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※sho×emです。
※大学生×社会人(年の差)です。
※私がにやにやするための文章をAIに手伝ってもらいながらつくっています。
※某ゲーム実況者様のお名前をお借りしております。
ご本人様にご迷惑のかかりませんようご配慮お願いいたします。
『201号室のお隣さん』
ー第三章 捨てられない荷物ー
スペアキーという、重すぎるほどに軽い金属の塊を預かってからというもの、シャオロンの『アピール』は加速した。
練習が終われば「アイス買いすぎたんで!」とドアを叩き、オフの日には「この動画めっちゃおもろいんすよ」と理由をつけては202号室の敷居を跨ぐ。
そんな『隣人』の枠をはみ出した生活が、もう一年になろうとしていた。
そんなある日。
予報外の土砂降りに見舞われたシャオロンは、ずぶ濡れでアパートに帰り着いた。
sho「うわ、最悪や……えっと……どこや」
自室の前で震えながら鍵を探していると、隣のドアが静かに開いた。
em「シャオロンさん? ……まあ、ひどい濡れようですね。とりあえず、うちでタオルを」
sho「え、でも、汚してまうし……」
em「ええから。風邪引かれたら、私も寝覚めが悪いから」
促されるまま入った202号室は、いつも通り整頓され、微かに紅茶の香りがした。
エーミールにタオルとスウェットを貸してもらい、着替える。
sho「……なんか、エミさんの匂いする」
em「変なことを言わんといてや……はい、これを飲んで温まって」
差し出されたのは、甘いココアだった。
シャオロンはマグカップを両手で包み込みながら、ふと部屋の隅に置かれたままの段ボールに目をやった。
sho「エミさん……これ、ずっとあるよね」
em「ああ……大したものは入っていないんですよ」
エーミールは窓の外、激しく打ちつける雨を見つめていた。
em「……ただ、捨てる決心がつかないだけの荷物なんです」
その横顔は、定食屋で見たあの寂しそうな表情と同じだった。
どこか遠くへ行ってしまいそうな、自分ではない誰かを見つめているようなその横顔に、胸の奥を鋭く刺されるような熱を覚えた。
sho「……捨てられへんなら、俺が一緒に持つで」
em「え?」
sho「その荷物…何が入ってるか知らんけど、一人で抱えて重いんなら、俺が持つわ。俺、体力には自信あるし」
冗談めかした口調に反して、シャオロンの瞳は驚くほど真剣だった。
エーミールは一瞬、呆気に取られたように目を見開いたが、すぐに愛おしそうに目を細めて笑った。
em「ふふ……シャオロンさんは、ほんまに真っ直ぐな人やね」
sho「またそれ! 褒めてるんやんな?」
em「ええ、もちろん……でも、これは私の荷物ですから」
エーミールはそう言って、シャオロンの濡れた髪をタオル越しに、ポンポンと優しく叩いた。
それは子供をあやすような、けれど明確に一線を引くような手つき。
シャオロンはその温もりにときめきながらも、同時に『また一歩引かれた』ことを悟り、胸の奥がチリリと焼けた。
sho「……ガキ扱いせんといてや。俺、もうすぐ二十歳なんすよ」
em「ふふ、知っていますよ……それでも可愛がらせてください」
ココアを飲み終わりシャオロンは自分の部屋へ帰る時。 玄関先で振り返ると真剣な表情でエーミールを見つめた。
sho「エミさん……俺、エミさんの抱えとる荷物がどんだけ重くても落とさず全部持ちますよ。……だからエミさんが俺を頼ってくれるまで、俺…絶対に諦めないんで」
em「……っ、シャオロンさん、あなた……」
エーミールは、息を呑んだ。
目の前のシャオロンが言っているのは、段ボールの話などではない。
それは『過去ごと俺に預けてほしい』という、不器用で真っ直ぐな告白だと、気づかないはずがなかった。
em(……何も知らないはずなのに…)
シャオロンが放つ言葉は、皮肉なほどにエーミールの最も脆い場所を、正確に貫いていく。
em「……シャオロンさん。……私の荷物は、私が持ちますよ」
震えそうになる声を精一杯抑えて、エーミールはそう答え、扉を閉めた。
暗い玄関ホールで、エーミールは自分の胸に手を当てた。
逃げてきたはずの自分には不釣り合いなほど、心臓が速く脈打っている。
実のところ、エーミールはシャオロンの想いに薄々気がついていた。
ただ、自分が引いた一線を彼が越えてこないのをいいことに、その眩しい陽だまりのような優しさに甘え、停滞しすぎてしまったのだ。
em(……いけませんね…私が彼の眩しい未来を濁してはいけないのに……)
彼にはもっと、同年代の光溢れる相手が相応しいはずなのだ。
そう自分に言い聞かせながら、エーミールは静かに目を閉じた。
それから数日の間、エーミールの態度は目に見えて変わった。
あの日以来、廊下で会っても「お疲れ様です」と短く会釈されるだけで、すぐさま自室へ逃げ込むように入ってしまう。
誘おうとしても「あいにく先約が」「仕事が詰まっておりまして」と、丁寧な言葉で塗り固めた拒絶が返ってくる。
sho(……ビビらせすぎたか? いや、それとも……)
そんなある日のこと。
練習が終わり、アパートの階段を駆け上がるとシャオロンは、廊下の照明の下で、エーミールの姿を見つけた。
sho「エミさん! お疲れ様っす!」
em「あ……シャオロンさん、おかえりなさい」
シャオロンが近づくと、彼は無意識に半歩、後ずさる。
em「……今日は、あいにく仕事が立て込んでいて…お茶には誘えそうにありません。すみません」
視線を合わせず、ドアを開けようとする。
これ以上踏み込ませないという明確な『引き』の一歩。けれど、シャオロンはそんなことで怯む男ではない。
sho「ほな、栄養つけなあかんわ。これ、一緒にどうっすか? 一人で食うには多すぎて」
シャオロンは、手に持っていたたい焼きの袋をグイッと差し出す。
エーミールが受け取らざるを得ない角度で、物理的に彼のテリトリーへ二歩、踏み込んだ。
em「……シャオロンさん、あなたって人は……」
sho「これ、エミさんの好きな店のやつっすよ!冷めたら美味しくないし…な? 玄関先でええから、一個だけ食うて!」
結局、エーミールは「一個だけですよ」と折れて、玄関の廊下に腰を下ろした。
シャオロンもその隣にどっかと座り込む。
em「……シャオロンさん。あなたはもっと、同年代の方と遊ぶべきですよ。私のような、退屈な大人に時間を割くのは、もったいない」
それは、エーミールが精一杯引いた『最後の境界線』だった。
sho「もったいない? 意味わからんわ。俺がエミさんとおりたいからおるんやで……エミさん、俺のことガキやと思って距離置こうとしてるやろ?」
em「………、それは……」
sho「悪いけど、俺は最初からお隣さん以上になるつもりでドア叩いてるんで」
シャオロンは、たい焼きを口に運ぼうとしたエーミールの手首を、優しく、けれど逃げられない力強さで掴んだ。
sho「エミさんが一歩下がるなら、俺は二歩進むって決めとるんよ」
ぐい、と手首を引けば、エーミールの重心がシャオロンの方へと傾く。
sho「それと……さっきから俺の目、一回も見てくれへんのは…俺にときめいとるからって……思ってもええ?」
em「っ……!!」
エーミールの頬が、夕闇の廊下でもわかるほど真っ赤に染まった。
動揺して泳ぐ視線。
それこそが、シャオロンにとっては最高の『イエス』だった。
em「……な…生意気なことを、言わんといてや」
sho「ふふ、図星や。……エミさん、無理に引かんでええで。俺がその分、追いかけるしな」
シャオロンは掴んだ手首をそっと離すと、最後はいたずらっぽく笑って立ち上がった。
sho「んじゃ、また明日!仕事頑張って下さい」
バタン、と隣のドアが閉まる音。
エーミールは玄関に残された熱量に包まれながら、自分の心臓が、いつになく激しく脈打っていることに気づいてしまった。
(……二歩、ですか。……これでは、逃げ切れるはずがありませんね)
冷めかけたたい焼きを一口。
甘いカスタードの味が、閉ざしていた彼の心を、ゆっくりと、確実に溶かしていくのだった。
っだぁ
#BL
コメント
2件

やっぱ好きです。いやぁー、emさんっていいっすね!!(ニッコリ)shoさんも好きです!

毎度コメントごめんなさいまじ最高です