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市内で1番の病院。
本当に此処で入院していたのか分からなくなる程大きい病院。
一応、面会時間の13時丁度に来たのだが、忙しいらしく、面会は14時からになった。
…病院は落ち着いていて、忙しそうなオーラを出さずに仕事をする看護師に尊敬した。
1時間が経ち、面会時間がやってきて、病室のドアを開けると、零風がベッドに座りながら苺を頬張っていた。
「…なんで苺…?」
「こへぇ?しぇんえいがくえあんや!!」
「…へぇぇ…」
…そういえば。
「ねぇ、零風の事、俺なんて言えば良い?」
「んへ?」
そう言って頬張っていた苺を全て飲み込み、寝っ転がって言う。
「…なんでも?別に僕は気にせんし」
…ツンデレか。
「…じゃあ…零風…あぁ……おらふくん、で!」
そのまんま。
「そのままw?」
「そうw」
「それからな!見ておんりー!」
そう言って零風が手に取ったのは、昨日俺が上げた、一輪の薔薇だった。
「…綺麗に飾ってくれとる…」
こんな経験は初めてで、心が揺らいだ。
「めっちゃ綺麗やって、どうしても飾りたかったから謎に入ってた造花抜き取って入れてやったんで!!」
「…ええやん」
「やろ?後おんりー?エセ関西弁使うの辞めてもろて?こちらに罹れば何でも分かるんやで!?」
零風が少し怒り気味に言う。
「…なんでも?」
「そうや、何でも言うたやん?」
「…ほんなら、この薔薇の花言葉は?」
「…花言葉?」
「うん、そう、…これが分からないなら、まだまだやで」
「あぁっ!?エセで言われて腹立つんやけど!?」
一呼吸開けて、本題に入る。
「それで、四季見たいって言っても…どうやって見るかよ…」
「春は桜が見たいし!夏は海が見たい!そんで秋は紅葉と山が見たいし?冬は雪が見たい!」
随分普通だが、零風にとっては__________
「…今は3月、桜…は見えるかなぁ…」
「遠くまで行くなるんやったら僕はどうすればええんやろか…」
「先生が言いはったねん、「遠くまで行ったら体持たへんで」って…
「そっか…どうするもんかなぁ…」
春…と言ってもねぇ。。
「…!!川沿いに桜ん木が立ち並ぶ場所があるって聞いたで?」
「…川沿い、?何処…?」
そう言うと、横の引き出しから地図を持ってきて、指差しながら俺に道を教えた。
スマホ、持ってないんだ。
「…でも、此処までどうやって?」
「…車で5分やけど…」
「あ!車で送って行って貰って、そのまま車のトランクで見るのはどう?」
「天才、」
「よっし!なら今から車手配するわ!」
「今!?」
川沿いにある、小さな車置き。
「桜やぁ!!」
小学生のようにはしゃぐ。
「そうだね」
…桜なんて、もう何回見たかも覚えていない。
「なぁ、“李音”?」
「…りおん?」
…“りおん”って、誰だっけ。
「…どした?名前、“忘れた”?」
…そうか。俺、“李音”か。
零風にも、“おんりー”って言われてるし、家族には最近会っていない。
…学校にも行ってないしから、結果的に名前を呼ばれなくなり、忘れてしまっていた。
「…名前、…おんりーやなくて、李音って言うで?」
「…いや、大丈夫、それより、せっかく見にきたんだから、楽しもう!」
どこか苦しそうで、何かを思い出しているような感じだった。
「…分かった、けど…」
__________________。
「ねぇ、李音っていつも鞄に花付けてるよな。」
クラスの一軍男子に、突然言われた。
「そう、俺、花が好きで…」
「花が好きってお前女子かよw5年にもなって何言ってんだよw」
__________________。
「“李音”って、女っぽい名前だよなw」
「わかるw」
あちこちで聞こえる陰口。
どう足掻いてもどうせ男子だよ。
__________________。
此処までは…。
__________________。
「彼奴、帰宅部なのマジw?」
「クラスで1人だけ帰宅部可哀想w」
クラスが俺を敵に回して。
周りが囃し立てて。
罪を全部擦りつけて。
靴は無くなっていて。
自分の名前が嫌いになって。
いつのまにか、身体も心も傷ついて_______。
だけど、花への愛は変わらなかった。
そのお陰で_________。
「…“李音”…?大丈夫なん?」
「…ごめん、…あと、なるべく“李音”って言わないで」
その時の李音の顔は、何か寂しい顔だった。
「…なぁおんりー、桜ん見る時は団子食べるのがええらしいなぁ?僕持ってきたで?」
「…ありがと、」
「おんりーの言う通りやで、せっかく見にきとるんやけ、今日くらい楽しもうや!」
読んでくださってありがとうございます!
今回はおんりーこと李音の過去編でしたね!
この2話と3話は伏線がバリバリ入ってます!!
是非考察してみて下さい!
今日のうちにストックを溜めておきます…そうしないと期間に間に合いません…
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それでは!