テラーノベル
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非常に気分が悪い
否、気分ではない
居心地が悪い
そりゃあそうだろう
自分の生を終わらせた場所に立っているのだから
紅邏「…………片付いてる」
遺書などを大量に書いていた為、部屋は紙くずだらけだったのが、今は整理整頓されている
………1つの点を除いて
紅邏「……これ、片付けられてない」
天井から吊り下げられたロープと、足場
その2つだけ、片付けられていない
否、『片付けれない』のだろう
生を終わさせる先日まで元気な素振りをしていた友人が、同僚が、姉が、妻がそこで息を止めていたのだ
それはそれは絶望的だったのだろう
触れる事すらできないのだろう
あの日のその場所から1mmも動いていない
紅邏「…それより、探さないと」
それより、要件を済ませることの方が優先だ
この「跡」をさらけ出したまま表に出ることなどできない
紅邏「……あった」
マフラー。生前妹から誕生日プレゼントだと渡されたもの
…これなら隠せるだろう
紅邏「……こんな感じか」
鏡にすら映らない。自分が本当に存在していないのだと改めて実感した
紅邏「……行こう」
行かなければならない
自らが成仏する為にも
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