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目が覚めると真っ白な天井が見えた
ここは病院…?
学校!
そう思って起き上がるも時刻は11時を回っていた
夜かなぁ
明日は学校に行かなきゃ…
そう思ってスマホをいじってみると丸一日が過ぎていることに気がついた
1日寝てたのか…
はぁ、なんで今倒れちゃったんだろ
本当に運がない
倒れない体が欲しい
そんなことを考えているとあの子を事を思い出す
そういえばれみは?
いつもならスマホから飛び出しそうな勢いで出てくるはずなのに彼女は話しかけてすら来なかった
呆れちゃったかな
こんな頼りない人は嫌だよね
思わずため息をついてしまう
それでも少しでも会いたくて気怠い体を起こして鏡の前に立つ
「れみ」
「こんな私嫌だよね」
「ごめんね、何も出来なくて」
「ごめんなさい」
ごめんなさい
彼女は何も返してくれない
それどころか姿すら見せてくれない
本当に嫌われたんだ
彼女にはもう二度と会えないのかな
会いたい
また話したい
彼女が許してくれるなら
また
視界が揺れる
泣きそうになるのを必死に堪える
「れみぃ、」
声を絞り出す
別れるなら最後に
最後に伝えたかった
「れい」
突然鏡かられみが現れたかと思ったら人肌を感じた
抱きしめてくれたとその時に気づいた
「れ、み?」
温かい
私今れみに触れてる?
これは夢なのかな
夢なら一生このままで…
このままがいいなぁ
堪えていた涙が溢れ出す
「れい?!」
私が泣き出したことに気づいて彼女は驚いたような声を出す
「大丈夫?」
心配そうに私の顔を覗き込んでくれる
「大丈夫、大丈夫だよ」
大丈夫
大丈夫なのに涙が止まらないや
「落ち着いた?」
あの後散々泣いてそんな私をずっとれみは慰めてくれた
「うんありがとう」
「れみ鏡から出れたんだね」
「そう、だね」
少し暗い表情になる
「れいアタシさ」
言いにくそうに言葉を選ぶようにしている彼女は見慣れなくて少し笑いそうになる
「どうしたの?」
「アタシ、」
深呼吸をしたと思ったら私の目を見つめて口を開いた
「もうすぐしたら死んぢゃうんだ」
笑いながら目に涙を浮かべてそういった
しぬ?
れみが
「なんの冗談?」
そんなさ
悪い冗談だよ
「だってれみは都市伝説でお化けで、それに、」
彼女は何も言わない
こんな冗談は言わないことは知っている
だけど冗談と言って欲しかった
冗談にして欲しかった
「ごめんね、ごめんね」
なんで謝るの
なんで
「なんで死んじゃうの…」
「なんでかなぁ」
アタシもわかんないや
そう言って笑う彼女はいつもと違って儚げに見えた
「やだ、やだよ一緒に居ようよ」
「れみがいたら私は友達なんていらない!れみさえいてくれたら…」
「ごめんね、ごめんね」
また私を抱きしめてくれる
「アタシがいなくなっても友達たくさん作ってね」
「みんなと仲良くしてね。落ち込むことがあったらみんなに相談してね」
そう言いながら頭を撫でてくれる
うん、うんとしか私は返せなくて
そんな私に彼女はたくさんのアドバイスをしてくれた
学校のこと人間関係のことカノジョは私のはずなのに私じゃ思い浮かばないことを沢山教えてくれる
そんな彼女に私は惚れてしまったんだ
「れい」
「アタシを呼んでくれてありがとね」
「れいのおかげでアタシは幸せだった。たった1ヶ月しか居られなかったけどアタシはれいが大好きだよ」
「あなたの分身で本当に良かった。私を呼んだのが貴方でよかった」
そんな事言わないで
最後みたいに言わないで
「やだぁ…」
「泣かないでよ。アタシの顔が台無しじゃん」
なんて冗談を言ってくれる
れみの顔を見ると涙が浮かんできた
「れみも泣いてるじゃん」
「なわけないでしょ」
私たちの笑い声が重なる
これが最後だなんて
これで終わりなんて
私が倒れなかったらこうならなかったのかな
もう少し私がしっかりしていたら
もっと一緒にいられたのかな
「れいのせいじゃない。れいは何も悪くない」
「じゃあなんでれみは死んじゃうの?」
「さぁね」
誤魔化すように笑うから何も聞けなくなってしまった
「そろそろかなぁ」
れみの姿が少しづつ透けていく
言われたことだけど
言っていたけど
現実を突きつけられてまた涙が流れる
ほんと今日はどれだけ泣かされれば気が済むんだろ
どれだけ泣いたられみは消えないんだろう
「もう、れいは泣き虫だなぁ」
頭を撫でてくれるけどさっきみたいに温もりは感じない
彼女がいなくなるのを直で感じてしまう
嫌だ嫌だ
まだ伝えてないことが沢山あるの
まだ話し足りないことが沢山あるんだよ
「れみ…」
また会おうね
転生とかあったらちゃんとしてね!
私の口から出たのはそんな言葉じゃなくて
「だいすきです」
そんな単純な言葉だった
「恋愛対象として好きです」
何言ってるんだ私は
仮にも彼女は私なんだよ
何言って…
彼女は少し微笑んで私を抱きしめてた
あぁ…振られたのかな
なにも答えてくれないってことはつまりそう言うことなんだろう
それは、そうだよね
私に告白とかキモいよね
しかも同性
断る言葉を出さないだけで彼女の優しさが伝わってくる
彼女は何も言わずに私を抱きしめるのを辞めた
そして見せつけるように私の髪にキスをした
「これが答えだよ」
彼女らしく満足気に笑う
それが私が最後に見た彼女の笑顔だった
目が覚めると深夜の3時を回っていた
あれ、私いつの間に…
そういえばれみ!
勢いよく起き上がって病室の至る所を探す
だけど彼女はどこにも見当たらない
わかっていた
もう居ないことを
それを認められなかった
もしかしたら鏡の中でイタズラが成功した子供のように笑ってくれる
そんな希望を抱いていた
ずっと鏡の前にたって何分見ても鏡の中にある私は動いてくれない
残酷に私に物語ってくれた
もう彼女がいないことを
彼女がいないならもういっそ、死んじゃおうかな…
死んだら会えるかなぁ
わかってる
そんなことしても彼女は喜ばないことを
彼女はそんなこと望んでいないことを
けどもうどうしたらいいか分からないよ
あなたが居ないこの世界に私は希望を抱けないよ
「おじょーさん、お嬢さん」
鏡から声がした
ハッと見てみるとモヤがかかっている何かが写ってた
「君の分身の忘れ物とお手紙」
そう言ってその何かは鏡から手を出して手紙とミサンガを置いてくれた
「えっと、貴方は」
それは私の質問に応える前に見えなくなっていた
「手紙…?」
恐る恐る見てみるとそれは間違いなく私の字で
間違いなく彼女の言葉だった
読んでるうちにだんだん涙が溢れてきて
最後まで読んで私はもう堪えることが出来なくなってしまった
れみ私頑張るから
れみが安心できるように頑張るよ
だから見守っていてね
愛してる
こうして私の誰も知らない物語と初恋は幕を閉じた
手紙とミサンガを残して