミさんが俺の部屋におる。……へんな感じやな……)
シャオロンは、少しだけ離れて床に座り、エーミールを見つめた。
sho「エミさん……さっきの、タバコ。……何かあった時、いつも吸ってるんすか?」
核心を突くような問いに、エーミールは一瞬だけ目を見開いた。
em「……おや、気づかれてしまいましたか……情けないですね。大人のくせに、これしきの事で動揺してしまって」
sho「……別にええじゃないっすか」
シャオロンはわざとぶっきらぼうに、けれど拒絶を許さないトーンで言葉を継いだ。
sho「俺の前くらい、大人ぶるの、やめてくださいよ」
エーミールは驚いたように目を丸くした。
そして、ふっと柔らかく、けれど少しだけ寂しそうに微笑む。
em「……シャオロンさんは、ほんまに、真っ直ぐな人ですね……ありがとうございます」
『ありがとう』なんて、そんな距離のある言葉はいらない。
もっと自分勝手に、自分を頼ってほしい。
あの電話の相手より、ずっと近くで。
sho「その代わり、スペア。ガチで俺に預けてくださいよ……じゃないと、また廊下で縮こまってないか心配で、部活どころじゃなくなるんで」
em「………ふふ、そうですね。シャオロンさんの練習を邪魔するわけにはいきませんし……では、今度、本当にお願いしましょうかね」
冗談めかして微笑む彼の手元から、微かなタバコの香りが漂う。
いつか、過去の記憶も、タバコの煙も、全部。
自分の熱さで上書きして、この人を丸ごと閉じ込めてしまいたいと、シャオロンはエーミールから目を逸らさずに思った。
コメント
3件

年下が年上を好きになって、自分で上書きしたいと思う…最高っすね。emさんの電話相手が気になるところですが、shoさんが emさんの大人ぶらないところが見たい…自分だけのものにしたいと遠回しに表現しているのが素敵です!これからも応援しています!
ワァ、わァ、… 神作だァ…… すっごぃ好み 良すぎる……

まじ主さんの作品どれも神作で全部好きです。これからもオネシャス!
み

5,015